道中小話
実験的な小話。会話多め。男に対して理不尽なイビリ注意。
2013/10/18 キャラの口調を整えました。前話も書いてませんが、微妙に改稿してます(前話に書け)
「成る程。人を襲うのは、増え過ぎたコロニーを分散させた時の新しいボスを決める儀式なんだぁ」
「コロニーにはそのコロニーの大きさに見合うボスが居るの。あそこまで大きなコロニーなら、単独でランクB、もしくはAに匹敵してもおかしくないボスが居たはずだよ」
妹と仮面。
「(あ、インベントリ内に『狼王』系の素材みっけ。それっぽいの居たっけ? ……C、胸より尻)」
「お前のギフトは、なんだ?」
「ギフト? ……ごめん、私の故郷はこっちだと秘境扱いの場所でさ、旅してからもこっちの人と世間話以外会話してないから『ギフト』が何を指す言葉なのか分からない。『先天性特殊能力』のこと?」
幼なじみと仮面。
「(貴重な情報ゲト。ありがと、クール貧乳娘)」
「……ちっちゃい」
「小柄な民族の中でも小柄だからね。多分、もう成長はしないかな」
エルフと仮面。
「(拝啓、母様へ。貴方の娘さんは今、同じ身長くらいのエルフっ娘に頭を撫でられています。そちらの世界にエルフっ娘が見つかりましたら帰りますので、それまではこちらの世界に留まろうと思います。連絡お待ちしております。敬具)」
「小さいのに強くて、故郷を離れて一人旅……」
「強いのは『ギフト』? のお陰だけど、故郷だとそんなに浮いてなかったから、実は強力な『ギフト持ち』が生まれやすい秘密の一族だったりして。まあ、盛大な迷子中だから帰り道分からないけどね!」
魔法使いと仮面。
「(嘘じゃない。素の私なんて雑魚だし、勇者一行は確実に私以上の強さだろうし、異世界級の迷子だし。魔法使い風のお姉さん、正直者な私に是非ともその豊かな谷間のご褒美を)」
四人の異世界美人に囲まれたソラはあっちこっちに目をやりつつ、見るからに上機嫌な気分で口と頭を働かせる。
情報を仕入れつつ女の子とキャピキャピ。
最高の異世界チュートリアルだ。
「おーい」
「ところでさ、街に向かってるんだよね?」
「そう。調査結果の報告」
「つまらないぃ……もっと戦わせろぉぉぉ!」
「うるさいけど、正直同意」
「確かに、打ち足りないわねぇ」
「……もしもーし」
「あ、角がある兎……って、デカっ」
「おっ、晩飯!」
「『ジャイアントホーンラビ』。突進だけ注意。非常に美味しい」
「肉を傷めちゃうから魔法は駄目ね、残念」
「歌う?」
「……あ、鳥だ。いいなお前は、一人自由で」
「早っ!?」
「びっくり」
「……やっぱり、タダ者じゃないね」
スタートから耳を掴むまでの速さに驚く、尻、貧、巨。
「そういえば昨日から何も食べてなかったー! 焼いていい!? ねぇ、焼いていい!?」
「歩きながら?」
兎の両耳を片手で掴んで持ち上げる極貧と、それと同レベルなエルフ。
「!? 鳥が、消えた……?」
「焼き鳥も作る!」
「いつの間に!?」
「飛んでる鳥を……!」
「……」
「ご馳走?」
「鳥いぃぃぃぃぃ!?」
「うるさい」
「ブホッ!?」
耳を掴まれて生け捕りにされた兎(体長一メートル)を武器に、腹部に重たい一撃。
「ラビットアッパー、ラビットチェスト、ラビットハンマー」
「がぁ、ぐぅっ、ごほっ!?」
顎、後頭部、留めに胸の三連撃。背中から地面へと吹っ飛ぶ青年。
「ふぅ、いい汗掻いた」
「ダメでしょ!」
為すすべもなくやられ土と屈辱感にまみれた青年は、仲間の、魔法使いのその声だけで救われた 。
「(あぁ、やっぱり仲間って──)」
「耳が美味しいの! 炙れば最っ高のツマミになるんだから!」
エルフ「飲んべえ」
幼なじみ「強くなくてもお酒が好きなのね、ほんと」
妹「耳より内臓うまー」
仮面「ミミガー? って、酒に弱い酒好き……(酔わせてお持ち帰り、だな。あ、ミミガーは豚か)」
「………………ガクッ」
「こちら、ハーレムパーティー撲滅委員会所属のソラ。只今、ハーレム男一匹を物理的に処理。これより、精神的な虐め……失礼、精神的な処理に移る」
ハーレムパーティー撲滅委員会は、いつでも君の入会を待ってるぞ!