25話「大番狂わせ!!! 妖精王ナッセの圧倒劇!!!」
「ならば……ッ!!! フレイムエッジ!!!」
なんと七つの魔王フレアネスドは、自身を包む三つ首巨竜の口から炎の刃を乱射し、地響きさせながら大津波のようにナッセを押し潰さんとする。
「おおおおおおおおおおッ!!!!」
気合いを入れて、それに反応するかのようにナッセの足元の花畑がボココココッと荒ぶる。
ナッセはカッと鋭い眼光を見せて太陽の剣を幾重に振り回して、ことごとく弾いていく。
毅然と粘り強く、一寸の隙も見せぬ捌きで、超威力の乱射を弾きまくる。
ガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガッ!!!!!
周囲に弾かれた炎の刃があちこち障壁で爆ぜて、ドンドンドンドンドンッと爆発が絶えず連鎖していく。
乱射を続けるフレアネスドは「ぐぬ……!!!」と汗を垂らし苦い顔に歪んでいく。
どうやってもナッセの粘りを崩す事ができない。
「ならばあああああッ!!!! フレイムザッパアア────ッ!!!」
なんと三つ首巨竜が凄まじい高次元オーラを噴き上げて、超高速マッハでナッセへ体当たりしてきた。
リフレアルトだった頃の技がそのままグレードアップして、地図を書き換えるレベルの威力になっているのだ。
しかしナッセは居合抜きのように腰を低くして、剣を後方に構えていく。
「おおおおッ!!!! サンライト・スパァ────クッッ!!!!」
最強最速の振るわれる横薙ぎ一閃により、稲光を散らすほどの超威力を生み出し、巨体のフレアネスドをすらぶっ飛ばす。
まるで跳ね返ったかのように観客は見えるだろう。
破片を散らしながら宙を舞う三つ首巨竜に「うおおお!!?」と見開いて驚かざるを得ない。
ズズ────ンッッ!!!!
小柄の子どものような銀髪少年が、あの巨人かと思える程の三つ首巨竜を圧倒している。
ナセロンもニーナもブラッドも見開いてあんぐり口を開けるしかない。
「は、はれれ……!!? こ……こんなに……強かったの!!?」
「これが……ナッセの実力……!!?」
「オレは……、こんなヤツと再戦したかったというのか…………!?」
ブラッドはガチガチ震える。武者震いではなく恐怖だ。
妖精王ナッセ、この世にあらざる姿となって七つの魔王を圧倒し、今も見据えている。
ボロボロになった三つ首巨竜は、なんとかよろめきながら立ち上がり復元されていく。
「グ……!!? 貴様あッ!!? そ、そんな力を……なぜ貴様があああああッ!!?」
本体であるフレアネスドも口から血を流し、ハァハァ憔悴しきっている。
「これでも転移前の世界で大魔王とガチ戦った事あるからな!?」
「くそおおおおおッ!!!」
憤ったフレアネスドはすぐさま巨体で空へ飛び上がって、上空から三つ首で一つの巨大な火炎球を膨らましていく。
ゴゴゴゴゴ、と獰猛に燃え盛る灼熱の火炎球。
まるで太陽かと思えるほどの超高温と大質量、台風のようにブオオオオっと熱風が吹き荒れている。
それでもナッセは平然と見上げていた。
「跡形もなく消し飛べえぇぇぇぇッ!!!!」
激昂のままに放つ。
獰猛に燃え盛る業火は、物理事象を超えた精神世界からの攻撃。決して水とかそこらでは消えない。
ルーグが張った障壁とかがなければ、浮遊コロシアムはおろか、真下の魔法都市も吹き飛ぶほどだろう。
まさに滅亡兵器クラスだ。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……ッ!!!!
「おおおおおッ!!!! デコレーションフィ──ルドッ!!! 攻撃無効化──ッ!!!」
ナッセは気合いを入れて上空へ手をかざす。
すると迫り来る巨大な火炎球さえ分解して、大量の純白に灯る蝶々へ変換されていく。
おびただしい数の白き蝶々が緩やかに四方八方と舞っていく様子に、観客も感激していく。そしてフレアネスドは「ば……ばかな……!!? お、俺様の最大の攻撃だぞ……!?」とワナワナ震えていく。
「おおおおおおおおッ!!!!」
ナッセは荒ぶって、気合いを入れると花畑も急速の沸騰のように咲き乱れ、凄まじいフォースが天へ昇っていく。
キッと、上空にいるフレアネスドを見上げた。
ナッセは瞬間移動のように素早くフレアネスドの真上へと飛び上がり、上空へ向かって剣を振り上げていた。
フレアネスドは気配を察知して、見上げると見開く。
「なッ!! なに……ッ!!?」
「サンライト・フォ────ルッ!!!!」
ナッセは流星のように尾を引きながら急降下しつつ、太陽の剣を振り下ろす。
そんな脅威を初めて感じ取ってフレアネスドは畏怖した。
「う……うおああああああああああッ!!!!」
死に物狂いと反撃と三つ首が大気をも焦がすほどの灼熱の光線を吐くが、それさえもナッセの太陽の剣は斬り裂き続け、煉獄竜王の巨像をも真っ二つに裂いて、フレアネスド本体の頭上を打つ。
そのまま思いっきり地面に叩きつけた。
ズガガァン!!!!
脳天を地面に埋めたフレアネスドは苦悶に「グ、ガハッ!!!」と吐血して、大柄な体がズズンと横たわった。
奥義も使わず圧勝してしまったナッセに誰もがポカンとする。
《な、な、な、なんとォ────!!!? あ、あの七つの魔王が敗れた────ッ!!? この男、一体何者でしょうかッ!!? 妖精王ナッセの完全無欠勝利────ッ!!!!》
興奮してか歓声が轟き上がった。
そしてアンゼルヌークは驚愕に見開いて冷や汗タラタラと焦燥していく。
「な……なんなのッ……!? そ、そんなの……ありえないッ…………!!!」




