金髪ツインテールの天才美少女幼馴染みに毎日振り回されてます。でも好きなので問題ありません。
甘いぷに玉と間接キスと、ちょっと痛い青春
『ひらめき探偵エリカは毎日が新鮮』のスピンオフシリーズ。
オムニバス形式で、金髪ツインテールの美少女エリカと直央たちの日常を描いています。
※本編を見なくても、単体で楽しめるようになっています。
「……どうしても引けないって言うなら、覚悟しろよ?」
180cmオーバーの筋肉ゴリラ――もとい三条真司が、低く唸るような声で目の前の少女をにらむ。
「そっちこそ、私は譲らないからね!」
対するのは、身長160cmに満たない金髪ツインテールの少女、海堂エリカ。小柄な体をぐっと前に乗り出し、真っすぐに睨み返す。
「いくぞ!」
「来なさい!」
今まさに、二人のプライドと意地が激突しようとするその瞬間――
僕――雨宮直央は、
ただただ呆れた顔で、その光景を見つめていた。
「「じゃんけーん、ぽんっ!!」」
チョキの真司。
グーのエリカ。
「あっち向いて──ほい!」
エリカの小さな手が、真司の顔の右側を勢いよく指し示す。その瞬間――
バシィッ!
勢いよく振れたエリカのツインテールが、真司の目元をダイレクトアタック。
「あだっ!?」
思わず顔を右にそらす真司。
「やったーっ! 私の勝ち~!」
「今の絶対反則だろ!? 髪は武器じゃねぇぞ! 無効! 今の無効っ!!」
床に膝をついて吠える巨漢と、勝ち誇る金髪少女。
その様子を僕と並んで見ていた、黒髪ポニーテールの少女・伊吹茉莉花が、ため息まじりにデザートを差し出す。
「はいはい。もういいでしょ。勝ちは勝ちなんだから、エリカ、これ」
「やったー! ありがと、茉莉花ちゃんっ!」
両手で受け取ったのは、手のひらサイズのふわふわデザート“ぷに玉”。
この小さな甘味ひとつのために、全力でバトルしてたとか……どんだけ本気なの、この二人。
「ふふーん、残念だったね真司♪」
床にへたり込んだままの真司に向かって、どや顔で見下ろすエリカ。その笑顔は、太陽のように眩しくて――
見ているだけで、こっちまで顔がゆるんでしまいそうになる。
――と、思ったら。
「直央くんも、半分食べる?」
突然、エリカが半分食べたぷに玉を差し出してきた。
え、ちょ、それってつまり――
(か、間接キスでは……!?)
「……ありがとう。いただきます」
理性が止める前に、体が勝手に動いていた。
だって、男子たるもの。好きな子からの“キスどうぞ”を拒否する理由なんて、あるはずがない。
そっと、一口。
「……うん、美味しい。ありがとう」
「えへへ、でしょ~?」
エリカは満足そうに笑って、僕もつられて微笑んだ――が。
ここで、悪魔が口を開いた。
「エリカ、それ……直央と間接キスだよ?」
……茉莉花ああああああ!!余計なことおおおお!!
「~~っ!!?///」
顔を真っ赤に染めたエリカが、僕を睨む。
僕は、できるかぎりの爽やかさで微笑んでみせた。
「それも含めて、とっても美味しかったよ?」
「なおおおおおくんのバカーーーー!!」
次の瞬間、エリカのツインテールが僕の顔面に炸裂した。
――甘い時間は、ぷに玉みたいに一瞬で弾けて消えた。
甘くて騒がしい日常の一コマ――
きっと、明日も賑やかになる。
作品を読んでいただき、ありがとうございます✨
もしこの物語や登場人物たちに少しでも興味を持っていただけたなら、ぜひ本編もご覧ください!
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