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私はメイドなのに!

「これはこれは、国王陛下。遠いところをよくおいでくださいました。わざわざ馬車で来られずとも、転移魔法があったでしょうに。」


「いきなり大量の荷物を持って現れてはいらぬ混乱を与えると思ってな。今回は馬車に揺られてくることにしたのだ。」


前回(戦争寸前)は手元にあったエロ本を見せただけだったが、その後に召還しておいた、国王の趣味に合わせたエロ本を大量に手渡した。


「おぉ、これはこれは、立派な『芸術書』ですな。しかも、私の趣味にぴったりと合っている。素晴らしい。これほどの品に見合うお返しとなると、想像もつきませんな。」


(ただの春画に見合うお返しなどいくらでもあろうに・・・)

魔道師はここでもため息をついてしまった。


「お返しなら、ちょっとしたお願いを聞いて欲しいのだが、よろしいでしょうか?」


「さて、どのようなものでしょうか?」


「まずは、こちらをご覧いただこうか。」


ハイヒールを両手に持ちながら手渡す。


「これは、、、靴ですか?」


「さよう。女性用の靴じゃ。召還した春画に描かれている女性が履いているものを作らせたものじゃ。」


「おもしろい形をしていますな。一度、女性がこれを履いたところを見てみたいものですな。」


「そこで一つお願いがあるんじゃが、この靴はこの国で新しく作られた靴ということにしてもらえないだろうか?そして、近いうちに我が国へ贈答品としていくつか贈って欲しいのじゃ。ワシがいきなりこんな靴を持ち出したら、妻から何を言われるかわからないからの。」


「それくらいお安いご用です。では、これと似たような靴をいくつか作り、貴国への贈答品としましょう。我が国内でも流通させてよろしので?」


「構わん。むしろ、流行らせて欲しいくらいじゃ。」


「わかりました。そのようにいたします。」


そして、距離を近づけながらこそこそとささやく。


「実は、ワシはこの靴を履いた女性にで踏まれたいんじゃが、さすがに自国の者は国王であるワシを踏んでくれいないのじゃ。そこで、この城のメイドあたりにこの靴を履いてもらって踏んでもらうように出来ないかの?そのときは、他国の国王とはばれないように、私はマスクをして顔を隠すつもりじゃ。」


「踏んでもらう?とは、この靴を女性に履いてもらい、その女性に国王陛下を踏ませるのですか?」


「その通りじゃ。」


「しかし、国王陛下を踏ませるなどと、いかに私といえど、それはさすがに・・・」


「ワシが良いといっておるのだから良かろう。これはお主を見込んでのワシからのたってのお願いじゃ。とにかくワシは踏まれたいのじゃ。」


踏まれたい願望をせきららに語る国王にちょっと引きつつ、(まぁ、相手が踏んで欲しいというんだから良いのか?)と思い


「そこまでおっしゃるのであれば。こちらで適当な女性を見繕ってみますが、どのような女性がお好みでしょうか?」


「ふむ、身長は高め、ちょっときつい感じの女性で、年齢は20歳中頃くらいかの。」


「ふむ。たしか、ちょうど良い感じのメイドがいたはず。呼んでこさせるので、しばらくお待ちください。」




しばらくして、リクエストにぴったりの一人のメイドが呼ばれてきた。


「お呼びでしょうか、国王陛下。」


「うむ。早速だが、この靴を履いてもらおうか。」


「これは、靴ですか?踵が高くなっていますが。」


「新しいデザインの靴だな。ちょっと履いてもらえるか。」


ハイヒールを履くメイド。


「これは、慣れないと歩きづらいですね。しかし、目線が高くなるので、気持ちよくなります。」


「それは良かった。それで、ちょっと心苦しいのだが、一つ命令を下す。」


「国王陛下の命令を断ることなど出来ません。」


「すまんな。実は、この城の『バラの間』に一人の男性がいるので、その者をその靴で踏みつけてほしいのだ。」


「は?」


メイドは目の前の国王が何を言っているのかわからなかった。踏みつける?誰を?いやいや、こんな靴で踏まれたら間違いなく、ものすごく痛いに決まっている。


「その者は、罪人か何かなのでしょうか?」


「そういう訳ではないが、踏みつけてほしいのだ。これは命令だ。そして、踏みつける相手が誰なのか、詮索してはならぬ。よいな?」


「は、はい。もう、その者は『バラの間』にいるのでしょうか?」


国王の真剣なまなざしに身を引き締めるメイド。そう、これはメイドとしての資質を試されているに違いない、と勝手に解釈していた。


「うむ、すでに準備は出来ているはず。すぐに行ってくれ。」


「わかりました。」


メイドはいったんハイヒールを脱いで履き慣れた靴に履き替え、急いで「バラの間」へと向かった。国王は表情にこそ出さなかったが、内心すまぬと頭を下げていた・・・



そして、バラの間では。


顔をマスクで隠し、下着姿になった国王が床に仰向けになっていた。


なお、万が一のことはあってはならぬと、少し離れた場所に魔道師が魔法により姿を消した状態で待機していた。


(こんな役目は誰かに変わってもらいたい・・・)


正直、かなりやる気がなかった。何が嬉しくて、自国の国王がハイヒールで踏まれるところ(そして、おそらくは踏まれて悦ぶところ)を見なくてはいけないのか・・・



「失礼します・・・」


接客の場で見知らぬ相手を踏むという、意味不明な仕事を引き受けたメイドがやってきた。部屋の中は薄暗くなっていたので、入ってすぐには様子がわからなかったが、しばらくすると「それ」を視認した。


「ひっ!」


変態に免疫のない女性なら当然の反応だろう。顔をマスクで隠し、下着姿になった男が床に仰向けになりながら、なにやら興奮しているのである。驚かないほうが不思議だ。


「例の靴は履いているのか?」


「は、はい・・・」


「そうか。では、早速だが踏んでくれ。」


「どこをどのように踏めば良いのでしょうか?」


「どこでも好きなところを、好きなように蹂躙してくれ。」


いきなり蹂躙という言葉が出てきて、メイドは後ずさった。


(やっぱり断ればよかった・・・でも、もう引き返せない・・・泣)


意を決したメイドはとりあえず、踏みやすそうな(?)お腹を軽く踏んでみた。


ふにょ。


(おぇっ。気持ち悪っ!)


「おぉう♪これはまた、やはりこの靴はすごいのぉ。」(ぽっ)


(いやぁっ!変態!変態がいるうっ!)


本来の目的として国王の安全を守るはずの魔道師であったが、次第に興味はメイドへと移っていた。嫌々ながらも国王の命令に逆らう事も出来ず、仕方なしに踏み始めたメイド。その表情が魔道師の琴線に触れたようだ。


(嫌なのに、逆らうことも出来ず、踏み続ける。嫌々、無理やりという、あの表情がなかなかたまらんなぁ。)


のぞきで興奮するという(半分は公認)、変態の仲間入りを果たしたことに気がついた様子は見られない。


「もっと強くてもいいぞ?」


「えいっ、えいっ!」


メイドは気持ち悪くなって半泣きになりながら、半ばやけくそ気味に踏み始めた。


(私はこの国の国王に仕えるために、誇りを持ってメイドになったの。自分の仕事にも自信を持っているわ。それなのに・・・どうして、変態を踏みつけないといけないのよ!これじゃ、私も変態みたいじゃない!)


メイドとしての自尊心を著しく傷つけられていた。しかし、しばらくするとやけくそになったのか、それとも嗜虐心に火がついたのか、なんだか顔が紅潮してきた。


メイド

 「はぁっ、はぁっ!」

 (このっ!変態めっ!変態のくせにっ!あぁっ!なんだか気持ち良くなってきた!いけないわ!私はメイドなのにっ!でも気持ちいいわっ!)


魔導師

 (おぉ!何かが吹っ切れたようだな。嫌々やっていた表情も良かったが、嗜虐心が芽生えてきた表情もなかなか良いではないか。)


踏まれる国王

 (おっ!おぉっ!なんだか踏み方に迷いがなくなってきたな。これは、、、これは、、、素晴らしいっ!)


国王以外は嫌々だったはずが、いつの間にか3人とも興奮していた。


踏まれて喜ぶ国王 ~ 踏みつけて喜ぶメイド ~ 喜ぶメイドを見て喜ぶ魔同士


変態トライアングルの完成だ。


この部屋の3人は誰一人として損をしない、win-win-win の関係になっていた。強いて言えば、魔同士にとっては踏まれて悦ぶ国王を見るのは苦痛だったが、既に視界からは消し去っていたので問題はない。


気がつけば、メイドは不思議な感覚に見舞われていた。嫌々だったはずなのに、いや、今でも嫌々やっているはずだ。しかし、これまでに感じたことのない高揚感、それに手足に覚える妙な感覚。内からわき出る力とでも言うのだろうか。血液が沸騰しているかのようだ。足にこもる力はハイヒールで踏むことで発散できるのだが、腕にこもる力はどこにも行き場がなかった。メイドはそこに不満を感じ、思わず動きが止まってしまった。


「はぁ、はぁ、はぁ・・・」


(この変態を痛めつけるのに、足を使うにはこの踵の高い靴を使えば十分だわ。でも、この腕を使っても痛めつけたい。痛めつけたいけど、素手で叩くのは何かが違う気がする。どうして、、、どうして私は得物を持っていないの?)


メイドに得物は不要である。


ぶつけることの出来ない苛立ちのあまり、強く握った右手の拳を振り上げる。


(どうした?動きが止まったぞ。拳を振り上げて何をするつもりじゃ。平手打ちもいいが、ハイヒールと組み合わせるものではないだろう)


変態なりのこだわりがあるらしい。


「あ、あっ、あぁぁぁっ!」


持っているはずのない鞭で変態を叩くように腕を振り下ろすメイド。そのとき3人は、あるはずのない鞭がメイドの手に握られているかのような錯覚を覚えた。そして、拳を振り下ろした瞬間。


「おっ、おぉぉっ!」


国王と魔道師は鞭に打たれたような痛みを感じた。思わず打たれたところを見たが、傷一つない。それもそのはず、実際に打たれたわけではないのだ。


(今のは何だ?あのメイドは鞭など持っていない。しかし、国王は鞭で打たれたかのように痛がっているし、私もなにやら痛みを感じたぞ!?まるで見えない鞭がそこに存在するかのような・・・あのメイドは魔法使いなのか?いや、あのメイドからは魔力など何も感じない。あれは・・・まさか・・・!聖なる神のみわざだというのか!?)


♪ ただの幻覚と幻痛です ♪


(今のは・・・何?私は拳を振り下ろしただけなのに、この変態は鞭で打たれたかのように痛がった。まるで私が見えない鞭でも持っていたかのよう・・・ でも、見える。感じるわ。私の手の中には見えない鞭がある。もう、、、認めるしかないのね。見えない鞭で変態を痛めつけることが出来るなんて、、、私もすでに変態なのね。)


メイドは何かを失ったような気がしたが、それ以上に何かを得たような気持ちになっていた。


その後、覚悟を決めたメイドの動きは見違えるようになった。時折、見えない鞭をふるい、国王はおろか魔道師までもその痛みに従えさせたていた。






「はぁ、はぁ、、、ご苦労であった。もうよいぞ。」


「もう、よろしいのですか? 何となく力加減もわかってきましたし、まだまだいけますが?」


「いや、さすがにワシの体がもたん。今日のところはこれまでじゃ。」


「わかりました。それでは『次の』機会に。ところで、この靴はどうしましょうか?」


「そなたが持っておけば良い。いずれ必要になるじゃろう。」


「ハイ。それでは、失礼します。」


いつものメイドモードに戻り、部屋を出るメイド。すぐに魔道師が国王の下へやってきた。


「国王陛下!今すぐ怪我を直します。」


「いや、直さなくていい。この残された痛みを感じつつ余韻に浸るのもまたいいものでな。」


「は、はぁ・・・」

(変態もここまでいくと立派だな・・・立派なのか・・・?)


「城に戻る前にお願いするとしよう。傷が残っていては心配かけるからの。」


「かしこまりました。」

(心配されるというよりは、間違いなく疑われるだけだと思いますが・・・)


「それにしても、あのメイドは末恐ろしい存在でしたな。あのまま続けていれば、私は自我を保っていた自信がありません。」


「ふむ、遠目に見ていただけのそなたもでか?ワシも同じじゃ。行く末が楽しみな娘じゃ。」


国王は名残惜しそうに着替えたものの、いつもの服装をまとった瞬間に国王たる雰囲気をまとい、「バラの間」を後にした。この辺の切り替えの早さは腐っても国王といったところか。




「今日は無理をお願いしてしまったな。しかし、あのメイドはなかなか良い仕事をするな。」


「それは良かった。よければ、国王陛下がこちらへ来たときの専属メイドとしておきましょうか?」


「うむ、それも良いが、慣れない者のうぶな反応を見るという楽しみもあるしな。」


(うんうん)思わず首を縦に振って同意する魔道師。」


表情は崩さずとも内心はぁ・・・と残念になるこの国の国王。


「まぁ、今日の目的は貴殿の趣味に合わせた書物を贈呈することだったしの、今日はこれで帰るとするか。」


「素晴らしいものをいただきましたし、もっとゆっくりしていってもよろしいのですよ?」


「なにぶん、これでも国王であるからして、あまり国を離れるわけにもいかぬ。それは貴殿も同じであろう。」


「その通りでございますな。いつでもお越しください。事前の連絡なしでも。、転移魔法で来られるように護衛には話をしておきましょう。」


「すまぬな。次が楽しみじゃな。それでは、失礼する。」


帰り際に整列して頭を下げるメイド達の中に「例の」メイドがいた事に気がついた国王であったが、お互いの存在は知らないはずということで、そのまま素通りした。一方、メイドはというと、国王が何やら若干痛々しそうに歩いていたことに気がついていた・・・





踏まれて上機嫌の国王が帰ってからしばらくして、踏みつけたメイドが国王に呼ばれていた。


「ご苦労であったな。気分は悪くないか?」


ただのメイドに変態的な行為を強要してしまったことを心苦しく思っていた国王であった。


「いえ、悪いどころか優れているような気がします。」


「優れてしまったのか・・・」


「ところで、どうやら私はメイド失格のようです。」


「どうした?」


「先ほどのバラの間において、私は自分が変態であることを自覚してしまいました。このような変態が国王陛下の元にいるわけにはいきません。どうか私をクビにしてください。」


メイドは「バラの間」での一部始終を説明した。


「ふむ、それではお前をクビにすることは出来ないな。」


「なぜですか!?」


「お前をクビにしては、私があの国王から責められてしまうではないか。なぁに、王族や貴族だって表では颯爽と振る舞っていても、実は変態ばかりだしな。それくらいなら、普通のことだ。あ、ワシは違うかなら?むしろ、そっちの才能を伸ばしてみないか?表だって商売という訳にはいかないかもしれないが、人知れず後ろ盾をつけてやることくらいは出来るぞ?お前は変態などではない。人を喜ばす(悦ばす)ことに才能を持った人間なのだ。」


「陛下・・・(涙)」

(今、国王っておっしゃった!?やっぱりあの変態はどこかの国王なの?)


程なくしてこの国に「神の見えざる鞭」を使う闇の女王が誕生し、一部の王族、貴族の心を鷲づかみにしたという。


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