表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/10

商店街



次は近くの商店街。ここは人がほとんどいなかった。まあ、シャッター開けて客を待つ酔狂な人間がいないからだろう。僕らの他にもちらほらと人がいたが、ただぶらぶらしているだけで、シャッターの下りた店など見向きもしない。

その時、彼女が僕の服の袖を引っ張る。


「あ、田上精肉店!懐かしいなぁ。彰さ、高校の帰りに『食欲の秋』だからってここのスコッチエッグの早食いして賞金貰おうとしてたよね」


彼女が指差す方を見ると、剥がれかけたペンキで『田上精肉店』と書かれたシャッターがあった。

そうだ、ここの隣が食堂になってて、野球ボールくらいのスコッチエッグ10個を制限時間内に食べ切ったら賞金三千円、食べ切れなかったら罰金三千円というのが名物だった。これが中に大ぶりな卵が丸ごと入ってる上に、挽肉が多くひどく食べにくいものだった。


「でも途中でぶっ倒れて救急車呼ばれたけどな」


僕は挑戦して5個目で卵の黄身を喉に詰まらせて気絶してしまったのだ。それで気付いたら病院のベッドの上。結局罰金は勘弁してもらえたが、賞金は貰えないし、それ以上に治療費諸々に金がかかってしまったのだった。


「そういえばさ、何であんなのに挑戦したの?あんたじゃ無理って分かりきってたじゃない」




一瞬、心臓が止まったかと思った。

“今だ”

そう聞こえた気もする。




「もしかして、女の子にプレゼントしたかったとか?」


「んな訳ねぇだろ。青春の思い出に挑戦したかったんだよ」


彼女のにやにや顔を見ないようにして僕はそう嘘を吐いた。




本当は彼女の言う通り、プレゼントが買いたかった。

けど結局失敗してしまった。





「あー疲れた…。ここは何もないし、他の場所行こう」


そう言って僕は彼女の背中を押した。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ