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5話「予想外!! 漫画と違う展開!?」

 騎士(ナイト)ナセロンと魔道士(マジシャン)ニーナが冒険するストーリーなんだが、この世界へ移転してしまったナッセとヤマミも同行しているんだぞ。

 森林を突っ切る獣道を進んでいて、なぜか依頼を受け取っているニーナがニッコリしていた。


「ナッセ、そういうのギルドからとかじゃないの?」

「当時はそんな考えもなく、いつの間にか依頼を受けててイベントが起きている状態なんだぞ」


 そう、当時はギルドとか概念はなくて「なんか悪い奴やっつけて」的なので唐突にイベントを起こして話を作っていたのだ。

 テンポとしてはスムーズなんだろうが……。


「賞金首一万五〇〇〇キンもする魔王の生き残りの部下を捕まえるという依頼ね」

「分かった。ボクも頑張って捕まえるぞー」


 その部下がひっそり隠れているらしいアジトが見えてきた。

 やはりゴロツキが数十人護衛についていた。


「なんか、前々からだけどドラゴン殺し魔法のラノベに似てるわね……」

「うう……面目ねぇ」


 若気の至りか、いろいろ影響しているツギハギな自作漫画である。


「なんだテメェら!!」

「ここを獄炎魔王ルシアに仕えていた狡猾な錬金術師(アルケミスト)ズボラエさまのアジトと知っての事か!」

「見たからには生きて帰さんぞ!!」

「ものども、やっちまえ!!」

「おおおおおおおおおおお──っっ!!!!」


 血気盛んなゴロツキがなだれ込んでくる。


「不遜なる神を断罪すべき、軌跡を描いて切り裂け!!! 神殺しの光輝よーッ!!!!」


 能天気なナセロンがサヤから剣を引き抜くかのように光の剣を具現化すると、冷徹な人格に豹変する。

 風のような瞬足でゴロツキどもへ突進して、数十人が宙を舞って斬殺された。


「中位階梯『旋烈破(センレッパ)』!!!!」


 今度はニーナが右手をかざすと、荒れ狂う旋風がゴロツキ数十人を巻き込んで吹き飛ばしていく。

 あっという間にゴロツキどもは全滅……。

 この程度のザコなど無双して当たり前の爽快な展開。


「ほう、中々腕の立つヤツが来たか……」


 なんと木の影から赤毛ロングのイケメン剣士が出てきたぞ。

 ニーナは冷静に見定める。


剣闘士(グラディエイター)リフレアルト……。凄腕の傭兵…………」

騎士(ナイト)ナセロンはともかく、最凶の魔道士(マジシャン)リーナもご存知とは光栄だな。二人でかかってくるか?」

「ここは俺がやる!」


 なんとナセロンが冷徹な目でリフレアルトと対峙する。

 その間にリーナは断崖絶壁のふもとにあるアジトの扉へ忍び込む。


「ああ、行っちまったか?」

「敢えて行かせたのか?」

「……まぁな。どうせどの道、あんたらは生きて出られねぇよ」


 ナッセは怪訝な目で「おかしい……」と呟く。

 ヤマミは「なにが?」と聞いてくる。


「本来ならナセロンが不意打ちでリフレアルトをギャグのように空の彼方にまで飛ばして、勝負はおあずけみたいな展開になるんだが……」

「ニーナが忍び込むのは?」

「ああ、それなんだが……」


 なんとニーナが魔法で扉を豪快に破壊して、入っていった。


「本当はこの上の空いている穴から忍び込む手はずだったんだ。こんな展開はオレは知らないぞ……」

「私たちが来たから?」

「……かもな?」


 リフレアルトが駆け出して鋼の剣を横薙ぎするが、ナセロンは光の剣で斜めに斬り下ろす。

 やはり鋼の剣が真っ二つに切られて、切っ先が宙を舞う。


「今度は首を飛ばす」

「へぇへぇすげぇな。だがな、そう来るのは分かってんだからな。騎士(ナイト)ナセロンは甘ぇヤツだってな」

「御託はいい」

「フッ! 業火の精霊より与えられし、燃え盛って屠れ!!! 容赦なき業火の刃よ!!!!」


 リフレアルトは右手をかざすと火炎が発生して、それはナセロン同様に鍔と柄が具現化された。そして刀身は炎。


「この剣闘士(グラディエイター)ってのは伊達じゃねぇ。俺は火の精霊の加護を受けているんで魔剣のように具現化できるんだ。名づけて精霊魔剣『フレイムバーベキュー』よ!」

「名前ダサ……」

「……行くぞ!!!」


 今度はナセロンが素早く間合いを縮め、光の軌跡を無数に描く。

 しかしリフレアルトは精霊魔剣を素早く振り回して捌ききっていく。なぜかキンキキンギィンと金属で打ち合ってるとしか思えない音が鳴り響いた。

 それでも両者は凄腕なので、目にも留まらぬ激しい剣戟を繰り広げている。


「フレイムエッジ!!!」


 間合いが離れるとリフレアルトは剣を振って、炎の刃を飛ばしてくる。

 ナセロンは光の剣で弾くと、死角からリフレアルトが飛び込んできた。体勢を整えるにも間に合わない。


「ルミナススパイラルッ!!」


 なんと回転斬りを放ち、螺旋状の軌跡がリフレアルトの一太刀を弾く。

 後ろへ吹き飛ぶが、前屈みに堪えて精霊魔剣を突き出しながら爆発を推進に突撃を放つ。


「喰らえ!! フレイムザッパー!!!」

「ルミナススライスーッ!!!」


 なんと互いに突進技で衝突したぞ。

 光と炎の一直線に尾を引く突撃がせめぎ合う。ナセロンもリフレアルトも必死の形相で譲らない。


「「うおおおーッ!!!」」


 限界を超えたか、大爆発が広がり、周囲に余波が広がって森林がバサバサ揺れる。

 弾き飛ばされるナセロンとリフレアルトは宙返りして後方へ着地した。はぁはぁ息を切らす。


「……ナセロンとリフレアルトは互角の実力者だ。こうなったら勝負つかないぞ」

「漫画とは違うのね?」

「ああ。本来は下級魔族を召喚する悪の老魔道士の傭兵をしている時にナセロンと激戦をするんだ。ここでじゃない」

「そう」


 するとリフレアルトは薄ら笑みを浮かべて、直立したかと思ったら陽炎のようにフラフラ揺れていく。なんと無数に分裂したかのように見える。


「これはフレイムファントム!!!! 揺らめく陽炎のように動き回る体技!! 炎を切れないのと同じように徹底とした回避技!!!」


 それは確かにその通りで、ナセロンが光の剣を振り回しても手応えもなく残像を切るのみである。

 すると無数のリフレアルトが一斉に飛び込んできて、幾重の斬撃が同時に炸裂したかのようにナセロンを斬り裂いた。血飛沫が舞い上がり、白目で仰向けに倒れていく。


「これが秘奥義フレイムヴィクションスラッシュ八連だ! 冥土の土産には上等だろう」


 逆にリフレアルトが勝っちまって笑みを浮かべた。

 そしてジロリとこちらへ視線を向けてきて、ゾクッと寒気が背筋を走った。

あとがき


 今回は三話同時掲載です。

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