128話「チート移転者軍勢を逆無双だああああッ!!!」
ホワイデー王国にもチート移転者が群がっている。
「このチートスキル『根雷覇投算』で全員の遠距離攻撃が貫通&必中になる!! 撃てー!!!」
「「「オオオオオオオオオオオッ!!!」」」
チート移転者はそれぞれ得意な遠距離攻撃を放ち、様々な弾丸が無数と降り注ぐ。
「聖技・八風神雲旋!!!! 望ッ!!!」
しかし聖女ピーチラワーは神々しい杖を振りかざして、光り輝く台風を発生させてチート移転者の攻撃をことごとく弾いていく。
光属性を練り込ませた風魔法は強固で貫通も必中も許さない。
広大な王国を丸々包むほどの聖なる台風が螺旋を渦巻いて、いかなる攻撃も跳ね除けている。
「なんだあああッ!!?」
「このウソつき!!! なーにが必中だよ!!?」
「クッ!! そんなはずは!!!」
「このチートスキル『飛段路似縛酸』が当たれば、いかなる壁も破壊されるはずなのに全然効いてねぇッ!!!」
「こっちもチートスキル『鋸羅頭燃炉』は水だろうが何だろうが絶対に燃やし尽くすのに、燃える気配ねぇ!!」
「バカな!!? あのアマもチートスキル持ってんのかよおおおおッ!!?」
何度攻撃を繰り出すも歯が立たない。
聖女ピーチラワーは毅然と杖をかざし続けていて、背後からスッとテンショウが出てくる。
「我が冥獄王の黒鎌よ……、仇なす全てを摘み取れッ!!! 怨ッ!!!!」
テンショウが黒鎌を振るうと、あちこちから斬撃が現れてチート移転者を次々と切り裂いていく。
「グエエエッ!!!」
「ガバブッ!!!」
「ぎゃあ!!!」
「げばあああッ!!!」
「ガアアアッ!!!」
両断されたチート移転者は白目で血飛沫を散らしながら落下していった。
聖女ピーチラワーの絶対防御と、テンショウの精神世界からの攻撃でチート移転者はなすすべなかった。
二人が強すぎて、ホワイデー王国の兵士もポカンとする。
青髪ロングヘアーのイケメン王太子ソロアも胸を撫で下ろす。
「……正直言って、我々の兵力では太刀打ちできなさそうだからね」
手に剣を握ってはいるが、戦ってもタカが知れている。
アロンガ魔法都市でも魔法兵が次々と黒魔法を繰り出して、チート移転者を撃墜させていった。
「バカな!? なんでチートスキルがッ!!?」
「こちらも何故かチートスキルが出ねぇッ!!?」
「なんとかしろッ!! このままでは逆に無双されるじゃねぇかッ!!!」
「うぎゃあああああッ!!!」
「なっ、なんでだよおおおおッ!!! なんで俺らが無双されるんだよおおおッ!!!」
チート移転者は焦るだけ焦っていいマトになるだけだった。
どういうわけかチートスキルが発動せず、攻撃するといってもパンチかキックぐらいしかできない。
アロンガ魔法都市の中心で建っている巨大な塔の上部でルーグが王座でのほほんとしている。
控えている高位魔族アンゼルヌークは笑みを零していた。
なぜならルーグの背後で魔法陣が描かれた長方形の板が浮いていた。
なんかルーラルーラ鳴いてる。
「我が『森羅万象』によって、チートスキルは別次元へ流されていくのだよー」
「さすがです……。世界三柱神さま」
ルーグの最上階梯黒魔法『森羅万象』は伝説とも言われた固有魔法だ。
いかなる攻撃の当たり判定も別次元へ飛ばして無効化できる。ほぼ無敵である。
世界三柱神だけあってチートすぎる能力だぞ。
「「「「なんでだよおおおおおおおおッ!!!!」」」」
烏合の衆に成り下がったチート移転者は嘆きながら撃ち落とされていった。
第二次天地魔大戦が始まってから三日が経った────。
底を尽きないチート移転者軍勢との戦争は未だ続いていた。しかし……。
「おおおおおおおおッ!!!」
「やあああああああッ!!!」
妖精王に変身したナッセとヤマミが吠える。
神々しい容姿とともに、凄まじく噴き上がる高次元オーラが唸る。
「な、なんなんだあああッ!!!?」
「あいつら妖精みてーなのになってから強すぎんだろおおおおッ!!!」
「見た目弱いくせにメチャクチャ強いぞおおおッ!!!」
「これじゃあプリ○ュアじゃなくて超サ○ヤ人だろッ!!!!!」
「いいから数で押せ押せーッ!!!」
キッと見据えたナッセとヤマミが空を駆け抜けると、数千数万ものチート移転者がババババッと爆散して空に連鎖されていった。
圧倒的戦力を前にチート移転者もただのザコでしかないぞ。
「いっせーのォ……!!! スラッシュスレイヤーッ!!!!」
そんで天道戦刀姫に変身したリョーコの漲るオーラが唸りを上げる斧が振るわれると、一斉に数千人ものチート移転者が両断されていく。
しかも無限樹が二つもスッパリ両断された。ボガーンと爆破四散。
やはり戦闘力一〇〇万級の威力は壮絶だ。
そして王宮の方からカッと光がこもれでた。
金色の力を持った金色の光輪騎士ナセロンと、オリハルコンに変質した超合金魔獣王ルシアと、進化して魔王化した究極ブラッドが飛び出した。
修行後の時以上に、傷や疲労が癒えて万全になった三人はさらに戦闘力が激増していた。
「結界剣!!! いっけえええ────ッ!!!!」
五芒星形のルミナスシールドを吸収した光の剣を振るうと、大気を切り裂いて唸りを上げる奔流が一直線と空を駆け抜けて、無数のチート移転者を消し飛ばし、更に無限樹を木っ端微塵に爆散させた。
ドガアアアァァッ!!!!!
超合金魔獣王ルシアは燃え上がる獄炎ではなく、神々しく輝く光の高次元オーラに昇華していた。
全身がオリハルコンになった事により研ぎ澄まされたオーラは別次元へ昇華されたようだ。
「うぬおおおおおおおおッ!!!」
竜巻かと思うほどの拳の嵐を振るって、周囲のチート移転者を薙ぎ散らしていった。
まるで新しく生まれ変わったかのようだ。
「この究極ブラッドの力を思い知れーッ!!!!」
漆黒の剣を振るうと、黒刃が吹き荒れる台風と化して、広範囲に広がってチート移転者を屠っていった。
「ぎゃあーッ!!」
「ぐわあああああッ!!!」
「こんなん勝てねーッ!!!」
「俺らチート移転者なのにーッ!!」
「グギャアーッ!!!」
「ぐわべっ!!!」
パワーアップを果たしたナセロンとブラッドとルシアが無双していくのを見て、ナッセは頼もしいと笑みがこぼれる。
もはやこの天地魔大戦は終局へ近づいてきていた。
《アッハハハハハハ……!!! ゴミ掃除お疲れ様でした……!!!》
どこからか不穏な女神の言葉が響いてきた。




