45話「狡猾な魔貴族!!! そして統括する黒幕のボス!!!」
大聖堂の中は神々しい雰囲気で、ステンドグラスから差し込む日差しが美しい。
優美な装飾が施された柱と壁、そして天井にも絵が描かれていて、見惚れてしまいそうになる。
これもリョーコが設定したらしいホワイデー大聖堂っぽい。
「急な誘いを申し訳ありません」
「いえ……」
「気にせずー」
丁重に頭を下げてくる聖女を前に、豪勢な客室でナッセとヤマミとリョーコが萎縮する。
「しかし事は急を要するのです」
聖女ピーチラワーは真剣な顔に切り替えた。
「金色の破壊神による宣戦布告もそうですが……。この国とバレンティア王国の諍いを招く恐るべき魔貴族の存在も無視できません!」
「魔貴族……!?」
「うん知ってるー!! 確か……」
魔貴族を設定した作者でもあるリョーコは語る────。
どこか不穏な雰囲気が立ち込める広大な屋敷。
床を暗雲のようなものが立ち込めている。その大屋敷は天井と壁が所々破損していて、赤い満月が窺える漆黒の空が窺えた。
ここは妖魔界のどこかにある屋敷である。
破損して尖った四本の柱の上で人影が立っていた。
「こうして一同に集まるのは久しぶりだな」
「ああ……」
「金色の破壊神の件もそうだが、例の勇者だな。まさかの妖精王だと聞く」
「我らの天敵……。全く、厄介なものが増えて困る」
オオオオオ……!!!!
それを床で跪く二人の魔貴族。息を呑む。汗がほおを伝う。
「四魔貴族でちゅ……!!!」
「こうして集まるのを見るのは初めてだ!!」
「ああ。かの七つの魔王とも同等以上でちゅよ……」
ビビるキンオークとディスア。例のメガネデブと出っ歯ノッポの二人組だ。
噛ませ程度だからかイケメンじゃないのだ。
吸魂の皇爵キュウジンサー!!
貪欲に生きとし生ける者の魂をエサとする恐るべき魔貴族が一人。
細長い宇宙人みたいな形状で卑しい目が特徴。猫背で四本の腕。モヒカンのような黒髪。
「ヒッヒッヒ……!!! 聖女の魂は美味かろうな……」
悪食の皇爵フォーエル!!!
あらゆるものを無差別に食らうという恐るべき魔貴族が一人。
六本のツノを生やした赤いクジラのような巨躯で太い手足を備える。
「ガハハハハ……!!! あの病魔の魔貴族が瞬殺とは驚いたものだ!! まぁ、ワシには関係ないがな」
妖龍の皇爵ビュオネス!!!!
誇り高い魔龍族としてプライドが高い最強格である魔貴族が一人。戦闘力において四魔貴族の中でも群を抜いている。
紫のグラデーションの長い龍。翼のようなのがあちこち生えている。
「いずれにせよナッセとやらもピーチラワー同様に始末するまでだ」
災厄の皇爵アウトナー!!!!!
あらゆる災厄の元となっていると噂される魔貴族が一人。四魔貴族のリーダー格。
六つの魔眼が鋭く煌く人型。火炎かと思わせられるボサボサの赤髪ロング。
「下賎なヒトでも我らにとって大事なエサだ。それ故に聖女と勇者は邪魔な存在。あくまでヒトは我らにとって無力な家畜であればいいのだ」
並々ならぬ威圧がこもれ出ていて、床で跪いている魔貴族は震えるしかない。
それだけならまだマシも、四魔貴族が上へ見上げたのだ。更なる巨大な存在が示唆されていた。
「よく集まってくれたね……」
四魔貴族は「おお……!!!」と恐れおののく。
ゆっくり下りてくる人影。左右に裾が長い貴族の衣服を着た人型。薄緑の肌。冷徹なイケメン。
圧倒的な邪念こもるドス黒い高次元オーラが漲っている。
三日月の巨大な弓を足場にトンと降り立つ。
「妖魔神ズクケィールードン……!!!!」
妖魔界を統べる神とも言われている黒幕のボスだ。ズオオ……!!!
「金色の破壊神! 妖精王ナッセ!! 聖女ピーチラワー!!! 支配神ルーグ!!!! そして我が宿敵の皇帝ライティアス!!!!! 愉しくなりそうだ……!!!!」
──と、リョーコは四魔貴族と妖魔神までを語り終えた。
なぜ、ここまで詳しく知っているのか不思議だと聖女も汗を垂らす。
「実は四魔貴族はおっそろしい姿しているんだけどー、真の姿はイケメンなんだよねー! 妖魔のイケメンって妖しい感じがしてて……」
「おい!! もういい!!! 性癖もろ出てるぞ!!!」
「あ、ゴメ!」
てへぺろするリョーコにヤマミは目を細めてため息つく。
「全く……」
得意げにベラベラとネタバレしていくリョーコには気が滅入る。
設定したとはいえ、厄介なの出てきたなー。
実際、リョーコが主人公として敵役に据えられたのが妖魔。斧女子として最強に成り上がる為に設定されていた。
こうして異世界で再現されるのはいい迷惑だろう。
「聖女さま……」
ガチャリとドアを開けられて頭を下げてくる神父とシスター。
恐れ多いと「お取り込み失礼しますが」と前置きすると、聖女は「いえ、どうぞ。なにか?」と要件を促す。
「ホワイデー王族より、勇者ナッセらを招待してきています……」
「あ!! そういえばそういうイベントが!!!」
思い出したように立ち上がるリョーコ。
ジト目でナッセとヤマミが見やる。また何か面倒が……??
「イケメンの王太子さまが、美しいあたしに会いたいって招待してくるんだよねー。そんで、これから来る魔貴族の大侵攻を撃退する事でハートを射止めて、仲間になってくれるイベントー!!!!」
リョーコの小説はイケメンハーレムものだ。
そのうち一人がホワイデー王国の王太子なのだ。
白馬の王子様というイメージで作られたらしいとリョーコ談。
「ってか、これから魔貴族が襲ってくるんだっけな?」
「そうしなきゃ盛り上がらないもんねー」
「いやいやいや!!」
ノリノリなリョーコにゲンナリしていくナッセ。ヤマミもため息をつく。




