第4話 自身の素性を学年一の美少女令嬢に明かす(3)
電車から降りた俺は、俺の胸に顔を埋めたまま抱き着いている沙苗さんを伴い、ホームの階段を登った先にある改札口に2人分の切符を通し、白蘭駅の出口へと歩いて行く。
出口近くになって、俺の胸に顔を埋めていた沙苗さんに服を引っ張られたので、俺に話したいことがあるのかな?と思ったので、一先ず他の人の邪魔にならない場所に移動してから立ち止まってから、沙苗さんを見る。
そして、沙苗さんが口を開く。
「俊吾さん……先程は申し訳ありませんでした」
「なんで沙苗さんが俺に謝るんだ?」
「それは…その……ですね……電車の中で泣いてしまいましたし、嬉しくて思わず抱き着いてしまって、俊吾さんの胸に顔を埋めてないてしまっからです……。
顔を埋めてるのは今もですが……(俊吾さんのこの匂いが好きだから離れたくないのです!!……とは絶対に言えないですね。 恥ずかしいから絶対にです! それに、俊吾さんの心臓の鼓動が早いです)」
「別に謝る事じゃないでしょ、それはさ……(今も抱き着かれてるから、かなりドキドキなんだけどな!)」
「おーい俊吾ぉ~、迎えに来たぞ!」
と、その時、俺の名前を呼ぶ声が聞こえたので、聞こえた方に振り返ると、そこには執事服を着た壮年の男性が立っていた。沙苗さんも驚いたのか、思わず俺から離れる。
「父さん!?なんでいるの!?(なんで、セバスがここに!?)」
「なんで居るのって言われてもなぁ。
俊吾の帰りが何時もよりも遅いから心配になってな。 だから迎えに来た」
「そういうことか。父さん、迎えに来てくれてありがとう。
沙苗さん、この人が俺の父さんだよ(セバスが来てるということは……メイド長の遥さんも来てるな、これは)」
「は、初めまして! 俊吾さんと同じ城西学園でクラスメイトの西園寺 沙苗と申します! いつも俊吾さんには良くしてもらってます!」
「沙苗さんと言ったね。いつも息子の俊吾がお世話になっている。
これからも息子と仲良くしてもらえるかな?」
「は、はいっ! 勿論です!」
「さて、ここでは落ち着いて話すことも出来ないから、そろそろ帰ろうか俊吾。
外の駐車場に車を停めてるから、そこまで行こうか。
お前の母さんも待ってることだし、な」
「分かったよ。 それじゃ沙苗さん、行こうか」
「は、はい!」
俺のことを迎えに来た父さんと共に、俺と沙苗さんは駐車場に移動する。
駐車場に移動すると、1台の車リムジンが停まっていた。
そして、その車の傍には1人の女性が立っていた……メイド服を着た遥さんだが。
「俊吾、迎えに来たわよ!」
「……母さんもありがとう」
「は、初めまして!俊吾さんのお母様!
俊吾さんと同じ城西学園のクラスメイトで西園寺 沙苗と申します!(なんで俊吾さんのお母様はメイド服姿なのですか!?)」
「初めまして、沙苗さん。 俊吾の母です。
立ち話もなんですから車に乗って下さい、沙苗さん。
それから俊吾もね」
「分かったよ、母さん」
「分かりました、お母様。そ、それでは失礼します!!」
「沙苗さん、そんなに緊張しなくても。もっとリラックスして下さっても大丈夫ですよ?」
「は、はい!お母様!」
「よしっ、全員乗ったことだし出発するぞ」
そう言って父さんは運転席に座り、全員が乗ったのを書くにした後にハンドルを握り、静かに車を走らせ始める。
車が走り出してから暫くして、俺は口を開く。
「改めて迎えありがとう、父さん母さん……いや、セバスにメイド長の遥さん」
俺の言葉を聞いた沙苗は「はいっ!?」と、驚きの声をあげる。
「いえ、専属執事として俊吾様の迎えは当然のことでございます」
「俊吾様、私もセバスと同じですよ?
だから、私共にお礼は不要にございます」
「沙苗さん、詳しいことは家に着いてから話すよ」
「分かりました、俊吾さん……」
沙苗さんは詳細を聞きたそうにして俺を見ていたが、俺がそう話した為、一先ず納得してくれたみたいで、しつこく聞いてくることもなく、隣で大人しくしていた。
不安なのか、俺の服の袖を掴みながらだったが。
それから暫く走った後、俺の家に到着した。
いや、家というよりも巨大な屋敷と言った方が正しいのかもしれないな。
その証拠に、車から降りた沙苗さんが放った一言が、この屋敷の大きさを物語ってるだろうね。
「なん……ですか、この家のデカさはです!?
家というよりも、最早巨大な屋敷と言った方が正しいのですが!?」
「うん、正に巨大な屋敷だからね。
改めてようこそ沙苗さん、俺の家に!」
「それでは俊吾様、西園寺様。中に入りましょう」
そうセバスに言われたので、俺と沙苗さんは中に入る。
中に入ると、メイド達が一斉に頭を下げながら挨拶してくる。
『『『お帰りなさいませ、俊吾様!!そしてようこそお越しくださいました、西園寺様!!』』』
「ああ、ただいま、皆」
「こ、こんな歓待を受けたのは生まれて初めてです、私」
「……そうなんだね。まぁ、一先ずは応接室に移動しようか。
セバス、ご案内を」
「畏まりました、俊吾様。 それではお2人共、こちらへどうぞ」
セバスにそう言った俺は、沙苗さんと共に応接室へと移動する。
応接室内へと入った俺は、「ソファーに座るように」と沙苗さんに薦め、座ったのを確認してから俺も沙苗さんとは対面に位置するソファーへと腰掛ける。
そのタイミングを見計らったかのように、メイド長の遥さんが紅茶を俺と沙苗さんの前に置いてくれたので、そのお礼を言ってから、俺は話し始めた。
「遥さん、紅茶をありがとう。
さて、沙苗さんが気になるであろう俺の……いや、僕の素性を明かすよ」
「はい」
「明かす前に確認なんだけど、沙苗さんって西園寺財閥グループの令嬢だよね?」
「はい、そうですが……。
それがどうかしたのですか?」
「いや、この日本には西園寺財閥の他にも財閥グループがあるのは知ってるよね?」
「はい、勿論存じ上げておりますが?」
「沙苗さんなら知ってて当たり前だよね。
その財閥グループの中でも最大規模の財閥グループは何処か知ってるかな?」
「はい、知っていますよ? 瀬戸崎財閥グループ、ですよね?……って、まさかですが!?
俊吾さんは瀬戸崎財閥グループの御曹司なのではないですか!?」
「いや、正確には御曹司ではないよ、僕は」
「はいっ? 瀬戸崎財閥グループの御曹司じゃなかったとしたら、俊吾さんは何者なのでしょうか?」
「それはね──僕が、日本最大規模の瀬戸崎財閥グループの現会長だからだよ」
「は?……はあぁぁぁぁぁぁーーー!?」
僕の素性を知った沙苗さんは、先程までの令嬢らしい言葉遣いとはかけ離れた叫びを上げる。
そしてその叫び声が、僕の屋敷内に木霊するのだった───
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