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百合な少女は異世界で笑う  作者: テト
勇者の旅立ち
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大人な乙女の嗜み(笑)

 誘拐犯と被害者。

 悪魔と捕らわれた姫。


 そんた関係を二人だけで水に流してしまい、お互いに聞きたいこと、言いたいことを話し合った二人。




「ソラはソラちゃんであってソラちゃんでしかないよ」 


 頑なに、キャラ作りのためか日本での本名を口にしないソラ。


「私は……」


 本名を言いかけた姫は、とても長くて面倒くさいそれを、黒い髪、黒い瞳の少女を見て、止めた。




「私は、ベル」



 短い。



「ハンターには姓を秘匿する暗黙のルールがあるらしいね。まぁ、二人ともハンターじゃないけど」


 何かを察したわけではないが、話を逸らすソラ。


「因みに、ソラちゃんの目にはズバッと全てお見通しなのだ!」


「貴方だけの魔法ね。そんな魔法を私は知らないから、あまり人に言い触らしたらダメよ? そんなギフトはあるらしいけど……」


「むぅ」


 自分に知られたくないとかかな、というソラの予想は全く違ったらしい。

 ギフトの能力──というよりは『Persona not Guilty』というゲームの特殊性や面白さについて、自分のことよりも熱く語ったことを忘れていたらしい。


 答えが分からず頬を膨らませる少女。


 それを見て素直に「かわいい」と思ってしまうお姫様──ベルは、結婚したくないという理由で最悪は国を自分ごと滅ぼしてしまおうとするような人とは思えなかった。



「……私のこと、王族とは思わないでね」



 王族ヒロインの鉄板ネタに悶えるソラも、街を襲い王族を誘惑した犯人とはとても思えない。




 この二人、自分が仕出かしたことも忘れて、実にマイペースである。






「今日は此処に泊まって、明日から旅に出ようか」


 何が何でも結婚したくないベルと、かわいい女の子なら大歓迎のソラ。

 バレてはいないはずだけど外壁を壊したり姫様浚ったりと即死刑モノのソラは王国からいち早く離れたく、またベルはベルで家(城)には帰りたくない。


「下は十から上は四十、そんな妾ばかりの肉塊にくだんごなんかに嫁ぎたくはありません」

「世界が否定しても私は味方だからね、ベル」


 王族の義務やら何やらで拒否する訳にも自殺を選ぶわけにも殺すわけにも逃げる訳にもいかず、ならばと取った手段が勇者の召喚。

 たとえ計画が失敗して勇者らしい勇者が出来上がったとして、独断とはいえ、ここ数十年間、とある理由から行われてこなかった勇者召喚を成功させた第三王女を裁くことは、神よりも勇者を崇める王国には不可能だろう、という打算。


 まさか、計画の失敗・・・・・からの大逆転とは。


「お姫様を救い出す勇者とか王道だし、勇者も追ってくるんだろうな~」


 勇者大好きなこの国に溢れている絵本のような物語を想像しているであろうソラ──実際には魔王に(ピー)されている姫を妄想中──に、ベルは悩みながらも、厳しい現実を教えてあげようと口を開けた。






「勇者はあなたの同類よ、ソラ。男同士、のね」






・・・






 カレが殺された


 それはアタシのせい


 カレは「ユウシャ」の相手に相応しくないと


 アタシが「ユウシャ」だから


 カレが「キシ」だから


 アレが「オウサマ」だから


 だから殺した


 カレを殺した「オウサマ」を殺した


 ちょっと巻き込んじゃったけど、きにしない


 アレの「クニ」だから


 ワルいのはアレ


 アタシはワルくない


 カレは死んだ


 だからどうでもいい


 ニンゲンに襲われた


 殺した


 「ユウシャ」なのに


 アタシは「ユウシャ」なのに


 「カタキ」?


 カレを殺したアレを殺した


 アレを殺したアタシは殺される?


 だから殺す


 カレは足掻いたから


 アレもあがいたから


 アタシもアガく


 殺して殺して殺して殺して


 殺して殺して殺して殺して


 ころしてころしてころしてころして


 コロしてコロしてコロしてコロして


 コロしてコロしてコロしてコロして


 コロしてコロしてコロしてコロされた


 カレは「キシ」


 アタシ「ユウシャ」


 アレ「オウサマ」


 カレはアタシの


 アタシの


 アタシの?


 アタシの、ナニ?


 カレはナニ?


 アタシ?


 カレ?


 カレは


 カレ


 キシ


 カレ


 アレ


 アタシ


 カレは


 カレはキシ


 アタシのキシ


 カレはアタシのキシ






・・・






「国を滅ぼした勇者は、恋人を王様に殺された女勇者だったらしくて。恋人を殺された女勇者の強い感情に呑まれた精霊は、何がどうなったのかは分からないけど、騎士の男性にメロメロでね」


「そんな精霊を取り込んじゃった勇者──男の子ね──は、自分の意志ではどうにも出来ないほど、男性騎士を見かけると欲情・・してしまうそうなの」




「異世界にきて、勇者まさかの強制ホモ化……というかベル、勇者と同類って、私は女性なら誰でも欲情するわけじゃないよ?」




「騎士団の中には結構そっち・・・の人が、特に騎士団長は有名・・・・・・・だから、今、騎士団内では誰が勇者を攻略するのか問題になっているわ」




「……ベルの婚約者って」




「……当分、男は見たくない」



勇者(男)の攻略対象キャラ



騎士団長は『渋系』


副団長は『鬼畜系』


エースは『素直クール』


同い年は『ツンデレ』


ライバルは『熱血系』


年下は『気弱ショタエルフ』


下働きは『小悪魔系』


その他『王子(本物)』『王子様キャラ』『 姫(男)』『平凡』『執事』『傭兵』『魔族』『忍者』などなど、豊富なジャンルをご用意。



以降、タイトルに(笑)が付いたら注意。



この小説は、百合小説のはずです。

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