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132話「ナッセの勝ちで、創造主ゲーム終了!!!」

 一秒にも満たぬほどの超高速壮絶バトルが繰り広げられ、惑星を何個も砕くほどの破壊事象が起ころうとしていた。

 しかしナッセとヤマミで錬成した『開闢(かいびゃく)(すず)』によって、全ては帳消しになった。

 そして平和を象徴するかのように、世界中へ光輪が広がっていって地上をキラキラする花畑で覆い尽くしたのだ。

 余韻として優しい音色が流れてくる。


「ええ???? 一体何が!!??」

「突然花畑が広がっていったぞ!!?」

「ナッセとヤマミは!!?」

「あの二人とマザヴァスが消えたと思ったら、急に花畑が!!?」

「一体何が起きてるんだーっ!!!?」


 バレンティア王国では誰もが混乱に陥っていた。

 皇帝ライティアスですらも目に映らず、どうなったのか把握できてなかった。


「む……? 妖魔神を一撃で倒すほどのマザヴァスを相手に、ナッセとヤマミが一気に強くなって……?? 気づいたら辺り一面の花畑……???」


 癒されるような優しい雰囲気に包まれた不思議な花畑。

 それもジュワジュワ収まっていく。


「もう終わったようだねー。創造主ゲーム」


 のほほんと支配神ルーグが現れて、思わずライティアスはビクッと竦んだ。

 それだけじゃない。生命神ガーデスと闘神ブラッディーまでフッと勢揃いしてきた。

 なんと世界三柱神が揃って現れたぞ。


《みなさま。もう安心してください。女神マザヴァスは敗れました》

《とりあえず目に映らぬ激戦だったから、撮影したのを超スローモードで見てくれ》


 なんと映像が浮かんで、ペプシマンとナッセとヤマミの激戦が一部始終映し出された。

 まさか全ての事象を置いてきぼりにするレベルの超高速バトルが繰り広げられたとは思わず、皇帝ライティアス含めて誰もがあんぐりして見届けた。

 ナッセの『開闢(かいびゃく)(すず)』がなければ、星が消し飛んでもおかしくなかった。


「はれ……???」

「ううむ、一秒にも満たぬ激しく激戦が……!!」

「フン!! ナッセとヤマミは神々レベルだというのか……!!! 一生追いつけんではないか!!!」

「はれ? 追いつける気でいたの??」

「そこ黙れ!!!」


 首を傾げるナセロンにブラッドが怒鳴る。


「ルーグさま……。ナッセたちはいませんね?」

「そうじゃったの。ちょい待ち」


 ルーグはフッと掻き消えた。ガーデスもブラッディーもフッと消えた。




 雲海が広がる天上界。

 近くで無限樹の元となる神樹が超巨大で聳えている。そのふもとで三人がいた。


「ここに転移したという事は、創造主ゲームは終わった??」

「イキナリだもんね……」


 ナッセはキョロキョロ見渡していて、ヤマミは見下ろす。

 二人とも妖精王状態だ。

 せっかく造った肉体を失って、元の巨大な精神体に戻ったマザヴァスが愕然とした様子で両手を雲海に付けて俯いていた。


《くうううう……。なぜじゃああ……》


 ヤマミは目を細める。


「無様ね……」

《うぬう!!! きさまらあああッ!!!! よくも!!! よくもおおおッ!!!》


 怒りの顔を向けて、掴みかかろうとしても力が入らずワナワナ震えるしかない。

 開闢の鈴を食らったというのに殺意はぬぐい去れていなかった。女神という巨大な上位生命体だからか耐性がものすごい。


「とはいえ負けたし、当分は力を振るえねぇからな」

《ぐぬぅ……!!》

「なぜ戦闘力で劣るオレたちが勝ったのが納得いかねーか?」

《そ、そうだ……!! きさまら二匹それぞれ六〇〇万でも、戦闘力一〇〇〇~三〇〇〇万もの私が負けるなどありえないはずだああッ!!》

「分からないのね……」

「ああ。アンタは生前でも歴戦の冒険者ってわけじゃねぇ。素人のまま上位生命体に昇華しただけだ」

《なっ、なんだと……!!? この女神たる私を素人だと……!!?》


 女神マザヴァスは見開く。


「素人じゃなくても、高いスペックに自惚れて自身の戦闘技術を磨いてねぇんだろ?」

「あんたは終始パンチを繰り出すだけの脳筋戦法しかしてなかったわ。分身したり巨大化したりしてたけど、あれじゃ勝てないでしょ。もしあなたが私たちと同じように厳しい修練を重ね続けた歴戦の戦士だったら結果は大分違っていたわよ」

「そこが勝敗の明暗を分けたんだぞ」


 歴戦の雰囲気を醸し出すナッセとヤマミに、女神マザヴァスは愕然として自身の負けを受け入れるしかなかった。

 また再戦しても、もう勝てる気がしないのだろう。


《ほっほ。もう終わったようじゃのー》


 タイミングを見計らったように世界三柱神がフッと現れた。

 支配神ルーグ、闘神ブラッディー、生命神ガーデスの三体。こちらを囲んでいる。

 女神マザヴァスは気まずそうに顔を背けた。


《さて、肉体を作って転移者を生け贄にしてナッセを抹殺する執念は見事と言えるがのー》

《それが裏目に出たというわけだ。迫る時間に焦って事を急いたあまり、逆にナッセたちに負けるという結果で最終回前に創造主ゲームが終わってしまった》

《もはや結果は覆りませんよ》


 女神マザヴァスは両拳でドンと雲海を叩く。


《ち……ちくしょう……!!!!》


 支配神ルーグが明るい顔でナッセへ振り向く。


《これでこの世界はあなたのモノになりましたー!! そして女神マザヴァスから願いを一つだけ叶えてもらえる権利を授けますぞー!!!》

「え? ええ?? そんなん初耳だぞ!?」

《くそ……!!!》


 具現化されたグレチュア天地は、ナッセとマザヴァスで共同だったのが創造主ゲームで勝った一方に譲渡されていったのだ。

 しかもそれだけではなく、女神マザヴァスへ願いを叶えてもらうという追加報酬まであった。


「い、いいんか?? 願いを叶えてもらうって!?」

《こっそり設定した誓約らしいよー。絶対負けないとタカをくくって、そういう誓約をつけて世界を我が物にしたかったらしいね》

「浅ましいわね……」


 ヤマミは呆れながら見下ろす。

 考えてみれば、転移されたナッセの生き死にで創造主ゲームが行われる一方で、女神マザヴァスは傍観できる有利な立場にある。

 明らかに偏っている。それでは著作権は完全に奪えない。

 だからこそ誓約を足して奪えるように調整したが、今回裏目に出た。


《そ……そうだ……。ただし願いを一つ叶えるといっても前提を言っておくぞ。この私を消すとか、私を普通の人間にするとか、願いを増やしてくれとか、そういう類は願いの性質上無理だからな……。あと叶えられる願いは一つだけだぞ。一つ》


 切羽詰まった顔ながら、人差し指を立てて念入りに説明する女神マザヴァス。

 ナッセはヤマミと目を合わせる。


「うーん、一つか……」


 マザヴァスは虎視眈々と睨みながらニヤリと笑む。

 まだチャンスはある。

 しょせん叶えられる願いは一つだけ。どうにでもなる。

 例えナッセのがダメになっても、他の上位生命体が同じように転移してきた時にまた奪ってやると懲りない様子だ。

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