73話「完璧!!! これが不死身の攻略法だっ!!!」
「はいやあああーッ!!!!」
クルッペルは軽やかにスピンしながら、手刀や蹴りの連続攻撃をアーサーに叩き込んでボコボコにしていく。
なんとか奮起しようとアーサーは大聖剣を振るうが、ひょいとかわされ逆に飛び膝蹴りをアゴに喰らう。
「がっ!!!」
「トドメー!!! とうッ、はいやーッ!!!」
今度はカカト落としでアーサーの頭上を打ち、地面に叩き伏せてドゴォンと巨大なクレーターに岩盤が捲れた。
アーサーは地面に顔を埋めたまま「ぐほッ」と吐血した。
クルッペルは軽やかに宙返りして、アーサーの背中へドズンと着地して、屈託のない笑顔でピース。
レジャードは口角を舐め、魔弓から無数の矢を放つ。
それは狙い違わずグランハルトの全身を鋭く射抜き、血飛沫が更に舞う。
「がああッ!!!」
グランハルトは白目で吐血し、地面へ沈む。
プリンスは「ふっ、愚かでしたねぇ」と薔薇の花をばら撒く。
ドガンドガンドガンドガガンと、容赦のない爆撃がアレフをズタボロに打ちのめす。
「く……そ…………ッ!!!」
無念とばかりに悔しさに顔を歪ませながら、血塗れで地面に沈む。
うつ伏せのアレフから血が地面に広がっていく。
「やれやれ……、聖騎士が揃いも揃って無様ですねぇ」
不死霊王ダクメーアは嘲笑する。
「しょせんはヒトですもの。下等は下等なりに頑張ってくれたんだから褒めてあげましょうよ」
月夜の悪夢女王ルルナナはアーサーたちを皮肉るように、ダクメーアを窘める。
完全勝利とばかりに二人はくるくる踊り舞って優雅なダンスを披露する。
クルッペルとレジャードとプリンスは「児戯は終わりました」と丁重にお辞儀した。
「さて、と……『万物の墓場』にナッセたちを待たせていたんだってね」
「ええ……。でも、しばらく焦らせてあげてもいいでしょう。ふふっ」
「君は意地悪だな。いつもそうだ。だが、それがいい」
この日に呼び戻す算段だったが、わざと約束を遅らせて焦らそうとしたのである。
なんせナッセたちは自力でここへ戻れないのだから……。
「そんな必要ねぇぞ」
平然とナッセとヤマミとリョーコがフッと現れた。
そんなありえない現象に、思わずダクメーアとルルナナは固まる。ピキッ!!!
「な…………ん……だと…………!!?」
「あんたらッ!!? どうやって────……!!?」
敵性とみて、すかさずクルッペルとレジャードとプリンスが一斉に飛びかかろうとする。
絶対的な不死身であり、精神ダメージすらも効かない完全無欠。
故に、いかなる敵だろうとも破れぬと絶対的な自信でもって三人の魔貴族は猛威を振るおうとする。
「はいっやあああーッ!!!」「射抜けッ!!!!」「ふっ、薔薇で散れ!!!!」
ヤマミとリョーコは「どうぞ。やっちゃって」と譲ってくれた。
ナッセは「ああ」と頷く。聖剣を包む太陽の剣に、周囲から無数の光子が収束していく。
やがて螺旋状の装飾を備えた超巨大な銀河の剣が生成された。
「三大奥義が一つ『賢者の秘法』!!! ギャラクシィ・シャインスパァークッ!!!!」
ナッセが銀河の剣をひと振りすると、全てを薙ぎ払うように現れた広大な剣閃が衝撃波を伴い地面から飛沫を吹き上げ、三人の魔貴族に炸裂。
四方八方にスパークが爆ぜて、破片を四散させながら三人は一斉に吹っ飛んだ。
「「「ぐがばあああああああああ────ッ!!!!!」」」
クルッペルとレジャードとプリンスはズタボロに破片を散らし、遥か上空へと舞う。
そんな圧巻とも言える奥義にダークメアとルルナナは見開いた。
「「なっ、なんだあああああッ!!!?」」
舞っていた三人は仰向けのまま地面へ激突。ドシャアアッ!!!
それぞれ「ご、ごふッ」と吐血し、ピクリとも動かなくなってしまう。余韻と煙幕が地面を流れた。
絶句して言葉を失い、ダークメアとルルナナは揃って仰け反る。
「これにて終幕でございます、ってか」
元に戻った太陽の剣を肩に乗せ、ナッセは皮肉るように笑んだ。
「だが、我が不死身の能力で……何度でもッ…………!!!」
「ええ!! 貴方がたがいかに強かろうとも、ダークメアと私の『深淵殿造』が健在である限り、無駄に等しいわ!!!」
ルルナナは上空の人面満月を指差して、高らかに誇る。
しかしナッセはため息をついた。
「あの時、オレがやればよかったな。ルルナナ」
「な……!!?」
なんと仰向けで倒れたままのクルッペルとレジャードとプリンスの体から白い粉みたいなのが散り散りと空へ流れていくではないか。たぶん魂。
妖精王にならなくとも、奥義による浄化力で全てのスキルなどを無効化してしまう。
従って不死身の能力も無効化された。そして邪悪な魔貴族にとっても浄化系攻撃は致命傷にもなりうる。
死んで魂が抜けた以上、三人の死骸は転がるのみ……。
「今度はおめぇらだぞ……!!!」
ギンと凄むナッセに、ダークメアとルルナナはビリビリッと威圧に当てられてしまう。
変身もしていないのに恐るべきと畏怖していく。
「こっ、これが……同じ七つの魔王である煉獄竜王フレアネスドをも完封したヤツの力ッ……!!!」
「ええ!! 世界大会など興味はないと見落としてましたけど……、後で他の魔族に聞いたら本当だったと……!!!!」
「後ろの金髪はともかく、ヤマミも恐るべき妖精王ッ!!!」
「もはやコレクターするかしないかの問題ではありませんわ!!!」
目に見えてうろたえていく二人。
あれから世界大会の事知ったようだ。もう遅いけどな。
「クッ!! 呪われし千の魔刃よ!! 我が敵を切り刻め!!! 千魔刃!!!!」
突然ダクメーアがマントを振るって、紫の仰々しい刃を無数放ってきたぞ。大津波のようになだれ込んでくる刃が猛威を振るう。
ナッセはボウッと高次元オーラを噴き上げ、妖精王化して、手をかざす。
「おっと! 攻撃無効化!!」
自身とヤマミとリョーコ、そして後方で倒れている聖騎士三人を守るように範囲内に入ってきた敵の攻撃を光飛礫に変換して霧散させた。
ただし無効化範囲外の森林や岩山など細切れに飛び散った。
ザ ク ンッ!!!!
しかも数キロ範囲に及ぶほど凄まじい威力だ。
戦闘力二〇万前後。さすがは七つの魔王。聖騎士三人が例え部下を倒した後に挑んでも、全然歯が立たないレベルだ。
「それさえも……防ぐか!! 妖精王ッ!!!」
「ちよっとー!!! 金髪ってなによー!!! リョーコって言うんだけど!!?」
金髪呼ばわりされて、ムキになったリョーコがほおを膨らます。プンプン!
ダクメーアとルルナナは「なんだ? この下等生物」「うるさいハエね」と侮蔑してくる。
「あーもー!!! 頭にきた!!! あたしがやっつけてやるからー!!!」
激昂したリョーコが前に躍り出る。
ナッセとヤマミは互い見合わせてため息をつく。
とりあえず手を出さない事に決めた。今の彼女なら、単騎でもなんとかなるだろうと……。
「雑魚一匹はともかく、厄介なのは二体の妖精王……! こうなったら、奥の手を出すしかあるまい!!」
「そのようね!! ダクメーア、貴方と私が『連動』する事によって七つの魔王最強にすら成り得るのよ!!!」
「ご披露させていただきますぞ!!」
ダクメーアとルルナナは手を繋ぎながら、フワリと上空へと浮いていく。
二人の威圧に反応してか、次第に地響きが大きくなっていって地盤から無数の破片が舞っていった。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…………!!!!
「「『威伏盛装』!!!」」
ズオッ!!!! 一気に威圧が爆発的に膨れ上がったぞ。




