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百合な少女は異世界で笑う  作者: テト
それぞれの物語、謎の介入者
45/133

卵、茹でてみた

2013 12/29 誤字修正。ご指摘ありがとうございます。

2014 3/9  誰が喋っているのか、文字追加。

2014 3/17  誤字修正

グリモア・・・・で今後の予定は知ってたから此処で待ってたんだけどさ、もぉーヒマでヒマで。時間も能力も手元にあったから、やっぱり『一日本人』として異世界に来たら作っちゃうよね、温泉って」


 そう簡単に作れるものでは無いと思うのだが、「お決まり」を大事にしたりしなかったりするソラとしては、もはや必須項目である「温泉」。所々に乱立させるも、プライベートゾーンにするのも、作らずに捜すのもまた、それぞれがジャスティスだと信じてはばからない。



 お湯にじっくりと浸かる習慣が無い『流れ星』女性陣は早くも顔を赤らめているが、様々な意味でお風呂大好きなソラと、歴代勇者の血と汗と涙の結晶がしろにあったベルは、まだまだ余裕綽々。 



 製作者兼配給者のソラが「本」としか呼ばないせいで名称不明であった、通信機能付きの不思議な本。その名詞的なものがサラリと告げられたのだが、正式名称『友情のグリモア』なのが実に惜しい。


 この場に居るソラ以外の持ち主がそれに反応したかというと……。




──二名とも、聞き逃していた。






 豊かなそれをプカプカと。

 ソラ以外の・・・・・視線を独り占めするその様は、まさに一対の宝玉。



「いーなぁー、カタリナはおっきくて」


 ニーナが羨ましく口に出す隣で、見た目や性格から胸囲の事など気にしなさそうなアルセだが──


「弓を引くのに邪魔……そう、邪魔なんだ……邪魔、邪魔、邪魔、邪魔……(ブツブツ)」


 一番、ダメージを受けていた。



「何だか、美味しそう……」

「そこまで膨らめば、後は垂れるだけね」


 ネルフィーとベルの言葉は、カタリナに二種類の悪寒を与えるに至った。



「ニーナが一番まともね」


 自分のブツを揉んで、見比べるニーナに暖かい目線を送るカタリナ。


 怨念と食欲、その二つが込められたら目とは絶対に合わせない。

 いや、気にしてなさそうなタイプが一番気にしているというのはまだ理解できるしアルセの女子力向上に役立つ新たな発見だが、エルフに食欲を向けられるとか、意味すら分からない。




 そして最後の毒強めな発言者とは、何度も何度も、目で語り合っていた。





 ちらっ。流石のソラも脱衣場で仮面を外し、結構簡単に外したことにベル以外は驚いた。


「(素顔かわいい)」

「(そうでしょう)」



 ちらっ。お湯は透き通っている単純温泉。


「(ちっぱい、ね)」

「(ちっぱいわね)」



 ちらっ。女性の裸体がそこにあるのにどうしてかソラは上の空。 


「(どうしたのかしら?)」

「(魔法使用中かしら)」



 ちらっ。


「(……かわいいわぁ)」

「(……そうね)」




 実際、ソラは日本に居た頃から近所でも評判の美少女であった。



 街を歩けばナンパやスカウトは数知れず、軟派な小学生や中学生から声を掛けられ、ジュニア・・・・アイドルへの勧誘と。


 高校生・・・になってからは、外出も増えたため、特に酷かった。 




 ソラはその性癖から女子高を選び、容姿や性格、そして明け透けな「女の子好き」から上下問わずの『アイドル』『マスコット』『残念な妹』として可愛がられ、後輩には頭を撫でられ、先輩には餌付けされ、同級生では最大派閥の(健全な)ハーレムを形成していた。




 ソラは海外どころか異世界でも通用する、ワールドクラスの美少女なのだ。




「(……本当に成人・・してるの?)」

「(ええ、十七歳ね)」



「(どう見ても十歳かそこらなのに……)」



 ニートルダムの現在居る大陸では、基本的に十五で成人と見なされる。



 身長が高く発育の良い海外や異世界だと、日本以上に幼く見られる美幼女──美少女なのだ。





 そしてその本人といえば、先程から大人しく───




「(ぐへへ、脱衣から身体の隅々までスクショとムービー、ゲッツ!)」


 『Persona not Guilty』では魔法扱いだった『スクリーンショット(現在の画面を静止画で保存)』『ムービー(動画撮影)』を駆使し、イメージビデオというよりは盗撮系アダルトビデオ、その制作作業に熱中していた。



 そんなことより生を見た方が早いとは思うが、そういうさがなので仕方がないのだ。






・・・






 カポーン。




 男は一人、お湯に浸かりながら砂時計を見ていた。


『──この特注の砂時計が下までいったら、温泉卵を回収しといてね。女のお風呂は長いから』


 砂はまだまだ。




「よしっ、一段落したことだし、今度は実食といこうか! まずはちっぱい!」

「ちょっ、揉むならカタリナ!?」

「んじゃ、私がカタリナの揉むー!」

「やめなさいニーナ! ちょっとネル!? それっ、触手は洒落にならないから!?」

「……ふぅ、騒がしいわね」




 カポーン。




 姦しい声を意識しないように、男は星空を見上げて呟いた。




「いいな、温泉……」

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