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断じて許さん!

大陸平和同盟が結ばれたことで、国民たちも安心して生活できるようになり、国王への信頼は確固たるものとなった。税収も安定し、大陸国家の長い歴史の中でも例を見ない安定と繁栄をもたらしつつあった。


「それにしても、ただのいやらしおっさんだったはずのあの人(国王)がまさか四大国家全ての国と同盟を結ぶなんて、想像も出来なかったわ。」


「全くです。いつの間にあのような壮大な計画を考えていたのでしょうか。」


今話しているのは、召還魔法を行っている国王の妻たる女王とその護衛の女騎士たちである。この国では、国王の護衛は魔法使い、女王の護衛は女騎士となっていた。ちなみに魔法使いたちは、魔法のみならず一級の騎士としての技能も持ち合わせていた。


「儀式の間によく集まっていたけど、あそこで色々と話あっていたのかしら。」


「そうかもしれません。やつれたところを何度も見られていますので、深夜まで議論していたのかもしれません。」


「確かに大きな業績を残した国王の妻として私も鼻が高いけれど、私のいないところで話が決まっているというのはなんだか面白くないわね。ねぇ、なんとかして儀式の間に忍び込めないかしら?」


「儀式の間にですか?あそこは中から鍵をかけたら、外からは侵入することは出来ないはずですが・・・」


「そこをどうにか出来ないの?必要ならお金はいくらでも使って良いわよ。最近は税収が安定しているから国庫も潤ってきたしね。」


「はっ。明日、明後日というのは難しいと思いますが、考えてみます。」


「頼んだわよ。」


ダメ夫(国王)に代わって国内の政治、経済を預かっていた女王にとって、急に大事を成し遂げた夫はとても怪しく見えていたのだった。




それから数日後。


「女王陛下。儀式の間への隠し通路が出来ました。」


「あら、以外と早かったわね。よくやったわ。あとで褒美を出さないとね。」


「ありがとうございます。」


実は、隠し通路を作るのはそれほど難しくなかった。儀式の間といいつつ、これまでこの部屋で大したことをやっていなかったので、誰も侵入しようと思ったことがなかっただけのことだった。実際には、目隠しをした職人を城内へと連れてきて指示を出したら、すんなりと隠し通路を作ることに成功してしまった。あまりに早すぎたので、お金ほしさに嘘をついたのではないかと疑った女騎士たちが職人を締め上げたほどだ。お詫びとして代金は多めに支払うことになったが、自分のお金ではないので気にならなかった。




「女王陛下、今晩、儀式の間が使われるようです。」


「そう。あの男たち(国王と魔法使い)が何をやっているのか、この目と耳で確かめさせてもらうわよ。」




その日の夜、女王と女騎士たちが隠れているとも知らず、国王と魔法使いたちが集まっていた。そして、いつものように召還魔法を使う。


(こ、これは?召還魔法が完成していたというの?私は何も聞いていないわよ!)


自分に隠し事をした、という事実だけで怒りがこみ上げてきた女王。頭の中では国王を痛めつける手段を考えはじめていた。


(女王陛下。なにやら書物のようなものが召還されたようです。)


(書物ですって?未来のことが書かれていたりする預言書のようなものかしら?)


(いえ、なにやら色鮮やかに描かれていますが、、、あれは・・・・・・ !?)


(どうしたの?)


女騎士にはどうやら書物の内容が見えたようだが、女騎士よりも目の悪い女王には見えていないようだ。そんな二人の前で国王と魔法使いたちはなにやらニヤニヤしながら談義を始めていた。


(みんな揃っていやらしい顔をしてる。どう見ても、大事な話じゃないわよね?)


女王は我慢しきれずに、国王たちの前に姿を現した。


「あなたたち。この部屋でいったい何をやっているのかしら?」


見た目は国民の前出見せるような笑顔。声も落ち着いている。しかし、その背後にはどす黒いオーラが見えるようだ。


「お前っ!どうやってこの部屋に入ってきた!大事な儀式の最中だぞ!」


「えぇ、最初から見せてもらいましたわよ。魔法使いたちよ、すばらしい召還魔法でしたよ。」


思わずひれ伏す魔法使いたち。その顔には滝のような冷や汗が流れていた。


「もったいなきお言葉。」


「では、その素晴らしい召還魔法で呼び出したその書物を私にも見せてもらえないかしら?」


くださいな、と言わんばかりに片手を伸ばす女王。


「だ、ダメだ!そ、そう、これは精気を吸い取る魔書なのだ!我々は召還魔法を使って呼び出したこの魔書を研究しているのだ。危険だからそれ以上は近づくな!」


魔書と呼ばれた書物を隠しながら、明らかに動揺しながら国王が答える。


「あら?先ほどはみなさんそろって、それはそれは『素晴らしい笑顔』に見えましたよ?とても精気を吸い取る魔書なんかには見えませんが?」


(行きなさい!)


女王が一人の女騎士に指示を出した!動揺している国王と魔法使いたちが抵抗を試みるよりも早く、女騎士はいともたやすく魔書と呼ばれた書物をその手にして、女王の元へと帰ってきた。呼吸を乱すこともなく、もちろん汗一つかいていない。


「さて、あなたたちが何を見ていたのか。私も見させてもらうとしようかしら。」


女王の威圧によりその場から一歩も動けなくなっていた魔法使いたちは、(魔王が笑うとこんな笑顔になるんだろうな)と思っていた。


片手を持ち上げて魔書を顔の前まで持ち上げた女王。


「何よこれ!」


その手はぶるぶると震えだし、そのきゃしゃな腕からは想像できない力でエロ本を2つに切り裂いた!


「あぁぁぁっ!」


「あなたたちは、貴重な召還魔法を使ってこんなものを召還していたの?」


「こんなものとはなんだ、こんなものとは!素晴らしい芸術じゃないか!」


「よく見たら、後ろのほうに積まれているのも、同じような『魔書』かしら? あぁ、たしかに危険なもののようね。私が全て処分して差し上げるわ。」


「やめてくれぇぇぇーーー!」


国王の魂の叫びが儀式の間にこだました。




「で、このいやらしい書物を夜な夜な召還していたと。そして、それを献上して隣国の国王たちを懐柔したというわけね。」


「はい、その通りです。」


うなだれる国王


今、椅子に座る女王の前に、国王と魔法使いたちが正座していた。女騎士は魔方陣を物珍しそうに眺めていた。


「まったく、側室だっているんだからこれくらいのことで目くじらを立てることもないのに、隠れてやっていたと思うとムカつくのよね。まぁ、こんなもので大陸平和同盟が結ばれなんて知ったら国民はどう思うでしょうね?」


「幻滅するでしょうね。」


魔方陣の向こうから、冷めた目をした女騎士の一人がつぶやいた。


「これはここだけの秘密にしてくれ!この通りだ!」


床にキスする国王。魔法使いたちは驚きつつも、急いで同じように床にキスをした。


「はぁ、まったく。怒る気も失せたわね。しかし、これ、よく見ればものすごい印刷技術よね。」


ばっと顔を上げた国王。


「そうだろう!そうだろう!我々はその印刷技術を研究」


「してないでしょ?」


「してません・・・」


再び床にキスをした。


すると、女騎士の一人が女王に対して話しかけた。


「女王様。私、なんだか感じます。何というか、その・・・」


「どうしたの?」


魔方陣の一部を指さしながら女騎士が続ける。


「理由はわかりませんが、この辺の文字を変えると、違うものが召還できるような気がするのです。」


「あなた、魔法使えたかしら?」


「いいえ、だから私も不思議なのです。ですが、なぜかそう感じるのです。たとえるなら、魔方陣が私に話しかけてくるような感じとでも申しましょうか。」


「具体的には、どう違うものを召還できるのかしら?」


「どうやらこの魔方陣を調整することで、召還する書物に描かれている女性の髪の毛の色や年齢などを指定できるようなのですが、」


(何!年齢まで指定出来るのか?)


儀式の間にいる男性陣が床を見つけたまま「カッ!」と目を見開いた。


「それで、おそらくこの辺の文字を変えると、性別を変えることができそうな気がします。」


「性別?」


「ハイ。その、、、申し上げにくいのですが、男同士でナニをしている書物ではないかと。」


国王がガバッ!と顔を上げ、大声で怒鳴りつけた!


「そんなことはさせん!断じて許さん!」


女王が静かに顔を国王に向けて、静かに告げる。


「あなたは黙っていなさい。」


「ハイ・・・」


国王はすごすごといった雰囲気で再び床にキスをした。


「それで、どのように魔方陣を書き換えれば良いのかわかるの?」


「ハイ。」


「そう。じゃぁ、やっちゃいなさい。」


(くっ!我々の血と汗と涙の結晶が・・・)


魔法使いたちは女王に逆らうことなど出来るはずもなく、床を見つめたまま静かに悔し涙を流していた。




「出来ました。」


「あなた(魔法使い)たち。召還魔法を行いなさい。わかっているとは思うけれど、断るという選択肢はあなたたちにないわよ?」


「じゅうじゅう承知しております。」


魔法使いたちは立ち上がり、素直に配置についた。




「しょーーーかーーーん」


おそらくは想像しているものが召還されるであろうことはわかっているはずなのに、すでにパブロフの犬と化した国王はその詠唱を聴いて、思わず興奮してしまった。そして自身(と息子)の情けなさに対して悔し涙を流すのであった。



女王が迷いなく魔方陣の中央へと歩いて行き、召還されたものを拾い上げ、なにやら紅潮した表情になっていた。


「うほっ。これはこれでなんともいえないわね・・・(ぽっ)」


エロ本に出てくる女性の性別が逆になったもの、、、ムキムキマッチョなホモ雑誌が召喚されていた。


「ほら、どうかしら?これでも見ていればいいのではよろしいのよ。ほーほっほっほっ(笑)」


女王が見開きページを国王にこれでもかといわんばかりに見せつけた。


「くっ!殺せ!」

国王のHPががりがりと減っていく。


(死ぬほど嫌かよ、まぁ嫌だけどさ・・・)

国王の一言に魔法使いたちが引いていた。


なお、魔法使いたちは、召還された雑誌を鼻血を流しながら見ていた女騎士たちを生暖かい目で見つめていた。この世界に「腐女子」が誕生した瞬間だ。


その日以来、女騎士たちがたまにやってきてはホモ雑誌の追加の召還を依頼していた。最初は快く思っていなかった魔法使いたちだが、自分たちも普通にエロ本の召還を行っている手前、断ることも出来ず、しぶしぶながら召還に応じていた。


ちなみに、結局はお互いに似たもの同士であることがわかったため、魔法使いたちと女騎士たち間には奇妙な連帯感が生まれたという。


女王はといえば、もともと側室がいたこともあり、エロ本を召還していたことをそれほど問題していたわけでもなかった。単に自分に隠れてこそこそやっていたのが気に入らなかっただけだったので、最終的には


「元気になるならいいんじゃない? 元気になっても私は相手しないけどね。」


という一言で終わったのだが、元気になった国王が年甲斐もなくハッスルした結果、ちょっとした跡目争いが勃発しそうになったのはもう少し先の話。


エロ本ネタはもう少し続きます。もうちょっとしたらエロ本以外も召喚できるかな・・・?


PVが増えるだけでも嬉しいものですね。


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