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134話「世界会議でナッセたち暴露する!!」

 女神マザヴァスによる第二次天地魔大戦はなかったかのように終結された。

 ウソみたいだが、殺されたはずの人々が生き返ったのだ。

 特にザイルストーン王国は犠牲者多数で悲しみに暮れている人が多かっただけに、生き返った奇跡は泣いて喜ぶほどだった。


 そしてその一週間後、世界各国から王族などが集結した世界会議(サミット)が開かれた。



 バレンティア王城の会議用の広場で面々が集まっていた。

 アロンガ魔法都市の首脳である支配神ルーグと秘書のアンゼルヌーク。

 ギルガイス帝国の皇帝ライティアスと第二王子クロリア及び、聖騎士(パラディン)アーサー、グランハルト、アレフ。

 ザイルストーン王国のクバサ王とカナリア姫と移籍した聖女セーレイ。

 ホワイデー王国の王様と王太子ソロア及び、聖女(セント)ピーチラワーとテンショウ。

 エルフの国エーテリンの王様と王太子アルベルト。

 バレンティア王国のヴェレンデア国王と王太子ナッセ及び第二王子ガルンシアとマーレ姫とヤマミ令嬢とリョーコ。

 特例として第四王子ナセロンとそのお供ブラッドとルシア。

 そして金色の破壊神クゥナーレと娘ニーナ。


「……事情は分かった」


 皇帝ライティアスは、これまでの顛末を聞いた。

 そもそも『全てが終わったら事情を話してもらうぞ』という約束だったので、ナッセたちは洗いざらい話したのだ。

 原住民の彼らには信じがたい話だったのだろうが、これはいずれしなければならない事だった。


「ああ。冒頭で言ったようにオレとヤマミとリョーコは地球って異世界から、女神によって移転されたんだ」

「ううむ。何度聞いても俄かに信じがたいな……」


 真剣なナッセを前に、父上に当たるヴェレンデア国王は額に手を当てた。

 それはそのはず「育ててきた第一王子が実は移転者とすり替わってました」だからな。


「すまん。だが、以前のオレはガルンシア王子とどっこいどっこいの腕前だったろ? 妖精王になれるなんてねぇはずだ」

「急に強くなったり、言動に違和感があったりしたでしょ?」

「ううむ……」


 ヴェレンデア国王は思い悩み、ガルンシアは震えている。

 マーレ姫は否定したくて顔面真っ青で首を振っている。


「ごめん!! 元々はあたしの小説のキャラだからねー! 合作した時に自然と組み込まれてたっぽいしー」

「まさか、こんな小娘の作った話のキャラだとは到底信じられんよ」

「待ってくれ……。整理がつかん……」


 もちろんホワイデーの関係者も、まさかリョーコの作ったキャラだったとは信じられない様子だ。

 テンショウはワナワナ震えて俯いていて、聖女(セント)ピーチラワーは困惑している。


「私が……リョーコと好きになるハーレム関係のキャラか……」

「聖女の私も作られてたんですか……?」

「ごめ」


 リョーコは苦笑いしてペコペコしながら合掌するしかない。

 アルベルトもソロアもジト目で見やる。彼らもハーレムキャラだと知らされたのだ。

 結局なびく事なく、ハーレムは破綻してしまったが……。


「この皇帝ライティアスも帝国も……ナッセ殿の作ったものか……」

「ナセロンが主人公として作られたとか、信じられませんね」


 ライティアスも苦悩するように唸り、クロリアも首を傾げて困惑顔を見せている。

 アーサー、グランハルト、アレフは「ホント信じられねぇ」「マジ不条理じゃねぇか」とか色々言ってる。

 もちろん、こいつら全員ナッセが作った漫画のキャラ。

 やっぱり原住民は半信半疑の様子だ。彼らにとっては大昔から存在するものと認識しているのだ。


「でも、女神マザヴァスの脅威を考えれば信じざるを得ないでしょう」


 聖女(セント)ピーチラワーは立ち上がり、納得させようと説得を試みた。


「ルーグ殿はどう見る?」

「んー、その通りだよーん。ワシは確かに昔から世界三柱神でやってきたが、ナッセに作られた存在と認識しておるよ。女神マザヴァスが具現化したものではあるがね」

「「「女神マザヴァス……!!!」」」


 女神マザヴァスがナッセと創造主ゲームをやってた事も話している。


「あいつが焦って出てきてオレが勝ったから、こうしてこの世界の主権を全部手に入れたからな。もう二度と乗っ取ろうとする事はねぇぞ。安心していい」


 金色の破壊神クゥナーレはこちらへ見やる。


「その話は確かだ。お前らがどう信じようが、私は確信している」

「生き返らしたんだって? ありがとね」


 ニーナは微笑んだ。


「我々もチート移転者の侵攻を受けていたが、死んでしまった人が生き返ったのだから信じるぞ」


 ザイルストーン王国のクバサ王がそう言い切った。

 未だ整理はつかないだろうが、納得できる事実がある。


「この世界の主権をナッセ殿に譲渡した後、女神マザヴァスはどうした?」

「……もうここから離れて、どこかの移転者を楽しませる女神として新たに活動してると思う。願いは絶対だから、欲深い性格が戻って世界を乗っ取るとかはもうないから」

「そうなのか……」

「ああ」


 震えていたガルシアンが口を開いていく。


「な、なぁ……、最終回と同時刻になると、あっちへ帰るって話、本当か?」

「ああ。オレたちは異世界の人だからな」

「するとどうなるんだ?? こっちの兄様は……??」


 ナッセは申し訳ない顔で首を振る。


「見た目と性格は同じだと思うけどオレじゃなくなる。妖精王にもなれなくなる」

「…………ああ」

「例えるならオレが王太子に憑依合体してるみたいな感じだからな。憑依される前の状態に戻ると思う」

「私もね」

「あたしも」


 ヤマミもリョーコも続いて答える。


「う……うぅ……!!! そんなの……ないだろぉ……!!! ナッセ以外はともかく……!!」


 泣き崩れていくガルシアン。

 マーレ姫は「そんなの認められませんわー!!!」とわんわん泣き喚く。

 ヴェレンデア国王も複雑な心境だ。


「どっちも可愛い息子だと思っておるのだがな……」

「すまん」


 婚約破棄した時からおかしかったナッセ。今思えば、その頃から異世界のナッセが入ってきたのだろう。

 意味不明な事を言い出してきてトチ狂ったかと思ったものだ。

 しかしナッセは最後まで真剣に突き進み、女神マザヴァスをも打ち破るに至った。


「オレたちが帰ったら、おかしな現象もなくなる。元通り平和に暮らせると思う」

「女神マザヴァスや創造主ゲームも終わった事だしね……」

「うんうん」


 スッキリした顔でナッセは「でぇじょうぶだ」ってノリで宥める。

 ヤマミもサラッと黒髪ロングを払う。

 リョーコもお調子者らしく軽く二回頷く。


「待て!! まだ創造主ゲームは終わっていない!!」


 ズァンッ!!!!


 突然クゥナーレは高次元オーラを噴き出して天井をも打ち破る。

 凄まじい威圧が膨れ上がってビリビリと全身に響いてくる。誰もが緊迫感に包まれた。

 ニーナは驚いて「お父さんっ!?」と声を出す。


「金色の破壊神クゥナーレは、未だ世界の破壊を目論む者!!! 全て終わったと思わぬ事だ!!!」


 コオオオ……、と戦慄させられる冷徹な顔を見せてきたぞ。

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