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痛い自作漫画に異世界転移しちゃったぞ!? そいつはオレに効く! やめてくれぞ!!  作者: ターバン
リョーコの自作小説『没落令嬢ファンタジー』編
67/140

67話「発覚!? 実はオレも厨二魔法が使える!?」

 完全に隔離されたような『万物の墓場(ユニバースセメタリー)』で、ヤマミは仕方なくナッセとリョーコを連れてプライベート空間へ転移していた。

 そんな折、なんとラスボスである金色の破壊神ニーナが現れてきたぞ。

 しかも味方になってもいいとか言い出した。


「こっ、こいつが……!? ナッセの創作でラスボスとして作られた金色の破壊神ニーナ!!?」


 汗を垂らしてリョーコは仰け反る。想像以上の威圧で、相当な強さと察して戦々恐々している。

 そんな様子にナッセはジト目で見やる。


「改めて驚かなくてもいいぞ……」

「こんな抜け殻の世界まで知ってるんでしょー? なんか世界が脱皮するとかなんとか」

「まぁ……」

「それはそうとして、味方になる理由なに?」


 ソファーでくつろぐニーナは、リョーコを一瞥して「同じ世界の仲間?」とせせら笑う。


「ああ。斧女子リョーコだ」

「ふうん」


 緊迫したままナッセは息を呑む。


「仲間に誘うの次は、味方になってもいい? なぜだぞ……??」

「ナッセもヤマミも、別に私を殺す目的にしてるわけではないでしょ? あれから落ち着いて色々考えててね……」

「私たちは断ったのに?」


 世界大会で「手を組もう」って誘われたが断ったはず。


「あなたサクシャってヤツでしょ?」

「……作者? オレの創作って意味なら、確かにそうだが」

「ナッセ!! この世界の原住民はそれを認識しないはずよ!!」


 ヤマミの言う通り、バレンティア王国でもそうだったようにナッセたちは普通に王族貴族として組み込まれていた。

 それ以前に、創作の世界だとは誰一人も疑わなかった。

 最初の頃のニーナも例外ではなかったはず。


「前々から予知めいた妙な事を言っていたからね。しかし私は『世界を作り出した憎むべき敵』と認識していた」

「……作ったからか?」

「そう。ナッセの作った世界が具現化されている。それを私は単純に創造主と結びつけてたわけね」

「だから、ここで始末しようと?」


 ナッセを殺させまいとヤマミが小人を生み出し、周回させていく。


「まだ話は終わってないわよ。そそっかしいわね」


 ニーナは呆れて片目を瞑る。

 ナッセの後方でリョーコはドキドキしながら見守っている。


「でも、どうやらもう一人のサクシャが来て世界が作り替えられた」

「あたしっ!!?」


 ニーナに見据えられて、リョーコは自分を指さしてビクッと竦む。


「何が言いたいんだぞ……??」

「もし単純に創造主なら、いくらでも思い通りに作り替えられるでしょ? あなたたちの都合の良いようにね。……でも、その様子は全然なかった」


 ナッセは息を呑む。


「た、確かに……オレはここに異世界転移しても特別な事はしていない。普通に冒険してたぐれぇだ」

「その事から、どこか別の創造主がいて、あなた方のソウサク世界を具現化したと考えたらしっくりこない?」


 オレはハッとした。

 今までそんな発想はなかったぞ……。

 地図を見た通り、オレとリョーコの作った地理が勝手にコラボしてたり、魔法都市アロンガやキャベツー港町など存在しない国で足りない部分を埋めてたり……、思い当たるフシがあるぞ。

 別にオレがリョーコと相談してコラボしてるわけじゃねぇ。


「そうだとして、一体誰が……??」

「まだ裏に誰かが糸を引いているって事?」

「えー!? 実はラスボスの裏にラスボスがいたって事ー!?」


 ニーナは鼻で笑う。


「その様子だと、やはり創造主とグルでもないようね……」


 悔しいがニーナの言う通り、どっかに創造主が別にいて、オレたちの創作をパクって混ぜている方が辻褄が合うぞ。

 著作権云々はともかく、作者本人を異世界転移させるなんて迷惑甚だしい。


「というか、元の世界に帰りてぇ……」

「ナッセ……」


 ナッセは肩を落としてガックリする。


「なら、私がこの世界を多重次元まとめて破壊すれば、あなたたちも帰れるかもしれないね」

「世界を壊して……? だ、ダメだろ!?」

「どうやって帰れるかも分からないんでしょ? その先、ずーっとここで暮らしたい?」

「「うっ!!!」」


 ナッセとリョーコは仰け反った。

 こんな不毛な世界で暮らしたくないぞ。

 あと厨二世界へ帰れたとしても、ヨボヨボになるまで暮らすのもなぁ……。


「あなたが世界を破壊しても、帰れる保証ないわよ」


 ヤマミが目を細めて言い返す。

 ニーナはソファーから立ち上がって、首を傾げる。


「ふーん。交渉決裂というわけ?」

「まず、ここから出たいぞ……」

「あたしも!!」


 ニーナはニヤリと笑むと、何かを投げつけ咄嗟にヤマミが掴み取る。

 なんとナセロンがクラスチェンジした時に使ってた『証』だ。


「ヤマミには餞別(それ)をやるわ。それからナッセ、私が唱えた魔法覚えているでしょ? あなた自身で試してごらん?」

「お、オレが……!?」

「剣ばかり使っているけど、魔法も使えるの分かってるからね」

「分かるのか?」

「一挙一動見てたからね」


 息を呑む。恥ずかしい詠唱を考えて作った魔法の設定……。

 チラッとリョーコを見やる。

 なんかワクワクしてて「あ、見てみたーい!!」と目を輝かせていた。


「こ、ここはヤマミの空間だぞ……」


 仕方ないので、再び『万物の墓場(ユニバースセメタリー)』へ時空間転移した。

 後ろでワクワクするリョーコと、呆れるヤマミと、薄ら笑みを浮かべるニーナ。

 ナッセは意を決する。


「行くぞ!! 血みどろに歴史を構築せし罪深き生命に、我は断罪すべき審判を下す!! 世界を統べる魔の絶対王が絶えず殺意を吠え、精神と心を延々と瓦解させて貪る戦慄の闇!! 永遠に破壊をもたらし続け、偉大な滅びで世界を満たせ!!!!」


 両手をかざすと、そこへ赤く輝く恐ろしい威力が集約していくのが分かる。リョーコは「うわーはずい詠唱ー」とニヤケ笑いする。うるせぇ!

 地響きが大きくなり、大気が震え上がっていく。


「最上階梯黒魔法!!! 最終崩壊(エクスコラプス)──ッ!!!!」


 両手を突き出すと、凄まじい赤い光線が放たれて向こうで閃光が爆ぜた。


 ゴ ゴ ッ!!!!!


 突如と巨大な爆発球が膨らみ、周囲に衝撃波と震撼をもたらす。

 地響きが伝わり、烈風が吹き荒れて、砂塵を巻き上げていく。

 巨大なキノコ雲として雄大に立ち上っていくのを見て、思わず身震いしてしまった。


「じ、実際にオレが作った魔法が……この手でっ!!?」

「誰も“()()()()()()()()()()()使()()()()”と言ってないからね」


 ニーナの言う通りだった……。

 そもそも勇者の聖剣を具現化してたし、それと同様にこの世界の魔法を使えても不思議じゃあなかった。

 それを察して息を呑む。


「自分で作った魔法()()が使える……!?」

「魔法に限らず、だけどね」

「マジか!!」


 ひょっとしたら()()と応用もできそうか……!!?

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