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百合な少女は異世界で笑う  作者: テト
勇者の旅立ち
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悪魔小悪魔悪魔憑き

 目を丸くして、口を半開きにして固まるお姫様。

 悪魔に誘拐され、気絶して、布団が凄くて、場所は襤褸くて、少女が全裸で。


 少女の背中から悪魔の翼が現れたと思えば、それが白く染まり。



「悪魔も天使も自由自在、仮面の美少女ソラちゃんとは私のことだよ!」



 仮面なのに、顔を隠しているのに美少女だと分かるのか。

 そんな脱線した感想が頭に思い浮かぶが、口はパクパクと動くだけで言葉は出ない。





「あ、あ、悪魔憑き……!?」



 ようやく口から出てきた言葉に、未だに全裸な少女は首を傾げた。





 ソラにとって悪魔とは、黒い翼が生えたスキル<悪魔>の状態のことを言っている。


 同じ日本人である召喚仲間ならば黒い翼を根拠に「姫を攫ったのは悪魔だ」と判断したかもしれないが、それは宗教に染まって居らず、悪魔が出てくるサブカルチャーに多少でも触れている地球人の認識であり、此方の世界ニートルダムの人々にとっての「悪魔」とは少々異なる認識だった。


「一般人にも可視化できるほどの黒く禍々しい魔力を纏った、魔物の一種」


 ソラの<悪魔>スキルは翼から常に黒い羽根が舞うエフェクト付きで、その舞い散る羽根が黒いオーラを纏っていた。


 羽根が生えているとは限らず、悪魔自体は人型ではない。

 そんな悪魔は生物に寄生する習性があり、取り憑かれた生物は黒い魔力を纏った、今までその生物が持っていなかったはずの生物的な部位が生えるのだとか。






「いや、悪魔憑きちゃう、小悪魔ソラちゃんや」



 悪魔憑きは精神状態が不安定になり、凶暴になるのだとか。


 隠れているのがバレた焦り、そして仮面キャラがやりそうな「誘拐」という自分でもビックリなことをやらかしたソラは、確かに不安定な精神状態ではあるが、凶暴ではない。

 誘拐した女の子と二人きりという、邪な精神は健全に凶暴化しているが。



 因みに、ソラが姫様から悪魔の情報を聞き出しているわけではなく。



「──悪魔憑きの退治方法は、寄生体の死亡により体外に出てきた悪魔を倒すこと……悪魔は一度外に出て、死んだ寄生体を自分に都合の良いように洗脳した状態で蘇らせる……死体を残さなければ次の生物に寄生し直すだけ……不完全とはいえ死者蘇生を容易く行うことから、悪魔の体内魔力はエルフどころか伝説の魔王すらも軽く超えていると予想される……悪魔は霊的生命体だから──」



 状態の垂れ流し。



「こうやって会話できるほど理性的。攫った上で殺さずに寝かせるなんておかしいでしょ」



 ──と、作り立ての服を着ながら口を零した。


 自分にしか見えないウィンドウを操作し、装備を選んで『装備する』を選択。すると身体に纏うように光が現れ、光が消えた部分には今まで無かったはずの下着が、服が現れた。



「……!?」



 あまりにもゲームチックな、ニートルダムこちらの人々からすればただただ不可思議な光景は、姫様の独り言マシンガンを止めるには十分なインパクトがあった。


 ギフトとは一人に一つの能力。

 羽根を生やして飛んでみせたのがギフトだとしたら、今見せられたものは何なのか、この世界の人間だからこそ分からないのだ。







 ソラが成り行きで誘拐してきたのは、勇者召喚の黒幕っぽいお姫さま。

 ここは抵抗する気力を奪うほどの圧倒的な力を見せつけ、この場での上位者として脅迫紛いの情報収集をするべきところなのだろうとソラは考える。


 姫様監禁……何だか胸が萌え──燃える展開である。


 ソラは、地球では生で見る機会が少ないお姫様というものをじっくりと視姦──もとい、観察する。

 観察対象は何か感じるものがあったのか、布団で胸元を隠した。



 年齢はソラと同じか、少し年上。

 あまり外に出るイメージのない姫様らしく、白い肌。

 異世界の姫と言ったらソラの偏見、赤毛かピンクか金髪だ。この姫様は耳を隠す程度の金髪。

 線は細く、胸は控え目。

 身長はソラより高いが、城下町の女性よりは少し低い。

 今のところ無表情か驚く顔しか見ていないが、ソラからすれば無表情でも可愛らしい。




 結論、正統派美人。




「勇者と一緒に召喚されて、柱の陰に隠れていたソラちゃんだよ!」



───ソラは好みの女性相手だと、過剰なほどに弱かった。

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