表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
百合な少女は異世界で笑う  作者: テト
帝国編 ~土地を分けてはくれませんか?~
53/133

爵位でごはんは食べられない

 ガングリファン帝国の支配構造を三角形で例えた時、皇帝の下の大公の下の者。つまりは帝国で上位の支配権に当てはまるのが、重要な拠点を皇帝や大公から任せられた貴族、である。


 日本語に訳すと皇帝、大公、公爵、侯爵、伯爵、子爵、男爵、騎士。

 そんな、物語でよく見掛ける形に呼び名が分かれるのだが、帝国の場合、大公から下はイコールで偉い順、ではない。



 家計が火の車で男爵相手にペコペコと腰が低い公爵が居れば、侯爵を取り巻きにする子爵がいたり。



 男爵と騎士の間には越えられない壁が存在したりもするが、大凡おおよそは支配する土地の重要性や資金力が物を言い。

 よくある武功や大手柄、大発見などのこうは「爵位」という名乗りを獲るためのもので、その「爵位」は一人の人間が複数持っていたりもする。



 『公爵で伯爵で男爵の、○○公爵』



 爵位とは偉い順ではなく、帝国のためにどれだけ頑張ったのかという証。


 爵位による特典もあるにはあるのだが、国からの領地運営の支援金が多少増えること以外、「男爵は館に住み、伯爵からは城に住む」といった古臭い形骸化された『貴族としての嗜み』を課せられるので、むしろ男爵や子爵の方がお金は貯まりやすかったりする。



「貴方は公爵級のポイント……じゃなくて功を皇帝に捧げたから公爵って名乗っていいよ。お小遣い増やすからいいよね? あ、これ公爵としての立ち振る舞いを書いた本だから、明日までに暗記してね」



 名乗る時は「これだけ皇帝様に頑張ったって言われた貴族なんだよ」という意味で、一番上の爵位を名乗る。

 男爵より公爵の方が納めた功が多いため、例えそれが御先祖様の功だったとしても、見栄を張って一番の爵位を名乗るのだ。下の爵位を名乗っても罪でもなんでもないのだが、それが貴族なのだ。


 子供ができ、その子が使えそう・・・・なら使っていない爵位を譲る。






「つまり皇帝は、『私立ガングリファン小学校』の理事長の息子で」



 ソラちゃんの、よくわかる帝国の爵位教室。



「百点を取れるカンニングペーパーをあげたから公爵。八十点取れるカンニングペーパーだと侯爵。赤点を逃れるための要点だけをテスト前に教えてくれたから男爵。皇帝の役に立ったほど、取り巻きとしてのランクが上がるんだね」


 ガキ大将の左右が定位置の公爵。

 男爵は、ただのクラスメイト。


「だけど、公爵は頭の良い誰かにカンニングペーパー作成を依頼しただけで、本人の頭は悪いのかもしれない。男爵は頭が良くて、皇帝のためを思ってヒントだけにしたのかもしれない。そうなると公爵はテストのたびにヒーヒー言って、男爵は余裕を持ってテストに挑む、と」


 テストは資金運用。勿論、余裕な公爵も、ダメダメな男爵もいるだろう。


「確かに公爵には感謝してるけど、いざとなったら男爵を頼りにするわけで」


 左右に侍らせてるけど役に立たない取り巻きと、質問したら教えてくれるクラスメイト。



「そんな小学校でよく見られる光景に、公爵に焼きそばパンを買いに行かせ、男爵には頭を下げて教えを請う皇帝の姿。皇帝と遊びに行くと小学生が行くにしてはランクが高いブランド店とかで、公爵は付き合いで散発。ただのクラスメイトだから、男爵は一緒に買い物とかは無し」




「立ち位置としては、公爵より男爵のほうがおいしいよね!」




 解るような、解らないような。


 説明していない部分も、途中からダメダメ公爵と優等生男爵のお話になったりもしているが、爵位が貴族としての偉さや力関係にあまり影響しないという説明はしっかりとされている……のか?




「良くできました」

「えへへっ」



 飛びながら移動している暇な間にした、帝国の勉強。



 ソラ限定・・で、とにかく褒めて個性を伸ばす方針のベル先生は、今日もソラには甘々だった。







・・・






 良くも悪くも鉱山都市。

 これからはお隣さんになるなんとか伯爵のなんとかという街──ベルは知っているがソラは覚える気が無い──に到着した二人だが、金属を加工する際に使われる油が原因だろうか。


 硫黄やガソリンスタンドともまた違う、独特な臭い。



 スキルにより五感が超人なソラは、街から目立たない位置に着陸する時には臭いを感じ取っており、スキル<嗅覚>を合成して<鼻栓>へとすぐさま変えた。

 お陰でベルが顔をしかめる中、通り沿いの様々な金物屋を観察していた。





 因みにゲームの効果としての五感強化系スキルは、ステータス微上昇。


 <嗅覚>は、フィールドの採集ポイントが増える。

 採集できるのが花ならまだ分かるのだが、匂いの無い鉱石のポイントはどうやって発見するのだろうか。



 五感弱体化スキルは、ステータス変化無し。


 <鼻栓>は採集ポイントの減少。それと、オナラやガスといった『悪臭攻撃』を喰らうとキャラクターが行う「咳き込みながら、左手で鼻を押さえて右手で顔の前を扇ぐ」という隙だらけなモーションをカットしてくれる効果が。

 <嗅覚>、その上位スキルの<獣の鼻>で『悪臭攻撃』を喰らうと通常時以上に長く拘束されてしまうので、採集ポイントから取れる素材がいらないのなら<鼻栓>固定の方が良い。


 どちらが強化で弱体化なのか、いまいち分からない仕様であった。





 スキル効果が現実仕様となり、料理にも影響するので強化固定だったのだが、これからは時と場合でコロコロと変えそうだ。


 <盲目><馬鹿舌>辺りはゲームでも現実でもいまいち使いどころが見当たらないなぁと、ベルと手繋ぎながら街を歩くソラは思った。




何気に手繋ぎデート。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ