131話「一秒にも満たぬ刹那の頂上大決戦!!!」
一気にナッセとヤマミが六〇〇万の戦闘力に急上昇して、一〇〇〇万のペプシマンを相手に時間を圧縮したかのような一秒にも満たぬ刹那の間で激戦を繰り広げていた。
《死ね!!! この『絶対完璧粛清撃』でチリ一つ残さず殴って殴って殴ってやるうううううッ!!!!》
何十体も多重影分身したペプシマンが、包囲しつつ脳筋パンチ連打で袋叩きしようと迫って来るが、ナッセとヤマミは揃って得物を正眼に構えていた。
シンクロするかのように二人は鋭い眼光を見せる。キッ!!!
「行くぞッ!!! W流星進撃!!!! 幾万連星──ッ!!!!」
「よっしゃあああああああエンドッ!!!!!」
ナッセとヤマミで繰り出す一瞬連撃が数万もの流星群となって降り注ぐくらい、圧巻とも言える光景となった。
《なにいいいいいいッッ!!!!?》
ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!!!!
それは何十体ものペプシマン全身を完膚なきまで鋭く穿っていく。
数十万発をまともに浴びた分身体がことごとく爆散させられ、本体であるマザヴァスはたまらず《ガハアッ!!!!》と吐血する。
「よっしゃあああ!!! 絶対完璧なんとか破ったぞおおおおおッ!!!」
「ええ!! 脳筋ペプシマンなんかに負けるわけないもの!!」
血塗れになったペプシマンはギリッと歯軋りする。
《おのれええええッ!!!! この究極創造神マザヴァスさまを愚弄しおってええッ!!!!》
今度はペプシマンが筋肉隆々にボンと膨らんで脳筋パワーアップを図る。
しかも巨人のように更にデカくなっていって、はち切れんばかりの筋肉隆々に膨れ上がっていって戦闘力三〇〇〇万にまで跳ね上がった。
ゴムのように遠くに伸ばした豪腕が一気に収縮しながら、ナッセとヤマミに巨大パンチを食らわそうとする。
グオゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴオォォ!!!!
《粉微塵に砕け散ろおおおおおッ!!! 恒星をも一撃で粉砕するという『絶対完璧爆裂拳』ッ!!!!》
「どこまでいっても脳筋じゃねーかああああッ!!!」
「そんな程度じゃ私たちに勝てないわッ!!!」
毅然とナッセとヤマミは身構え、無数の光子が収束されていってそれぞれの得物が極大化されていく。
それだけでも凄まじい威力だと察し、マザヴァスは《ゲエッ》と驚愕する。
自分が巨大化したのよりも更に途方もなく巨大な威力に跳ね上がっていくのをビリビリと全身に響いてきた。
《なっ!? なんなんだあああああ!!? それはああああッ!!?》
マザヴァスにとっては初めて見る三大奥義の共演。
「三大奥義が一つ『賢者の秘法』!!! ギャラクシィ・シャインスパーク!!!!!」
「三大奥義『賢者の秘法』!!! ブラックホール・ダークリベンジャ──ッ!!!」
ナッセは超巨大な銀河の剣を、ヤマミは黒玉を抱える黒天の杖を、斜交いするようにペプシマンの巨大パンチに激突させた。
ドッッ!!!!
二人の奥義が炸裂する事により、相乗効果で何倍にも威力が膨れ上がった。
それは広大な宇宙に轟くかのような衝撃波が広がる勢いで、巨大な拳から連鎖するようにペプシマンの腕、肩、上半身へと次々破裂していく。パンパンパパパン!!!
《ぐはああああああああああッ!!!》
ポッパアアアアアアアアアアアアアンッッ!!!!
ついにペプシマンは割れた風船のように破裂四散していって、中から人間サイズの全裸女性が剥き出しにあらわになった。
無防備にさらされたマザヴァスは血眼で絶句するしかない。
《ば……バカな……この究極創造神が破れるとはッ……!!? 悪夢でも見ているのかッ……!!?》
宇宙には無数の星々が蝶々の群れのようにナッセとヤマミへ集合していくのが見えた。
「よし!! いいわよ!!! やはり今の私たちでなら完成できた!!」
「見ろペプシマン!!! これが究極奥義『賢者の秘法』!!!! そして──ッ!!!」
ヤマミと一緒に作り出した『開闢の秘法』を快晴の鈴に重ね、眩い閃光が爆ぜた。
その輝きの中から引き抜き、神々しく煌く純白の巨大な鈴が完成された。
「アルティメットホープ!!! 開闢の鈴ッ!!!」
ナッセは踊るように鈴を振り回し、キラッキラッと音色を目視化したような放射状の輝きを灯らす。
そしてマザヴァスへ急降下しいく。
さしものマザヴァスは手で庇いながら「ヒッ」と涙目になっていく。
《やっ、やめろおおおおおおおッッ!!!!》
「女神マザヴァスッ!!! これでもう終わりだあああああーッ!!!!!」
全身全霊、渾身のひと振りで『開闢の鈴』を炸裂させた。
キィ────────ン!!!
眩い音色の輝きが放射状に爆ぜ、光飛礫を舞い踊らせながら光輪が煌びやかに広がっていく。
《うぎゃあああああああああああああああ────────ッッ!!!》
浄化の音色の輝きを浴びて、マザヴァスは堪らず断末魔を上げた。
甲高い音色が波紋のように、世界中へと暖かく輝く光輪を伴って広く広く響き渡っていく!
そしてグレチュア天地中に、純白に輝く花が一気に咲き乱れる壮大な花畑へと広がっていった。
「よし!!! 上手くいったああああああッ!!!」
「成功したわね!!! 上出来よナッセェ!!!」
「ああ!!! オレらで……」
パシュ────────────────────ッ!!!
これまで刹那の間に巻き起こしてきた衝撃波などが全て帳消しにされていった。
実はマザヴァスが魂を編み込むと言い出した時から、この結果をイメージしていたのだ。
このままチンタラ戦っていたら、グレチュア天地と言われる惑星含め、周辺の恒星系が破壊されていたかもしれない。
「究極なんとかペプシマンを破ったあああああああああああああッッ!!!!」
ナッセは拳を突き上げて勝利の余韻に歓喜したぞ。
結局最後までネタキャラ扱いされたマザヴァスはガチで泣いた。
《うわあああああああんッ!!! どうしてくれんのよおおおおッ!!!! アンタラ許せないわああああああッ!!!!》
泣き喚きながら掴みかかろうとすると、ヤマミがその手を払いながら後ろへ回り込む。
全裸マザヴァスの腰を両腕でガシッと極めたまま、バックへと勢いよく真っ逆さまに落下していく。
流星のように熱圏を突き抜け、中間権、成層圏、対流圏と地上へ向かっていった。
ナッセも「おおッ!!」と声を漏らしながら、追いかけていく。
《うおわあああああああああああああ……!!!!?》
雲海を突き抜けて近づいてくる花畑に、マザヴァスは見開いて恐怖する。
ヤマミは「メテオ・ス──プレックスッッ!!!」と気合いを入れて叫んで、マザヴァスを地上へ叩きつけた。
ズガガァン!!!!
マザヴァスは花畑へ脳天を叩きつけられ、白目をひん剥く。
《ぎ……ぎはあッ!!!》
耐え切れずマザヴァスは盛大に吐血。
ズンと花畑に横たわった神造究極肉体は浄化され、パシューッと光の粒に飛び散っていく。
ヤマミはサッと勝利のポーズを取り、姫カットの黒髪が舞った。
「たはは……。見た目は生徒会長さんなのになぁ……」
フッと悦に浸るヤマミに、ナッセは苦笑い。




