75話「天災級の激闘!! リョーコ対サルイン!!!」
ホワイデー王太子ソロアからプレゼントされた『証』で、既にクラスチェンジが可能になったリョーコは変身した。
その尋常ならざる巨大な威圧に娑路院ことダクメーアとルルナナは驚愕。
大きくなった天照大神斧、“お引摺り”と言われる裾の長い着物、背中には後光を模した黄金の飾りを備えたリョーコが姿を現した。
まるで日本の女神かと思わせられる神々しい風貌である。
「天道戦刀姫リョーコ!!!」
ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド……!!!!!
互いに戦闘力一〇〇万級、二つの巨大な威圧が重々しくぶつかり合い、周囲に震撼をもたらした。
絶え間なく地鳴りが続いてて、大気がバチバチなんか爆ぜている。
数百キロ範囲まで獰猛な烈風が吹き荒れてて、大陸中の森林がバサバサ激しく揺れ、オロナーン大陸が唸りを上げているかのようだ。
「まるで天災が起きてるみてーだ……!!」
ナッセとヤマミは三人の聖騎士の前でビリビリ全身に響いてくる威圧にこらえていた。
七つの魔王ダクメーアとルルナナは汗を垂らして脅威を覚える。
もし、こんなヒトが増えれば、我ら高位魔族の絶対的な力の差が揺らいでしまう。
「ここで止めなばならん……!!」
「ええ、命を懸けてでも突然異変のヒトは摘まねばね!!!」
山のようにデカい娑路院は、一気に巨大すぎる剣をリョーコに振り下ろした。
ガッゴオオオォォォオオンッ!!!!
大地に一直線の亀裂を入れて、なおも地平線にまで及ぶほどだ。飛沫が上がって地響きが絶えない。
しかし、リョーコは少し浮いたまま天照大神斧をかざして、巨大すぎる剣を受け止めていた。
思わずダクメーアとルルナナは「何!?」と見開く。
「さぁ、行くわよー!!!!」
人サイズのリョーコが急上昇して天照大神斧を振り上げて、娑路院のみぞおちを強打した。
轟音を鳴り響かせて、娑路院は一瞬にして対流圏、成層圏、中間圏、そして熱圏にまで吹っ飛ばされる。
「いっせーのォ……」
娑路院が空の彼方にいる間、リョーコは天照大神斧を後方に構え、力んで高次元オーラが爆発的に溢れる。
大地を揺るがして、稲妻が迸って周囲に衝撃波が吹き荒れる。
それを斧に圧縮凝縮して輝かせていく。
「月晶崩落!!!!」
なんと娑路院を纏うほど、大きな黄色い結晶群晶の塊が落ちてくるではないか。
周囲を震わせながら落下してくる巨大な魔力の攻撃。
もし、地表に落ちたらオロナーン大陸消し飛ぶぞ。もちろん原住民は絶滅する。
ナッセもヤマミも焦る。やべぇ!!!
「クラッシュ!!!! バスタァ────ッ!!!!!!」
リョーコは一気に爆ぜるように天照大神斧を振り上げた。
ガッッ!!!!!
眩い閃光で溢れ、激しい地響きと共に超高熱プラズマが広がっていった。
思わずナッセは「攻撃無効化!!!!」と両手をかざす。
オロナーン大陸の中心から凄まじい爆発球が膨れ上がり、更にその衝撃によって土砂を巻き上げた大津波が波紋状に広がっていった。
天候さえ狂うほど、超大嵐と超地震が余波として巻き起こった。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!!
「ぐううッ!!!」
「堪えて!!!」
激しい地響きと、全身を貫いてくる衝撃波にもナッセとヤマミは必死にこらえる。
無効化のおかげで後方の聖騎士三人は無事で済んだ。
ガッ!!!!!
なんと爆風の最中でリョーコと娑路院の得物が交差して、周囲に衝撃波が荒れ狂う。
今度はオーラを纏って軌跡を描きながらリョーコは飛び回って、娑路院と空中戦を繰り広げていた。
斧と剣が激突するたびに、空気が痛くなるほどの衝撃波が広がってくる。
「せいやあああああああ────ッ!!!!」
「おのれええええええッ!!!」
ズガッ、ドギャッ、バギャッ、ズガオオッ、ドガアッ!!!!
激しく激突を繰り返す空中戦にも拘らず、地表にも衝撃波が及んで土砂が度々噴火のように巻き上げられる。
クラスチェンジしたリョーコはもはや四首領レベルだ。
しかし、それでも娑路院は図体もさる事ながら絶大な魔力を倍増させている。
「天王魔刃!!!!」
今度は上空に無数の巨大魔刃が一帯に具現化された。
それらが一気に降り注がれ、リョーコは顔を引き締めて「いっせーのォ……」と爆発的な高次元オーラを充填させていく。
「ヒト風情が!!! 死ねぇえッ!!!!」
「塵すらも消し飛ばしてやるからあああッ!!」
鬼気迫る形相でダクメーアとルルナナが吠える。
「ローリング!!!! デストロイヤーッ!!!!」
リョーコは前転宙返りで斧を振り回しながら急上昇。
襲い来る巨大魔刃をことごとく斬り散らしていく。その凄まじい突破力にダクメーアとルルナナは見開いて歯軋り。
弾かれたり、逸れたりで流れ弾になった巨大魔刃が地表に突き刺さると噴火のように地盤が爆ぜて巻き上げられていく。
ドッ、ドドッドドドドッ、ドンッ、ドンッ、ドドドドドドッ!!!!!
あちこちで流れ弾によって大陸の地表が荒らされ続ける。
森林地帯が吹き飛び、山脈が削られ、湖が爆ぜ、巻き上げられた煙幕が暗雲と化す。
ナッセとヤマミは苦い顔でビリビリ響いてくる威圧に苦悶する。
「押されてるわ……」
「ああ」
なおもリョーコと娑路院が天上の戦いのように天災巻き起こす激戦を繰り広げている。
徐々に競り負けていくリョーコが苦しい顔を見せていく。
「我ら高位魔族であり、高潔な魔貴族に遠く及ばない事を思い知れーッ!!!」
娑路院が巨大な剣を振り下ろしてリョーコを叩き落とす。
ズガアアアアンッと高々と飛沫を吹き上げて、一直線と走っていって山脈が粉々に吹き飛んでキノコ雲が立ち上る。
即座にリョーコが飛び出して、上空に止まる。
「くっ!!!」
満身創痍のリョーコへ娑路院が襲い掛かり、ガンガンガンと天災級の激突をして押し切ろうとする。
リョーコは一〇〇万そこそこ。しかしあっちは一〇〇万オーバー。
徐々にその差が明確になっていく。
ズガッ!!!
「ぐあ……ッ!!!」
後方へ押されているリョーコは呻き、血を吐き、それでも奮起して立ち向かっている。
しかしナッセとヤマミも察していた。
「このままじゃ押し切られて負けるぞ……!!!」
「ええ。助け舟出さないとッ!!」




