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痛い自作漫画に異世界転移しちゃったぞ!? そいつはオレに効く! やめてくれぞ!!  作者: ターバン
リョーコの自作小説『没落令嬢ファンタジー』編
46/140

46話「ホワイデー王族に歓迎されちゃった!!?」

 ホワイデー王国……。

 ラブチョコレ大陸でバレンティア王国に次いで大きな国。しかも世界最大の貿易都市としても有名だ。

 青い大海と純白の建造物でコントラストが美しい。

 観光地としても見栄えがある。


 ホワイデー王族に招待されたという事で、ナッセたちは王宮へ向かった。ちなみに聖女(セント)ピーチラワーは大聖堂で重大な役目を担っているので置いてきた。


「我が国へ遥々ようこそ……。バレンティア王太子ナッセ殿」


 謁見の間では純白の広間に青い絨毯、天井は青空が一望できるようにガラスで張られている。

 二つの王座にはホワイデー国王と王妃が厳粛と座していた。

 やはりリョーコが設定しているだけあってイケオジな顔立ちだ。


「はい」


 ナッセたちは慎ましく跪く。

 付け焼刃だろうがなんだろうが、王族に会う時はとりあえず跪けばいい。


「貴殿の武勇はグレチュア天地最強決定戦大会で直に見届けておる。まさかあの七つの魔王をも圧倒し、優勝までするとは驚かされたわ」

「え……!? いたんか……??」

「うむ。そなたが冒険者の(てい)で参加していた事は目を疑ったぞ」


 いや、マジで冒険者だったからな。

 オレが王族って設定は完全に後付け。これもリョーコの小説が合作してから付いてきたぞ……。

 つーか記憶改竄(かいざん)されてるみてぇな事になってら。


「さすがは勇者の血を引くバレンティア王族の王太子。あのヴェレンデア殿の御子息であり正当後継者だけあるわ」

「ヴェレ……??」

「あなたの父、バレンティア国王陛下の本名だよー。あたしが名付けたもん」


 ボソッと作者であるリョーコが付け足してくれる。

 これまで国王陛下としか聞いてないから、本名は知らなかったぞ。どうでもよいと思ってたが……。


「勇者の血筋たるスキルを持ってるのは確かか? もちろん疑うわけではないのだが……」

「あ、ああ……。この場を借りて披露させていただきます」

「うむ。見せてくれ」

「古の勇者の血が叫ぶ。魔を滅ぼせし雄大な魂を具象化せし聖剣となれ。ブレイバーセイントソード!」


 ナッセがかざす手に、虹色に煌く天使の羽を備えた片刃の剣が具現化された。

 誰もが目を見張るほど立派な聖剣だ。


「「「おおお……ッ!!!」」」


 反射光で眩く煌く聖剣にホワイデー国王は感嘆した。

 大臣も将軍も騎士も同じく、それが本物だと断定し感嘆したのだ。

 誰がどう見てもナッセはバレンティア王族であり、正当な勇者の血筋を引く者。


「ふむ。大会で出さなかったのは、自分の素性を隠す為か……」

「いやぁ……なんというか」


 だから後付けなんだよ。リョーコの設定がなけりゃ、こんな事できなかったんだぞ。


「さすがですね。幼い頃より、数える程しか会っていませんが、これほど立派に成長をなされるとは私も焦りすら覚えます」


 なんか青年が歩いてくる。青髪ロングヘアーのイケメン。麗しい純白の衣装に立派な剣を腰に差している。

 まさに白馬の王子様のイメージ通りだ。


「え……誰……??」

「ホワイデー王太子よ。セラファン国王の御子息であり、第一王子ソロア。かっなりのイケメン。まっさか設定集そのまま再現するとはー!! すごーい!!!」


 ボソボソしてたのに、途中からハイテンションになっていくリョーコ。

 自分で作ったイケメンが目の前にいるのだから感激しないわけにはいかない。


「あ、あなたは……リョーコ令嬢……? いえ、元令嬢でしたね……」

「よろしくねー」

「それはともかく、王太子ナッセ殿」


 プイと背けられ、リョーコはガーンと微ショックを受けた。

 ヤマミはジト目で呆れる。


「父上と同席して、世界大会を見てまいりましたが優勝とは見事。私も剣の腕に覚えがありますが、とてもとても遠く及ばないと思い知らされてございます……」


 王太子ソロアは敬意を示すように頭を下げてくる。


「それだけの戦闘力を持ってもなお、我が国に誇示したり脅したりなどしないのは寛大な故か?」

「いやぁ……、敵対する理由ねぇし」

「それは助かる。しかし会ってみて分かったが、まっさらに純粋だな。王族貴族は少なからず野心や悪意を持つ者が多いというのに感心な事だ」

「へぇ……」


 純粋は言いすぎだが、元から王族じゃないし当たり前だぞ。


「世間ではバレンティア王国とは険悪な関係と思われがちだが、実際は互いの国の貴族同士の諍いだ。もちろん下手に権威を持つ故に傲慢にどっちがトップに立つべき素晴らしい国か、勝手に言い争ってるのが現状だ。それがあらぬ噂となったのだ」

「そうですよ。七つの魔王をも圧倒する王太子殿が敵対すれば、我が国は風前の灯同然です。さすがに我が軍が総力でもっても七つの魔王には太刀打ちできないでしょうから」

「うむ。ソロアの言う通りだ……。だからこそ安心しておるのだよ」


 確かに七つの魔王は人類滅亡級の戦闘力を持っていて、そいつが一体でも国に牙を向けば滅ぶしかない。

 その魔王をも圧倒する個人が王族にいれば、それだけで周辺の国には脅威だろう。

 恐らくホワイデー王国勢も警戒していたのだろうが、無害だと知って呼び込んだのかもしれない。


「人類が太刀打ちできないなら、なんで七つの魔王が暴れてこねぇんだろうな?」

「様々な理由はあるのだろうが、主に世界三柱神である支配神ルーグさまがアロンガ魔法都市を中心に世界を統治しておるゆえだ。我が国も同盟を組んでいるからこそ平和でいれられるのだ」

「えー、そんな設定知らなーい!?」


 リョーコがそんな事を言ってきた。


「多分合作してから、変な風に設定混ざったんじゃないの?」

「マジかー!」


 ヤマミの言う通りかも知れない。設定が混ざって、世界の法則が辻褄を合わせてきたのかもしれない。


「今日のところは、ここで泊まってゆきなさい」

「え?」

「親愛を深める意味として、遠慮なくくつろいで欲しい」

「わ、分かっ……りました……。その言葉に甘えるか……ます……」


 セラファン国王とソロア王太子が揃って微笑んでくる。こ、断れねぇ……。

 仕方なく受け入れる事としてホワイデー王宮に泊まる事になったぞ。

 ナッセはガックリ肩を落とした。


「ソロアさまー! よろしくねー」

「リョーコ殿。馴れ馴れしくしないでいただきたい。王太子ナッセ殿ならいざしらず、貴族でもなくなった人が王族にそそうしてはなりません」


 ドン引きして距離を置かれるソロアに、リョーコは「えうう~」とギャグ調に泣き崩れた。



 その後、広い部屋に案内されてリョーコは真っ先にベッドキャノビーへ飛び込んだ。


「なんでなのよ~!」

「テンショウがいない上に、私とナッセが割って入ったからフラグが立てられないんじゃないの?」

「あああああ~!!!!」


 ヤマミの言葉に、リョーコは柔らかいベッドでゴロゴロ悶える。

 ナッセは「たはは……」と苦笑い。

 とはいえ、意外にも友好的でよかったぞ。しかしどことなく胸騒ぎがするな……。

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