98話「魔王打倒!! ナセロンとルシアの聖魔コンビ!!!」
ナッセとヤマミが急に偉い人たちにさらわれるように連れて行かれた後、ナセロンとルシアは呆然するしかなかった。
これから一緒に冒険してニーナと会ってなんとかしようって時に……。
しかし現時点ではナッセとヤマミですら精一杯だった金色の破壊神を相手に、自分たちではどうしようもない。
「……ルシアさん、お願いがあるんだ!」
「うむ。ああなった以上、聞かんでも分かる。もっと強くなりたいのだろう?」
「うん! 強くなりたい!!」
こうして母と妹と一緒に故郷へ帰って、しばらく修行をした。
ほとんどは実戦形式の修行が多かったけど、自分のシールドを吸収して攻撃できる方法を見つけた。それを元にルシアも必死に不慣れな白魔法とか覚えていった。
こうして編み出されたのが『結界剣』だった。
「これが新たに生み出した新技ッ!!! 喰らえーッ!!! 結界剣ッ!!!!」
「なっ!!?」
光の剣を振り下ろして眩い光線を放ち、暗黒魔竜クセアムスに炸裂した。
「ぐわああああああああああ……ッ!!!!」
ドガアアアアアアアアアッ!!!!!
大爆発が広がって、周囲に震撼と轟音が広がっていった。
その余波で岩山とか地形が砕け、大小の破片がパラパラ烈風に流されるほどだ。
カカコたちのいる数キロ離れた位置にまで烈風が吹き荒れ、地面から地響きが伝わって来る。ズズズズズ……!!
「やった──っ!!!」
「うむ」
間違いなく炸裂したと喜ぶナセロンと満足気なルシア。
「かあああああああ──っ!!!!!!」
なんと爆風を押しのけ霧散させて、クセアムスが大の字に手足を広げて必死の形相を見せていた。
黒いローブもボロボロであちこち血が滲んでてダメージは与えられた感じはある。
しかし怒りを買ったようで歯軋りしていた。
「ええっ!? アレに耐え切るなんて……!!!」
「修行時に我へ試してもらって死にかけたというのに……!! これが七つの魔王ッ!!!」
「覚悟できてるんだろうな……?」
ナセロンとルシアはサッと身構え、汗を垂らす。
これでは一矢報いた程度でしかない。依然倒すまでには至らない。しかしそれでも!
「この程度で苦戦してちゃ、金色の破壊神をなんとかできるなんて夢のまた夢だよ!!」
「うむ、よく言った!!! 最後まで付き合ってやろう!!」
戦意は失われておらず、二人ともボウッとオーラを噴き上げた。
「この暗黒魔竜クセアムスにダメージを与えた事は褒めてやる!! しかし、ここまでだ!! 死ね!!!」
圧倒的猛威で襲いかかるクセアムスに、ナセロンとルシアは徹底抗戦で激しい攻防の応酬を始めた。
空中あちこちで激突が繰り返され、度々衝撃波が荒れ狂って周囲の地形が崩されていく。
ナセロンとルシアが押され、打撃を幾度か受けようとも諦めず何度も奮起する。
「結界剣してからの……!!!」
ナセロンは三芒星型の光の盾を具現化し、それを光の剣に吸収させて正眼に構える。
「ルミナス・トッパーッ!!!」
「拳王奥義!!! 轟魔爆炎破ッ!!!!」
ナセロンは剣の突きを繰り出しオーラを纏って突進。と同時にルシアも轟々燃え上がるオーラを纏って、右拳を突き出して突進。
二人並ぶ突進技を繰り出し、一直線と空に激しい軌跡を描きながらクセアムスへ突撃した。
「そんなものーッ!!!」
ガッ!!!!
それぞれを片手で受け止め、決死の鍔迫り合い。ギギギギィィィ!!!
ナセロンとルシアの裂帛の気合いで勢いを増すも、七つの魔王としての意地でクセアムスも譲らない。
「この程度でッ……この七つの魔王を破れるかッ!!!」
「まだだーッ!!! Wライジング!! ルミナス・トッパ────ッ!!!!」
なんとナセロンは技を繰り出している途中で同じ技を続けて発動し、相乗効果で威力を四倍に高めて爆発的に勢いを増す。
徐々にクセアムスが押されてきて「なに!? ば、バカな!?」と焦りを募らし始める。
瀕死のオーヴェも「いいぞ!! やっちまえー!!」と精一杯に拳を突き上げる。
「行けえッ!!! 我が後押ししてやるッ!!!」
ルシアも右拳をナセロンの光の剣に重ねて実質三連発みたいなのになって威力が更に倍増。
二人して裂帛の気合いを叫んだ。
「「うおおおおおおああああああああ────ッッ!!!!!」」
「ぐぬ……!!? こ、ここまでの……底力ッ!!! うおああああッ!!!!」
ド ウ ンッッ!!!!
閃光が溢れ、空一面を覆うほどの大爆発が広がっていった。
衝撃波と震撼で、周囲の地形を巻き込んで粉砕していく。大地震のようにうねってカカコたちは「うわあああああ!!!」と立てずに振動に揺られるしかない。
ゴゴゴゴゴゴゴ……!!!
もうもうと爆風が広がっている。
ナセロンとルシアは「ハアッハアッ」と苦しそうに息を切らす。汗いっぱいで疲労困憊か。
「流石だな……!! 五〇年前の騎士王との因縁を思い出させるほど、久しい痛みを味わせてくれたな!!」
手で押さえた腹から流血していながらもクセアムスはニヤリと笑む。
瞬時に間合いを詰めて、組んだ両拳でルシアを遥か下の地面に叩き落とし、ズズンと土砂を巻き上げた。そしてナセロンにも襲いかかって腹に飛び蹴りをかまして、向こうの岩山に吹っ飛ばしてズズーンと瓦解させた。
「が、がはっ!!!」
「ぐふッ……!!!」
ナセロンとルシアはそれぞれ吐血。立ち上がろうとするも震えて動いてくれない。
それでも死に物狂いで立ち上がろうとする。ぐぐ……!!
「しっつこいヤツめ……!! まだ立ち上がるなど、どこから気力が出るのだッ……!」
切羽詰ったクセアムスは片手を上空に向けて、漆黒玉を膨らましていく。
あっという間に数百メートルほどのに巨大化してズンと周囲に重々しい威圧が押す。
大地が震撼し、岩山が次々と崩れ、大小の破片が舞っていく。
「騎士王の血筋を引きし者よ!!! この黒壊凶悪玉で跡形もなく消え去れいッ!!!」
暗黒魔竜クセアムスが全身全霊込めた極大漆黒玉を、地上に向けて撃ちだした。
勢いよく大気を切り裂いて急降下してくるそれに、ナセロンとルシアは絶句するしかない。
「な……、デカすぎるよッ!!!」
「うぬぅ……ッ!!! 万事休すか!!!」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ!!!!!
これが地表に炸裂してしまえば、間違いなく直径一〇〇キロ範囲が灰燼と化すだろう。




