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痛い自作漫画に異世界転移しちゃったぞ!? そいつはオレに効く! やめてくれぞ!!  作者: ターバン
リョーコの自作小説『没落令嬢ファンタジー』編
69/140

69話「ニーナからの意外な施し!! その真意とは……!?」

 満足したニーナは微笑みながら、こう告げた。


「他の世界も同じようなら、破壊する意義ができたわ。教えてくれてありがとう」

「ニーナッ!!」

「くふふっ。手当たり次第破壊しておけば、あちこち異世界転移もできないでしょうし」


 和解できるかと思った矢先に、そう言われては絶句するしかなかった。

 あくまで敵対関係は変わらない。

 彼女にとっては悲劇しか生まない世界は全て破壊対象なのだ。放っておいたら手当たり次第に異世界を次々と破壊し尽くす存在となる。


「それじゃ、またね」

「ま、待てっ!!」

「お礼に見せてあげる。一発で覚えれるんでしょ? 我は命ず、異なる次元を繋げる道を開けよ!! 記憶に刻まれし地へ!! 上位階梯黒魔法『界渡来(サイドトライ)』!!」


 完全詠唱した後に、魔法を発動しニーナはフッと消えた。

 しばし静寂になって呆けるしかない。


「……ナッセ!! 今のは!?」

「あ、ああ……。これもオレが考えた時空間系の黒魔法の一つ。ニーナがヤマミを対象に合流する時空間魔法『合引渡来(ジョイントライ)』とは別のやつ。例え、どんなに隔てた次元であっても飛び越えて、知っている場所へ瞬間移動できる」

「じゃあ、戻れるじゃんー!! 早くー!!!」


 しかしナッセは俯く。

 ヤマミが察して、心配そうに肩に手を置いてくれる。


「ナッセ……、あなたのせいではないわよ…………」

「でもオレが考えたラスボス。まさかこんな最悪な形で具現化されるなんて思わなかったんだ……。もしオレたちの世界にも現れたらと思うと……」

「こうなったら、アイツとっちめるしかないわよねー!! 行こ行こ!!」

「リョーコ……」


 元気いっぱいなリョーコも励ましてくれてるように思える。


「四魔貴族とか妖魔神とか、あたしもヤバいの出しちゃってるからねー!! 同じ同じ!!」

「そうだな……」


 こうやって創作で共感して慰めになると思うと、気が楽になれる。


「ねぇねぇ、それで元の世界へ戻れない?? どんな次元も超えてワープできるんでしょー?」

「じゃあ試すかぞ? 我は命ず、異なる次元を繋げる道を開けよ!! 記憶に刻まれし地へ!! 上位階梯黒魔法『界渡来(サイドトライ)』!!」


 しーん……。

 確かに魔法力を消耗して魔法は発動した。しかし、元から存在しない場所へは移動できないかのような扱いだ。

 イメージとしては、富山県の実家の寝室。異世界転移する前の場所だ。

 それでも都合よく帰れないか。


「え? ムリなの??」

「……もしかしたらだが、オレたちの世界は黒魔法の適用外かもしれねぇ」

「ニーナが私たちの魔法を使えないのと同じ理屈ね」

「えー!!? 結局帰れないじゃん!!」


 とりあえずナッセは再び『界渡来(サイドトライ)』を唱えた。

 するとフッと視界にアロンガ魔法都市が現れた。昼の明るい空が眩しい。さっきまでの暗黒と静寂に包まれた不毛の地とは一転して騒がしい都市だ。

 人々が行き交う情景が懐かしく思えた。


「こっちは成功した。こうしてアロンガ魔法都市には移動できたぞ……」


 その気になればドラグストアル王国はおろか、知ってる場所ならどこへでも移動できると、ナッセは確信できた。

 ヤマミは深いため息をつく。


「私たちがいた元の世界には帰れないってだけね。別の方法を探すしかない。あるといいんだけど……」

「ああ。下手したら、一生このまんまかもな……」

「あああ~~!!! なんでなんでなのよ~~!!? 帰れないってひどぉい!!!」


 頭を抱えて絶叫するリョーコに、ナッセは神妙な顔をする。そして青空を見上げた。


「……ニーナありがとうな」


 金色の破壊神はオレが作ったキャラだ。

 なんで敵対するはずのオレたちに貴重な情報を提供してくれたのか?

 厄介な敵なら、あの『万物の墓場(ユニバースセメタリー)』に放置すれば都合がいいはず……。

 それでもわざわざヤマミに『証』を授け、情報交換もして、脱出方法まで親切に提示してくれた。


「全世界を破壊し尽くす目標を掲げる裏で、おまえの真意は──……」


 オレは知っている。




 ドラグストアル王国では今日で満月になる日まで、迫っていた。

 国に入らず、離れた森林と平原の境でアーサーとグランハルトとアレフは野宿生活を続けていた。

 アーサーは立ち上がる。


「いよいよ今日か」

「ハハッ、朝日が美しいぜ」

「……国に先行させた騎士団はどうなっているのだろうか? 定期的に出国して、我々に連絡するようにと言ったはずが結局今日まで一人も出てこぬとは……」


 丸太の上で座っているグランハルトは、先行させた騎士の安否が気になっているらしい。


「罠にハマったんだろ。規律に厳しく厳守する騎士団が、こうまで音沙汰ないんだからよぉ」

「殺されていないといいが……」

「不条理はいつだって不意に起こる。いちいち心配してたらキリがねぇぜ。ハハッ」


 アレフは馬に跨ったまま、登ってくる朝日を眺めていた。

 アーサーは背中の大剣を引き抜く。


「今日の夜、ドラグストアル王国へ攻め込む!! そして『永遠の楽園(エターナルエデン)』などと起こしている元凶を討伐する!!!」


 今日の夜、満月が夜空に浮かんだ時『永遠の楽園(エターナルエデン)』への道が繋がってくる。

 そしてその真相を暴き、奥に潜むであろう七つの魔王を討伐する。

 その確固たる使命を抱えて、三人の聖騎士(パラディン)は元凶の国を見据える。


 時間は止まることなく、朝から昼へ、そして夕日は地平線に沈んでいく。

 太陽の代わりに薄らと満月が夜空に昇ろうとする。


 ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド……!!!


 緊迫感で心音が高鳴っていく。

 溢れ出てくる威圧がひしひしと感じられるからだ。真上へ満月が昇った時、唸り声と共に真紅へ染まっていく。

 その真紅の満月に薄気味の悪い人面が浮かび上がって、卑しい笑みに歪んでいく。


《ようこそ!! 我が『永遠の楽園(エターナルエデン)』へ!!!!》


 ゾオオオオオオ…………ンッッ!!!!


 真紅の人面満月が浮かぶ夜空のみならず、周囲の風景が歪み異空間へとすり替わっていく。

 怖気の走る違和感と威圧にアーサーたちは戦慄を帯びた。

 まるで底知れない闇へ引きずり込まれるような感覚。まさしく魔貴族の『深淵殿造(しんえんでんづくり)』に招かれるのと同じ。


「「「クラスチェンジッ!!!」」」


 満を持してアーサーとグランハルトとアレフは各々のポーズで叫ぶ。ドドドンッ!!!!

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