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痛い自作漫画に異世界転移しちゃったぞ!? そいつはオレに効く! やめてくれぞ!!  作者: ターバン
リョーコの自作小説『没落令嬢ファンタジー』編
52/140

52話「四魔貴族戦!!! 最強格ビュオネスの触手プレイ!!」

 赤紫に色調をこしらえた豪勢な貴族部屋。

 亜空間特有のうつろいゆくこの部屋はキラキラと反射光で美しさを醸し出している。


「キュウジンサーを知ってるからご存知なのでしょうけど、敢えて名乗るわ。我は四魔貴族が一角の妖龍の皇爵ビュオネス!!」


 背中で漆黒の羽を浮かしているヤマミは静かに見据えている。


「殺す前に聞いておくわ。貴方の名は?」

「そうね。冥土の土産に教えてあげるのもいいかしら。私は妖精王ヤマミ。愛しいナッセとともに生涯歩む者よ」

「残念ながら、その愛しいやつと会う事は二度ないけどね」


 クスクスせせら笑うビュオネス。

 ヤマミはヤツの言動で女性のように誤認させられそうになるけど、リョーコの設定ではイケメン魔貴族なので実は男。

 つまりオカマの可能性がある。


「今宵はあなたの生け贄で美味しくいただきますわ」


 周囲からボコボコッと触手が穴という穴から飛び出してきて、ウネウネ蠢く。

 ドクドクと脈打っててキモい。


「四魔貴族で高い戦闘力を誇る私に絶望したまえ──」


 ビュオネスが優雅に手を差し出すと、無数の触手は獰猛にうねりながらヤマミへ巻き付かんとなだれ込んでくる。

 しかしヤマミの周囲で黒い小人が数人生まれて、触手へ一斉に散らばって黒炎で包む。

 貪ってくる黒炎に苦しみもがく触手。

 あちこちへ延焼していく黒炎にビュオネスは目を細める。


「闇属性の炎……。なかなか練りこまれてて殺すには惜しいわね。なんであの光のガキがいいのか全く理解できないけれど」

「あなたが理解する必要はない」


 数体の黒い小人が空中を走って、ビュオネスへ飛びかかる。


「甘くってよ!! (オーン)ッ!!!」


 なんとビュオネスは口から黒い水流を吐き出して、それが周囲へ渦を巻くと小人を飲み込んで消火してしまう。

 黒炎なら、同じ闇属性の水で消せる。

 ビュオネスはかなりの歴戦。


「触手はあくまでメイン用。まずは黒水で毟り取ってあげましょうか」


 そこらじゅうから大洪水のようにドッと黒水が湧き出てきて、それは触手の形をとってヤマミへと殺到。

 ヤマミを包む『偶像化(アイドラ)』が刃を出した杖を振るい、黒水触手を薙ぎ散らしていく。

 しかし今度は黒霧となって包囲してくる。


「甘く見たわねぇー!!! 水の性質上、切り裂く事叶わず!! 徐々に追い詰められるだけよ!!」


 ヤマミの『偶像化(アイドラ)』にも張り付いてジワジワ融解して煙が上がっていく。

 あちこち穴が開けば、すかさず無数の触手がヤマミ本体を絡め取る。張り付いて、根を下ろしていく。


「ぐ、ぐうッ……!!!」

「こうなったらオシマイ!! 我が触手に抗えるすべなどない!! 貴方の体は我の思うまま!!」


 グギギ、と腕が逆に沿っていってボキンと折れる。続いて手足がボキボキ折られていった。


「ああぁぁああッ!!!」

「あはははははは!!! これで末永く我が人形となって弄ばれるのみよ!!!」


 巻きついている触手からジュクジュクと根を下ろし続けていて、体内の神経組織や骨髄にも行き渡っていく。

 そして苦痛の神経を刺激して凄まじい地獄を味わせていく。

 それでも気絶しないように、死なないように、と体内を改造されているのだから、もはやえげつない拷問だ。


「ぎあああ……ああぁあああッ!!! あがああああ……ッ!!!」

「こうやってどんな屈しないヤツも醜く糞尿を漏らして苦しみもがく事になるのよ!!! そして!!!」


 長い龍の頭が左右に分かれて、中からイケメン魔貴族が悠々と姿を現す。


「私こそが本体のビュオネス!!! 無敵の妖龍の皇爵ビュオネスよ!!!」


 中性的な服を脱ぎさっていって全裸になる。股間からは太く巨大な触手がニュウと伸びていって、呻くヤマミの股へと忍び寄っていく。


「ハハハハハハハハハ!!! これこそ四魔貴族最強たる所以!!! いかなる強者も精神崩壊するまで泣き叫ぶのみだああああーッ!!!!」

「だと思ったわ……」


 勝ち誇っているビュオネスの後ろで、長い龍の背中に座っているヤマミがいた。


「……は?」


 苦しみもがくヤマミと、後ろのヤマミを交互に見渡す。

 どっちが本物? と戸惑うしかない。気配も生命も本物。こうして束縛しているヤマミも生で幻術とか分身とかじゃない。


「ブラックローズアバター」


 ヤマミが指を鳴らすと、拘束されてる方は黒い薔薇に包まれてツボミに呑み込まれた。

 それは妖しい光を放射状に放っている。

 なんと美しい花なのだろう、とビュオネスは見惚れてしまう。


「同じ本物として複製できる闇の妖精王の特殊能力。私の力が及ぶ範囲でなら、本物と遜色のない力も発揮できて、私の命令にまるまる従う」

「では、貴様が本物かッ!!!」


 ビュオネスはすかさず触手を操ってヤマミを絡め取る。


「うぐ……!!!」

「ここは私の空間!!! どうあがいても──……」


 ()()()も黒薔薇に包まれて、ツボミに閉じて消えていった。


「なにッ!!? そ、そいつもニセモノだって!!?」


 後方で黒い花吹雪の渦が拡大され、時空間転移してきたヤマミが杖の先で唸りを上げるブラックホールをビュオネスへ突き出す。

 慌ててビュオネスは振り向く。


「な……!!? ま、まさかッ時空間魔法で隠れていたッ!!?」

「最初っからね」

「貴様あああああああッ!!!!」


 無数の触手がヤマミへ殺到するが、ブラックホールにギューンと吸い込まれていく。

 焦ったビュオネスは黒い水流による大津波を放つが、それも全てブラックホールへズズズズと吸い込まれてしまう。


「な……なにいいッ!!? なんだそれはあああッ!!?」

「三大奥義『賢者の秘法(アルス・マグナ)』!!! ブラックホール・ダークリベンジャ──ッ!!」


 ヤマミが繰り出す漆黒の玉がビュオネス本体へ直撃する。すると周囲の風景が螺旋状にグニャ────って歪みながら削り取られてしまう。


「あ……、あがあああああぁああぁぁぁ……ッ!!!!」


 超重力に呑み込まれたビュオネスは螺旋状にベキボキ歪みながら収縮されてしまう。

 更にビュオネスの深淵殿造(しんえんでんづくり)ごと粉微塵に圧縮し尽くされてしまう。

 こうなっては亜空間が本体だろうがなんだろうが、どうしようもない。

 そして最後に圧縮し尽くした黒玉はカッと閃光を放つ。


 ドガアアアアアアアアアアアアアアンッ!!!!!


 夜空を明るく輝かせるように大爆発が轟き、下の王国も昼間のように明るく照らされた。


「「「「!!!!!?」」」」

「また!!?」

「あの妖精王のガキに続いて!!?」

「あの黒いやつが勝っちまったのか!?」

「ウソだろ!!? あの最強格のビュオネスがやられた!!?」

「我らは悪夢でも見てんのかああああッ!!?」


 他の魔貴族の誰もが口を開けて驚く。

 リョーコはまた呆然とした。


「えー、四魔貴族を二体もやっつけちゃったぁー!?」


 それを尻目にナッセとヤマミは笑みながら拳をコツンと合わせた。

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