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4話「騎士ナセロン vs 女子高生ミッチー」

 ゴッドスレイヤーソードを携えるナセロンと、ガンソードを携えるミッチー。

 魔剣同士の戦いが始まる。


「ホホホ! 行くわよ!!」

「おう! この騎士(ナイト)ナセロンが相手だっ!!」


 素早く駆け出してきた女子高生ミッチーが光の剣を振り下ろし、それを同じく光の剣をかざして防ぐナセロン。

 お互い無数の軌跡を描く剣戟が繰り広げられる。

 真剣な顔で命の取り合いでせめぎ合う。


「序盤で女子高生と激しく斬り合う展開……」

「なんでこんな展開にしたんだろうな」


 ヤマミのシリアスなツッコミに、ナッセは気怠そうな顔で項垂れる。


「オッホホ! その程度とはね!! ガトーッ!!!」


 ギィンと捌いて間合いを離れたミッチーは、なんと光の剣の切っ先を向けて弾丸を飛ばしてきた。

 しかしナセロンに横薙ぎで弾かれ、粉々になってしまう。


「今のは──!?」

「オッホッホ、驚いてよ!! ガンソードは射撃する事もできるのよ!!」


 なんと両手に光の剣を生み出し、マシンガンのように光の弾丸を乱射した。

 その弾幕をナセロンはことごとく弾いていく。

 流れ弾で他の町人が「ぎゃあ~~!!」と次々血塗れに沈んでいく。

 それでもミッチーは笑いながら投げ続けて町人まで巻き込んで惨殺していくのだ。


 悲鳴が劈き、目玉、指、内蔵などが飛び散る。

 そんなバイオレンスな描写を遠慮なく描くのは若気の至りとも言うか……。

 絶対女子高生がする行為ではない。そして思春期の学生が描いていいものではない。


「盗賊風情がこんな魔剣を使うなんてね……。さて、それをナセロンがどう攻略するか見ものだわね」


 ニーナは自分だけ魔法障壁を張って、余裕の高みの見物だ。

 これがヒロインの行為だとしたら酷い。

 普通は関係ない町人を守ろうと、健気に広い障壁を張って良さそうなもんだ。


「なら! 遮れ!! 光翼盾(こうよくたて)!!」


 ナセロンが光の剣を振るうと、目の前に六角形っぽい光の盾が広がった。

 それはアマゾネソードによる弾幕をことごとく弾いてしまう。


「ぐっ!? 何それっ? バリアも張れるっていうの!!?」

「今度はこっちの番だっ!!」


 光の盾を張ったまま、ミッチーへ間合いを詰める。


「救済不能な咎人どもを阿鼻叫喚地獄に突き落とせ!!! 悍しき殺戮せし多弾連射式機関銃剣よ!!!」


 焦ったミッチーは両手の光の剣を合体させて、なんと巨大な剣に変えた。その切っ先から無数のトゲが乱射される。

 今度はまるでガトリングガンのようである。


「これが真の魔剣女子高生ガトリングソード!!! ガトガトガトトトトトト!!!!!」


 秒間四〇〇発も連射できる光の弾幕により、さらなる殺傷能力を増した。

 それらは地面を激しく穿ち飛沫を吹き上げ、巻き込まれた人々は「ぐげ!」「ぎゃあ!」「きゃああ!!」と肉片飛び散って死屍累々になっていく。

 さすがにこの弾幕と威力に、ナセロンも盾でこらえるしかない。


「ガトガトガトガトガトガトガトガトガトトトトトトトトトトトトォォォ!!!!」


 妙な気合い音でまくし立てる女子高生ミッチー。

 ヤマミは「なにあれ?」とジト目で見やると、ナッセは「聞かないでくれええ」と悶えてる。

 実は明治剣客浪漫譚に出てくる敵キャラの影響である。

 なぜ女子高生で、その設定になったのかはイミフだがぞ……。


「なっ!!?」


 女子高生の巨大な光の剣が霧散していく。


「秒間四〇〇発も連射するんだ。威力は確かに凄まじいが、その分だけ消耗も多大なものとなる。後先考えず撃ちまくれば当然──」

「た……弾切れ……!!」

「弱点も同じだ……」

「くそーっ! だが、一本くらい具現化は出来るわ! ガトオオオオ!」


 女子高生ミッチーは根性でナイフ程度の光の剣を具現化させた。


「今度はオレの必殺技を受けてみろっ!!」

「ぐっ!!!」


 ナセロンは剣を正眼に構え、オーラが放射状に吹き荒れていく。オオオオ……!!

 それに対して女子高生ミッチーは「ガトガトガトオオオッ!」とイミフな叫びで斬りかかろうとする。

 これについてはナッセも後悔するしかない設定であった。


「うおおおおおっ!!! カミナリトッパーッ!!!!」


 轟音を伴って一直線と光線のようにナセロンが突進して、女子高生ミッチーを木っ端微塵に粉砕した。

 更にその先の建物まで粉砕して城壁にまで風穴をあけた。

 そんな威力にニーナは驚く。


「一〇〇マッハで突進する必殺技!? オーラを推進力にして加速しての剣の突きで軌道上の全てを完全粉砕する、恐るべき威力ね!!! それがカミナリトッパーッ!!!! これがカミナリトッパーッ!!!!! まさしくカミナリトッパーッ!!!!!」


 ご丁寧にニーナが術理を説明してくれる。漫画であるある解説だ。ただ連呼はやめて。めっちゃ恥ずかしいぞ……。


「とはいえ技名は超ダサいわね……」

「それは言わないでくれ。そいつはオレに効く。効きまくる」


 ヤマミのツッコミが突き刺さって、震えながら悶えるナッセ。

 なんでこのダサいネーミングにしたのか、と後悔するばかりである。


「……頼むから改名してくれぞ」


 作者の要望で『カミナリトッパー』を改め『ルミナススラスト』にしたのだった。

 あとついでに『光翼盾』も『シャインシールド』に改名して、統一してもらった。


「こうなったらリメイクしてぇ……!」

「このままでもいいけどね。それをこれから実写で見れるから楽しみだわ。ふふっ」

「読んだ?」

「読んでないわ」


 疑心に駆られたナッセに、なに食わぬ顔で首を振るヤマミ。




 木っ端微塵にしたのに、なぜか五体満足で生きてたガトリング女子高生ミッチーを突き出して九〇〇〇キンの賞金をもらった。

 漫画のような異世界に転移してしまったナッセとヤマミは、ナセロンとニーナの旅立ちに付き合う事になった。

 どうやって元の世界へ帰れるかも皆目付かないまま……。


 ─この二人の出会いが、世界の運命を左右するほどの冒険となるとは……!

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