97話「ナセロンとルシアが編み出した新技!! 結界剣!!!」
暗黒魔竜クセアムスは自分から流れ出している出処を探った。
勝手に何者かが自分の魔法力を根こそぎ奪おうとしているのを感じたからだ。
「ハッ!!!! そうか!!! どこか遠くで何十万人ものヒトが私の力を黒魔法で一斉射撃しているのだなッ!!! 目標は空に向けてる……、まさか宇宙人が大軍で襲ってきたのかーッ!!!?」
なんか意味不明な事を叫びだし、グッと接続を切った。
もうこれで流出はない。
「ハァハァ……、くそ!!! こ、こんなタイミングで……!!!」
なぜ宇宙人が押し寄せてきたのか理由は分からない。
しかし私の力で撃退しようと必死に連発している事からして、相当な数が攻めて来ているのだろう。
てっきり騎士王の呪いかと勘違いしてたが、これでもう無駄な消耗はない。
「まだまだ四〇万もの戦闘力は残っておるぞ……!!!」
ニヤリ、とクセアムスは笑んでいく。
聖騎士ナセロンと超魔獣王ルシアは汗を垂らしながら「くっ!!!」と身構える。
接続が切れて、手をかざすだけになったナッセ。
クセアムスが接続を切ったので、彼由来の黒魔法が使えない。
「ちぇ……枯渇してやろうと思ったのに……。ん?」
キョウラ、ジャキ、キルアがこっちを見ていたのに気づいた。
「「我らを弟子にしてくださいっ!!!」」
「お……オデも!!!」
クセアムスが高速で肉薄し、両拳を振るってナセロンとルシアを強烈に殴り飛ばした。
「がっ!!」
「ぐおっ!!!」
吹っ飛ばされたナセロンとルシアはガンガンガンと岩山や黒竜塔を突き抜けていく。
それでも必死に踏ん張って空中で停止。
追い討ちとクセアムスが迫ってきてたので、切羽詰まったナセロンは光の剣を振るう。
ガッ!!!
それでもナセロンは押し負けて吹っ飛ぶ。後ろの山ほどの大岩に身を打ち付けて、潜り込むように深く埋められた。
そしてガラガラと大岩が瓦解し、煙幕が巻き起こる。ズズズ……!!!
「うぬうっ!!! おのれーッ!!!」
今度はルシアが殴りかかり、クセアムスは左腕で防ぐ。
激しい格闘の応酬を繰り広げて周囲に震撼を撒き散らす。
しかも聖騎士ナセロンもオーラの尾を引きながら「うおおおおーッ!!!」と飛びかかってきて二対一の激戦になっていく。
ズガガガッガガガッガッガガガッガッガガガガガガッガガガガガ!!!!!
それでもクセアムスの方が断然押している。
「バカめ!!! きさまらヒトが七つの魔王に勝てるものかーッ!!!」
肘打ちでナセロンのみぞおちを穿ち、ハイキックでルシアの顔を蹴る。
それでも怯まずナセロンとルシアは必死に立ち向かう。
「「うおおおおおおおおーッ!!!!!」」
気迫の勢いで叫ぶナセロンとルシアの剣幕に、クセアムスも「ぐぬ……!!」と苦い顔をしていく。
何度も押し退けるように吹っ飛ばしても諦めてくれない。
こんな絶対的な力の差があるというのに、まるで圧倒できない。
「拳王秘奥義!!! 千手観音乱舞ッ!!!!」
「ルミナス・XVトラジェクトリ────ッ!!!!」
なんとルシアは千手観音のような無数のパンチを繰り出し、更にナセロンは五芒星に描かれた強烈な斬撃を三連発繰り出したぞ。
そんな圧倒的な弾幕をクセアムスは全身に浴びていく。
ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドッ!!!!
嵐が起きたかのような凄まじい衝撃波が溢れていった。
それでさえクセアムスを少し後ろに押したぐらいだった。
シュウウ……、煙幕が舞い上がる。
「な……!? なん……だと……!?」
「まさか…………!!!」
絶句するしかないナセロンとルシア。
それを見た瀕死のオーヴェは「ぐ……なんて事だ……!!」と呻く。
「手こずらせてくれたな!!! そろそろ終わりにしてやるぞ!!」
切羽詰った状況の最中、ルシアとナセロンは目配せし頷き合う。
「黒壊玉ッ!!!」
クセアムスは漆黒玉をバババッと連射する。
ナセロンとルシアは必死にかわしていって、流れていった漆黒玉があちこち爆発して周辺を破壊しつくしていった。
壮絶な破壊力で大きな岩山や黒竜塔までも木っ端微塵に爆撃されるほどだ。
ドガガンッ、ドガガッ、ドガンッ、ドガガァンッ、ドガンッ、ドガァン!!!
絶えない地響きと断続的に響いてくる轟音で、遠くにいたカカコたちは震え上がる。
時々烈風が吹き荒れて破片が届いてくるほどだ。
「い、一体どんな……戦いになってるんだよ……!?」
ルシアは苦悶しながらも両手を突き出す。
「我は敬愛する女神様に祈る!! 邪なる者を拒絶せし光を宿せ!! 中位階梯白魔法『神聖波動』」
ルシアの両手から聖なる光の波動が広がってバリアとなる。ヨスイが発動したものと同じだが、超魔獣王の魔力により更に防御力は高まっている。
そしてナセロンも腕を交差させる。
「ボクの盾よッ!! 荒ぶる魂に応えて光輝け!!! ルミナス・パースリーシールドォッ!!!!」
二人揃ってナセロンとルシアが防御スキルを発動して、漆黒玉の弾幕を弾いていく。
それでもギリギリで「ぐうっ!!」と必死に踏ん張るしかない。
ドカンッ、ドガガッ、ドガアアンッ、ドガドガッ、ドガガァンッ!!!
「ははははははッ!!!! そのままジワジワと追い詰められるがいいッ!!」
すると竜巻が不意に飛んできてクセアムスのやや後ろから直撃した。
竜巻が爆ぜて凄まじい衝撃を起こす。
たまらずクセアムスは煽られて「ぐおおッ!?」と焦る。
振り向けば、なんとオーヴェが片手を差し出していた。精一杯の不意打ちだったようだ。おかげで弾幕が途絶えた。
「き、きさま……!? まだ力が残っていたか……!?」
「ナセロンッ、今だあああッ!!!」
「よおーし!!! ルシアッ、行くぞォォーッ!!!」
ナセロンが飛び出し、自前の三芒星型の光の盾を剣に吸収させ、更にルシアの聖なる光の波動をも吸収していった。
吸収した防御力を攻撃力に変換した結界が剣に宿り、それをクセアムスに向けて振りかぶる。
「これが新たに生み出した新技ッ!!! 喰らえーッ!!! 結界剣ッ!!!!」
「なっ!!?」
光の剣を振り下ろし、扇状の眩い光線が大気を切り裂くように放たれた。
体勢を崩したままオーヴェの方へ睨んでいたクセアムスは、それに気づくも呑み込まれた。
「ぐわああああああああああ……ッ!!!!」




