説明回はここまで、だったら良いな……
2013422、誤字修正と若干手直し。
何となく読み直していたら、自分でも理解できない説明発見。
「覚えている限りはとりあえず、現時点で取れそうなスキルは全部取れたかな?」
独り言で自己確認。
地球とは違う星座。満天の星空の下……にある、人気の無い神殿の真っ暗闇な内部。
ファンタジーの定番、『二つだったり欠けてたり青かったり赤かったりする月』を拝もうかとも思っていたソラだったが、今日のところはゆっくりと考える時間が欲しかった。
今日一日だけで、緊張感の欠片も感じられないような行動ばかり目立ったが、まだ少女と呼ばれる年齢のソラ。
急に訳の分からない世界に連れて(?)来られ、いきなりの単独行動。ゲームシステムが自分に適用される不可思議な現象。空腹。孤独。謎の木の実。そして、外敵との遭遇と初戦闘。
それらは、この世界を知らない無知な少女を疲労させるのには十分な──
「ターン制コマンド選択式RPGでは基本雑魚なのに、戦闘アクション型RPGだと動きがリアルであればあるほど癖があって強くなるよねぇー、犬とか猫は」
疲労させるのには十分な──
「主な敵が人型のアクションゲーだと十中八九、初心者キラーだし。ペルギルだと速くて攻撃は空振るしチマチマ爪が痛いし、飛びかかりからの噛みつきは即死属性持ちだし。さすが、変にリアル思考でキャラクターの死にやすさに定評のある洋ゲーで進化したオープンフィールド型RPGの王道。純日本産の癖によく洋ゲーと勘違いされる『Persona not Guilty』の難易度はハンパないぜ……」
十分な──
「勘違いしたプレイヤーも、NPCが分かりやすい萌え系とかツンデレとかヤンデレとかアホとか王子すぎる王子とかメイドとかメイドとかメイドとかで、疑いの余地がないほど日本産だと思い知る……それがペルギルクオリティー」
十分……
「……さて、スキルも基礎は揃ったし、序盤で重宝する犬素材も手に入ったことだし、さっさと『パレット』して寝よ」
……。
「……独り言増えたよー。寂しいよー。真っ暗怖いよー。ウソだよー」
……ウザいほど元気、だった。
「パレット・オープン!」
叫ぶと、絵描きが絵の具を乗せて利き手とは反対の手に持つ木製の、歪んだ丸形のパレットをモチーフとした窓が眼前に展開。『スキル』『魔法』『アイテム』と項目が浮かび上がるその様子は、まさにゲームのエフェクトそのまま。
なお、ゲームの主人公は多くのRPGと同じで喋らない。
『パレット』の説明役である宿屋の親父が「こうやるのだ! パレット・オープン! さあ、やってみろ!」と言った後に、プレイヤーはメニューを開き『パレット』を選択するだけ。すると親父は「む? 随分とシャイな奴だな!」と笑う。
このイベントから、「『パレット』は声でもメニューからでも選択できるのがゲーム内の常識」ということが判り、つまりは「NPCもパレットを使える」「パレットはプレイヤーの特権ではない」「NPCも自分のステータスを見たり、スキルや魔法を調整する」ということも連鎖的に判明する。
多くのプレイヤーが見逃す些細な伏線だが、実は「プレイヤーが戦うことになる数少ない人間キャラの中には、そのプレイヤーが頻繁に使うスキルに合わせた『対プレイヤー用のパレット構成』に戦闘前、もしくは戦闘中にスキルが変更されるキャラがいるよ」という、制作会社からの分かりづらい忠告だったりする。分かるか。
閑話休題。
『Persona not Guilty』に存在する殆どのスキルは、所持しているだけで効果を発揮する。<光合成><身体強化><受け身><攻撃強化><韋駄天>などなど。
公式サイト上にある募集ページから応募すると次回の追加パッチで密かに採用されたりするため、ネタや隠し含め、その総数は発見されたものだけで千の大台を突破。この「追加パッチ」のためだけのオンライン、である。
約半分がゲーム上では効果を発揮しないネタスキル──ネタの例として<二重瞼>「所持で奥二重、使用すると二重」主人公は仮面なので意味なし──とはいえ、管理は面倒だし、縛りプレイ用のマイナススキルもあるし、有用でも人によっては邪魔になるスキルもあるだろう。
<起死回生><猫噛む鼠>のような「瀕死時に攻撃力アップ」を活かして超火力を楽しみたい場合、自動回復系はただただ邪魔。
「常時発動と効果停止の切り替え」
これも、パレットの大事な役割ではあるのだが。
他人には見えないパレットを、指でちょいちょいと操作するソラ。
「<暗視><夜行性><飛行>で<吸血鬼>だっけ? ……何故に、実用性に欠けるスキルを作ろうとした自分。いや、<吸血鬼>強いよ? ただ、弱点多いし<飛行>勿体ないし、戦闘能力以外微妙すぎ。<飛行>使うなら、王道はやっぱ<天使>?」
──パレット最大の特徴は、絵の具と絵の具を混じり合わせて別の色を生み出すように、スキルとスキル、魔法と魔法、アイテムとアイテムの合体させて強力なものに変化させる『カラーブレンド』。ネットや会話では『ブレンド』『調合』『色混ぜ』などとも呼ばれる、『Persona not Guilty』のゲームとしての最大の特徴であり個性だ。
混ぜた元となったスキルは合成スキルを解体するまで常時発動の効果は消えるし、他と混ぜることができない。
効果が似た、どころか全く同じスキルがあった場合。
片方は混ぜ、強力な別のスキルに。もう片方は残し、常時発動効果で基礎を上げる。それが基本だった。
「よし! いつも通りの『超特化七変化』でいっか」
──『超特化七変化』
それは『公式チート』とも呼ばれ、高いプレイヤースキル(操作の上手さ)が必要だが、使いこなせば敵無しの『パレットシステムの盲点』だった。
次からようやく神殿を離れる主人公。
ここから先、まさかのネタバレ次回予告。
勇者、空気になる。
20140303 「万の大台」→「千の大台」
明らかに違和感があったので減らしました。それでも多いけど。