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私の友達

私の友達は、個性の強い子ばかりだと思う。





「藍ちゃん、聞いて聞いて!」


「どうしたの?」


「土管がドッカーン!」


「・・・」


「布団が吹っ飛んだー!」


「・・・」


多分誰もが一回は聞いたことがある、絶対受けない親父ギャグの王道を二連発も言ってのけたのは、宮本 美華ちゃん。どんなにスベってもめげずに笑わせようとしてくれる良い子です。

例え自分の一言で場の空気が変わろうとも、全然気にしません。フォローする様子も全く見られません。むしろ何時の間にか周りの人のせいにしていたり。


「藍ちゃん、ちゃんと突っ込まなきゃ」


できるなら何か突っ込んであげたかったよ?だけど美華ちゃんのギャグ、突っ込みづらいんだもん。私を巻き込んで更にひどく滑りそうな感じ。いや、滑るって言っても今は私と美華ちゃんだけだから気にする事もないけど。でも、やっぱり滑るのは怖いって言うか・・・。


「アルミ缶の上にある蜜柑!」


「な、なんじゃその庶民的な蜜柑と最近見かけないアルミ製の缶のコラボは!」


「・・・」


「・・・」


「藍ちゃん、立ち止まってないで歩こうよ。学校遅れちゃうよ?」


「・・・ハイ」


私の良い所は、何だかんだ言っても結局は突っ込んであげる所だと思うんだ。だけど美華ちゃんは認めてくれないんだね。藍、泣いちゃう。まぁいいや。学校へ行こう。








学校についた。美華ちゃんと教室に向かっていると、後ろから可愛らしい声が。


「おはよぉ〜」


振り向くとにっこり笑顔の女の子。癒し系っていう言葉はこの子のために作ったんだねと思わせるこのお嬢さんは倖澤 ゆこちゃん。本当に本当に・・(エンドレス)可愛い子です。


「ゆこちゃん、今日も本当に可愛いね」


「え〜、そんな事知ってるよぉ」


超古典的な口説き文句にもいちいち包み隠さず正直に反応をしてくれます。うん、素直だよね。私は可愛いゆこちゃんが大大大・・(エンドレス)好きです。ゆこちゃんなら何でも許せる気がします。


「藍ちゃんも男の子に結構可愛いって言われてるけど、あたしの方が可愛いと思うんだぁ。そこんとこ、ちゃんと分かってくれてて良かった〜」


でも同時に心の何処かで全力で殴ってやりたい、という気持ちが芽生える気もします。


「あ、そだ藍ちゃん、美華ちゃん。教室ついたらクッキー上げるね。昨日お母さんと作ったんだぁ」


全力で殴ってやりたいと言うのは私の気のせいだったようです。さっきのビバ自分発言も許せちゃいます。ゆこちゃんは正直者で友達想いで餌付け上手の可愛い子です。


「ありがとう。お礼に新しいギャグ聞かせて上げるね。さっきもう藍ちゃんには聞かせたけど」


さっきのギャグって最新だったんだ。美華ちゃんって昭和っ子?ちゃんと平成の世についていけてるのかな。あ、でも美華ちゃんって流行とかスルーしそう。GOING MY WAYフゥー!!って感じ。あ、フゥー!!って知ってるかな?





教室に入ると私と美華ちゃんはすぐさまゆこちゃんの机へ向かった。


「はい、どうぞぉ」


ゆこちゃんから差し出したのはスーパーのビニール買い物袋に入ったクッキー。手間とお金を掛けてラッピングをしてもすぐに開けるもんね。ゆこちゃんは地球に優しい子だなぁ。


「美味しいか分からないけど食べてみて」


「じゃあ早速いただきまーす」


「いただきまーす」


パクパク・・・。うーん・・・どうしよう、不味い。ゆこちゃんは王道でベタな間違いを犯したらしい。


「どぉ?不味い?」


「えっとね、えーっと・・。どう?藍ちゃん♪」


「え?え?うーん・・」


「やだぁ、あたし塩と砂糖の量間違えちゃった」


やっぱり、ゆこちゃんは王道でベタな間違いをしていた。よくある、よくある。ってちょっと待て?


「ゆこちゃん、何で食べてないのにクッキーが不味いって分かるの?」


「・・えへへ、気づいちゃった?この失敗一度やってみたかったんだぁ」


「・・・いいなぁ、ゆこちゃん!そのボケ羨ましいよー」


「・・・」


時々なんでこの子達と友達やってるんだろうって思うよ。


「ごめんね?」


・・・。でも確かに気持ち分かるなあ。私もやってみたいもん。漫画やドラマみたいで面白そう。


「まぁまぁ藍ちゃん。面白かったからいいじゃん」


「本当のクッキーも持ってきてるから、それ食べよぉ」


私の友達は個性の強い子だ。

私はそんな友達が何だかんだいって大好きだ。


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