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百合な少女は異世界で笑う  作者: テト
勇者の旅立ち
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ケモナーに朗報

 城を中心とした円形の城下町。四方に伸びる大通りは城へ向かって緩やかな上り坂となっており、建物の高さに制限でもあるのか大通りならばどこからでも城が望める。

 外壁を破れば実に攻めやすそうな造りをしているのは、この国が建国以来、人間相手に一度も戦争を経験していない証拠か。


 “魔物”という存在が、守りを固める理由となると同時に攻めづらくさせる要因なのだろうか。



 焼き鳥っぽい串料理を屋台で販売している薄着で汗だくで巨乳のお姉さんを仮面越しにガン見していたソラは、屋台の裏からお姉さんに親しげに話し掛けるマッチョな男性が現れると、恨めしそうに睨んでからその場を去り。


 戦争シミュレーションを開始しながら、平和そうな城下町を城に向かって歩き出した。


 私が敵国の指揮官なら百戦百勝と、妄想の中では一騎当千なソラ。指揮官と言いながら、最前線で戦うのはゲーム脳か。




 当たり前のように剣が売られている武器屋、誰が着るんだというフルプレートアーマーを展示している防具屋、本屋で立ち読みする黒ローブの怪しい人物、猫耳犬耳エルフ耳と、異世界情緒溢れる大通りを物珍しげに歩く。



 獣人が居るのはファンタジー世界の必然だと思っているソラだが、この世界の獣人は、ケモノ率がバラバラ。

 猫耳だけで他は人間。顔が猫で体は人間。胴体は人間で顔と手足が猫っぽい。二足歩行の猫。


 全てのレベルのケモナーに対応しているこの世界の潜在能力の高さに小さな戦慄を覚えつつ、道行く人に解析の魔法をかけてはステータスを覗くソラ。

 法律とか暗黙の了解などを知らないことを開き直り、好奇心の趣ままにプライバシー無視。




 そうやって集めた情報をまとめると。




『表示されるのは、名前、種族、レベル、ギフト、称号』


『ゲームと違い、力やHPといった表記は無い』


『称号持ちは少ない』


『ギフトは似たり寄ったりなものが多い』


『称号魔女や、種族ハイエルフはいない』



 一と二は、魔法がゲームとは違う効果を表すという、スキルにもあった謎の現象。


 これはソラの考えだが、ソラのギフトは『Persona not Guilty』のキャラクターシステムをこの世界が再現・・したものであり、ゲームのものを真似ただけでその実態は全くの別物だろうというもの。


 だがそうなると、レベルが自分に適応されないのはおかしいのではないのかと神様的存在に訴えたい。



 三、四、五は、ここには平民しかいないからではないかと推察する。


 ギフトはある程度、遺伝するのかも知れない。そしてもし平民で強力なギフト持ちが生まれれば、国に引き抜かれたりハンターとして大成したりで結局、こんな街中では働かない。

 「ギフト差別」なんて言葉がありそうだなと、ソラは変わり始めた風景を見ながら思う。



 因みにソラ自身のステータスもメニューや魔法で見れるのだが、そちらはゲーム通りの表記でレベルが無ければギフトも無い。称号はゲームでも似たようなものがあったので対応していそうだが、そんなものよりレベルをくれと神様に文句を──祈りを捧げる。






 貴族的な人のギフトを調べたいなと、そちらにいそうなので城に向けて歩くソラ。

 城に近づくにつれ、どうやら貴族街となっているらしく建物と敷地が大きくなっていく。


 が。



「……貴族が平民みたいに街中で群れているわけない、か」


 がらんとしていて、人通りが殆どない。


 貴族御用達の店が建ち並ぶのは別の通りにあるのか、ここは貴族の住宅街。

 たまに使用人らしき人は見かけるが、貴族本人は収穫無し。




「城に行こう」


 そういう答えになるのも、当然のことだった。






・・・






 城に入るのは簡単だ。


 隠密系スキル全開。


 その絶大なる効果は外壁破壊後に体感したので、今回はそれと<飛行>を合わせてまずは空から偵察。

 堂々と正門から入ってもバレなさそうだが、城を守る騎士の中には索敵系ギフトの持ち主が、もしくはそんなものが無くても分かってしまうチート騎士が必ず居るはずだと異世界テンプレート的に判断。




──そしてソラは、テラスに出る姫様っぽい人を見つけた。




 隣に音も姿もなく着陸すると、開きっぱなしの扉から室内に侵入。



 そして城内の貴族を探しに──行くこともなく、何故だか、天井に張り付いて・・・・・逆さまな体育座りで待機することにしたのだった。



「姫様とか貴族の令嬢とか、日に何度も着替えるイメージが。つまり、ここで待機していれば姫様の生着替えが──」


「……? なんだか声が聞こえた気が……?」



 スキル<消音>で消えるのは足音や服の擦れる音で、声は消せないようだった

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