短く、残念なプロローグ
グダグダな設定説明が出てきたら流し読み推奨。
判りづらいorおかしな文章or違和感でモヤモヤする箇所を見つけたら、感想か活動報告のコメントに御報告していただけると有り難いです。
魔法陣が見えた瞬間、私は駆け出していた。
・・・
駅内の改札口から、ゲームやアニメでならよく見かける神殿っぽい石畳の建物の中まで、ほんの一瞬。
まさか、自分が夢にまでみた勇者召喚の瞬間に立ち合い、魔法陣に巻き込まれるとは。自分から魔法陣に飛び込んでおきながら巻き込まれた風を装う少女は、それでもやっぱり興奮を隠せないでいた。
意外に思ったのは、巻き込まれたのが自分だけではないことか。いや、通勤時間帯の駅構内で半径十メートルはある魔法陣では、逆に巻き込まないほうがおかしいか。
全員で二十人ほど。スーツ姿のサラリーマンが多数に、他は学生。男性が多めで、少女は周囲の混乱をよそにオッサンと筋肉の間から顰めっ面で離れて魔法陣の端に移動。
突然の出来事に、硬直と状況把握に動く者が殆ど。あと数秒もすれば一斉に騒ぎだしそうな気配。
───ざわめく日本人の群れの中で、不意に嫌な予感が脳裏に過ぎった少女は、足下の魔法陣から急いで飛び退いた。
「多すぎだ! 条件を絞って半分以上は帰せ!」
「はっ!」
巻き込まれ系主人公はそれを捜す旅に出るんじゃ、という少女の驚愕を無視して魔法陣が光ると、魔法陣の上には数人だけが残った。
飛び退いた際、うまい具合に柱の陰に隠れた少女はテンプレートが破壊されたことに軽いショックを受けつつも、柱から顔を覗かせて眼前に広がった光景に、再度興奮しだした。
ファンタジーの定番、頭着の神官と甲冑姿の兵士にフードで顔が見えない魔法使い。巫女か神子か姫かで悩ませる美少女。ついでに偉そうな人達。未だ魔法陣の上で困惑している日本人数名。
四本の支柱、真ん中の魔法陣と日本人、階段を背にした現地人。そして、現地人からは見えない位置に隠れた少女。
「……詳しく説明いたしますので、まずは場所を……」
帰らされた人と魔法陣から退いた自分以外の、つまり帰らされなかった“召喚勇者一行”の違いは何なのか、魔力的なものの有無か年齢かはたまた何かに選ばれたとかか、と思考を楽しんでいた少女。
現地人美少女の話を聞き逃し、出る機会も失い。
魔法陣の輝きが失われた部屋で少女は独り、「召喚した側から受ける説明は、後のイベントで重要な伏線になることが多いのに……」と、落ち込んではいたがマイペースであった。
一人称か三人称か。迷って中途半端っぽい。