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6話「人類が繰り出せる最上階梯黒魔法が炸裂!!!!」

 本来ならナセロンが不意打ちして上空へ飛ばす事でリフレアルトとの戦いを先延ばしにするはずが、普通に対決してしまい敗北してしまう。

 そんな漫画と違う展開にナッセは絶句する。


「フレイムヴィクションスラッシュ八連……?」

「え、あ……。うん。ゴメンナサイ、どっかからパクりましたー!!」

「それはいいけど、こっち来るわよ」


 リフレアルトが不敵な笑みで、こちらへ歩み寄ってくる。

 ナッセは「やるしかねぇ!」と身を屈めた。


「待て……、まだオレとの勝負はついてない!!」

「む?」


 リフレアルトが振り向くと、なんと血塗れながらもナセロンが立ち上がっていた。


「そのダメージで俺に敵うと思ってるのか?」

「ナッセ兄さんとヤマミ姉さんは大事な客……。騎士(ナイト)として指一本触れはさせないよ」


 このセリフも本来なら吐かない。


「面白い!! ではきさまを始末してから、その大事な客とやらを切り捨ててくれる!!」


 再び陽炎のように分身して揺らめく。まただ。

 息を切らして満身創痍で疲労困憊なナセロンは立つのがやっとだろう。

 ナッセは右手の『刻印(エンチャント)』を灯らす。


「心配せずとも、ナッセ兄さんは待っててくれ……。その技などオレが破る!!」


 こちらの助太刀をさせぬと、呼び止めてきた。息を呑む。


「ほざけっ!!! そして終わりだっ!!! 死ね!!!!!」


 一斉に分身が四方から飛びかかる。これではどちらか来るか分からない。

 しかしナセロンは俯いてて見切ろうともしていない。しかしなぜかカッと眼光を煌めかす。


「その弱点──、それは影!!! 揺らめく陽炎の分身に影はないっ!!!!」

「な!!!?」

「ルミナススパイラルーッ!!」


 周囲を切り払う螺旋状の軌跡が、ただ一つのリフレアルトの胴を切り裂いて血飛沫を噴かせる。


「ガアッ!!」


 さすがのリフレアルトもて傷を負って仰け反る。

 最初っからこの回転斬りでやれば、影が弱点でも関係ない気がするが別にいいか。


「うおおおッ!! ルミナスエンドーッ!!!!」


 追い討ちとナセロンは飛び上がって頭上から一直線と斬り下ろす。それはリフレアルトを左右に裂いて絶命させた。

 おびただしい鮮血が四散しながら左右分かつ死骸は沈んだ。

 息を切らして息も絶えだえなナセロンは笑みながら、こちらへ向く。


「どうだ……勝ったぞ……」


 思わず呆然とするナッセとヤマミ。


「この時点でリフレアルト死んじゃったぞ……」

「えー……」


 本来なら、後に二回くらい再戦が行われるはずだった。

 だが、この序盤でリフレアルトが斬殺される結果になってしまった。ヤマミもドン引きする。

 ナセロンは意識朦朧してか体勢を崩し、血塗れでうつ伏せに倒れていく。重傷だ。無理もない。


「いけない! 回復魔法をかけないと!」

「あ、ああ!!」


 ナッセとヤマミは急いで駆け寄って、二人がかりで回復魔法の光を灯す。

 その甲斐があってか徐々に傷が閉じていく。

 それを続けたまま、ナッセは焦った顔で空を見上げる。


 こんな時にニーナはどうしたんだ??




 アジトの中でフードをかぶっている妙な男と、不敵に笑うニーナが対峙していた。


「凶悪な魔道士(マジシャン)ニーナ。久しぶりですな」

「くふっ。魔王が生きていたとはね……」

「ああ、そうだ。しかし知ったからには生きて帰さんよ……」

「どうかしらね」

「実験に付き合いできるかな?」


 フードの男はバサッと顔を顕にした。

 緑肌でツノが生えている痩せぎすの男だ。年は中年頃。


「ゴブリン族の中でも最上位種のゴブリンマスター……。魔王の部下を努めてたのね」

「狡猾な錬金術師(アルケミスト)ズボラエとはワシの事よ!」

「でも老いたようね。全盛期の頃は凄かったらしいけど」

「フッ、今は必要ない。何故なら強力な護衛がいるからな。いでよ! 魔王ゴーレム!!」


 なんとアジトの壁を粉砕して、銀髪ロングが舞い上がるゴーレムがなだれ込んできた。


「魔王の遺伝子を組み込んだゴーレムだ!! 普段のゴーレムより数十倍強いぞ!!!」

「ガアアアアアアアッ!!!」


 狂ったように太い拳を振るう魔王ゴーレム。

 リーナは飛び退き、からぶった拳で地面が爆ぜた。しかしゴーレムは素早く間合いを縮めて拳のラッシュを浴びせた。

 しかしリーナはゼロ距離で「爆玉(ボガ)の射撃!!」と拳をピンポイントで精霊魔法で弾き続けていく。

 これには極限な集中力と動体視力をもってしないとできない芸当。


「む!? 魔法でかのような接近戦するとは!!! さすがは魔法に卓越せし魔道士(マジシャン)よ!!」

「派手な魔法でドカーンした方が好みなんだけどね」


 今度は風の魔法を自身に纏わせて、飛び上がる。

 魔王ゴーレムはすぐさま飛び上がって殴りかかるが、空振りして落下して着地。ギロッと上空のニーナを睨む。

 今度は周囲の岩などをもぎ取って、投げつける。


「おおっと!! ならば披露しましょうか!!! 人類が繰り出せる最強魔法を!!!!」


 ひょいひょい投石をかわし続けて、ニーナは両手を合わせていく。


「血みどろに歴史を構築せし罪深き生命に、我は断罪すべき審判を下す!! 世界を統べる魔の絶対王が絶えず殺意を吠え、精神と心を延々と瓦解させて貪る戦慄の闇!! 永遠に破壊をもたらし続け、偉大な滅びで世界を満たせ!!!!」


 一秒の十分の一ほどの刹那で詠唱を終えて、赤く輝く恐ろしい威力が集約していくのが分かる。ズボラエは汗を垂らして「まさか……!!?」と戦慄する。

 地響きが大きくなり、大気が震え上がっていく。


「最上階梯黒魔法!!! 『最終崩壊(エクスコラプス)』ッ!!!!」


 赤い光線が凄まじい奔流となって、魔王ゴーレムとズボラエもろとも呑み込み、アジトを打ち貫いて向こうの山を削り取って爆発球が膨れ上がった。

 凄まじい震撼とともに、衝撃波が烈風と地響きとなって荒れ狂った。


 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…………!!!!


 天へ届くかと思うほどの赤々と輝く爆発球に、ナッセとヤマミは絶句する。

 この世の終わりかと思えるほどの威力だ。


「……漫画にそんな展開にあるの?」

「いや、ここでじゃない! 本来なら支配神ルーグがけしかけたドラゴンをそれで吹き飛ばす展開だったんだぞ!! ってか魔王ゴーレムはナセロンが戦う予定だったんだぞ!!!」


 なにかが狂いだしている……、そんな予感がしてならなかった。

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