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第19話 総理官邸と皇家への訪問・2

 瀬戸崎家を出発した俊吾達は、リムジンで総理官邸へと向かっていた。

 その車内では、詩織と沙苗が不安げな表情をしながら俊吾に問い掛けている所であった。


「ねぇ俊ちゃん?

 私、総理官邸に行ったことないんだけど……大丈夫なのかな?」


「私も行ったことないので、粗相をしてしまいそうで不安です」


「2人共、そこまで心配しなくても大丈夫だよ。

 最低限の礼儀さえ守っていれば問題ないよ」


「俊ちゃんがそう言うのなら……」


「過度な不安こそが粗相に繋がってしまう、と。

 俊吾はそう言いたいのですね?」


「うん、沙苗の解釈であっているよ。

 2人が不安になるのも、分からなくもないけどね。

 総理官邸は一般人が気軽に足を運べる場所ではないから、ね」


 僕の最後に言った言葉に反応したのか、遥さんが口を開く。


「俊吾様は皇太子様ですから一般人ではないのは当然のことなのですが、詩織様と沙苗様も一般人ではないかと思います。

 政府からしても詩織様と沙苗様を一般人と捉えることはないと思います」


「……要するに私と詩織さんは、政府からすればVIP扱いってことですか?」


「そうなりますね。

 それを言うならば、私の妹でもある桃花も一般人ではなくVIP扱いとなっていますがね」


 遥さんがそう言った瞬間に、桃花が口を開く。


「……お姉ちゃん、何でバラしちゃうの?」


「私と貴女が姉妹だってことをかしら?

 それとも、VIP扱いってことについてかしら?」


「勿論、後者の方だよ!!」


「だって貴女は皇太子様専属護衛なんだから、ね。

 少なくとも常に俊吾様と共に総理官邸や皇家に出入りしている貴女を、政府や皇家が一般人と同列に扱うはずないでしょう?

 それに、詩織様と沙苗様に対して、何時までも隠しておく訳にはいかないからよ。

 だから言ったのよ」


「それはそうだけど……そうだけれどもさぁ!

 ……出来れば自分の口から言いたかったのに!!」


 そう言って拗ねる桃花の頭を撫でながら、僕は遥さんに言う。

 ……桃花の表情がだらしないものになっていくのは何で何だろうと思いながら。


「流石に今のは遥さんが悪いね。

 だから、後でいいから謝っておいてね」


「分かりました。

 口が過ぎたようで申し訳ございませんでした」


 そう言って僕に頭を下げてる遥さん。

 なんだか車内の空気が重くなってしまったなと思ったその時、運転手が僕に声を掛けてくる。

 とても言いずらそうな感じで。


「皇太子様、ご歓談中に失礼致します。

 間もなく総理官邸正面入口前に到着致しますので、降りる準備をお願い致します」


「ああ、知らせてくれてありがとう。


 今聞いた通り、間もなく着くから降りる準備をしよう。

 遥さんと桃花、護衛は頼んだよ……特に詩織と沙苗のことを、ね」


「「畏まりました」」


 運転手からの知らせを聞いた僕らは、到着後に直ぐに降りれるように準備を始める。

 その時に僕は何だか嫌な予感がした為、僕よりも詩織と沙苗を守るよう遥さんと桃花に指示を出す。

 それだけで察した2人は、気を引き締めた表情で返事をする。

 そして僕らの準備が整った頃に、総理官邸に到着するのだった。





 僕らを乗せたリムジンが総理官邸正面入口前に到着した時、入口前の左右には既に政府の重鎮達が並んでおり、その中心には1人の壮年の男性が立っていた。

 リムジンを運転していた女性運転手が後部座席の扉を開けると、先に桃花が降りた後に僕が降りる。

 その後に続くように詩織と沙苗が降りてくるのだが、降りる際は2人の手を取る形で僕がエスコートする。

 最後に遥さんが降りる。

 全員が降りるのを見ていた男性が僕に頭を下げた後に声を掛けてくる。


「ようこそお越しくださいました、皇太子殿下。

 ご無事でのお着きに我ら一同、安心致しました。

 そして、ご壮健そうで何よりで御座います」


 そう笑顔で僕に挨拶してきたこの壮年の男性こそが、第65代内閣総理大臣の石川 十蔵(いしかわ じゅうぞう)である。

 年齢は65歳で大の子供好きであるのだが、僕のお爺様には頭が上がらないらしく、何時も無茶振りに付き合わされる苦労人。

 小さい時からしょっちゅう瀬戸崎家にプライベートで遊びに来ており、色んなことをして僕と遊んでくれた人だ。

 但し、現在でも月に2回の頻度で唐突にやって来るのは勘弁して欲しいところではある……しかも警護も付けないから危機感がなさすぎる。

 皇室の次に重要な立場なのだから、最低限の警護は付けて欲しい……と僕は常々思っていたりする。

 そんな総理に僕は言う。


「突然の訪問にも関わらず、このようなお出迎えをして頂きありがとうございます。

 十蔵殿も壮健そうで安心しました」


「いえいえとんでも御座いません。

 して、そちらの美しいお2人が皇太子殿下と婚約を結びたいと言っていた詩織様と沙苗様で御座いますな?


 っと、これは名乗りもせずに失礼を致しました。

 第65代内閣総理大臣を拝命しております、石川 十蔵と申します。

 以後、お見知り置き下さい」


 そう言って詩織と沙苗の方を見て頭を下げる十蔵。

 それに対し、緊張しながらもドレスを摘んで頭を下げた後に自己紹介を始める詩織と沙苗。

 詩織は何度も十蔵とは顔を合わせているのだが、僕との婚約話が控えている為か、緊張している様子だった。


「さ、桜坂財閥グループ現会長の桜坂 厳正が一人娘の、桜坂 詩織と言います!」


「お、お初にお目にかかります!

 西園寺財閥グループ現会長が一人娘の、西園寺 沙苗と言います!

 い、以後、お見知り置き下さいませ」


 2人の自己紹介に対し、十蔵は笑いながら言う。


「お2人方のお名前はしっかりと覚えさせて頂きましたぞ。

 さて、何時までも皇太子殿下方を立ちっぱなしにさせるわけにはいかぬでしょうから、中へどうぞ。

 会場へとご案内致しますので、私の後に着いてきて下さい」


 そう言って官邸内へと歩き出した十蔵の後に続くように、僕らも歩き出す。

 その際、鋭い視線が僕に向けられているのを感じたが、今は無視することにした。




 十蔵の後に続いて官邸内を歩くこと約10分後、大会議室というプレートが掲げられた扉前で歩みを止めた十蔵が、目の前の両開きの扉を開け、僕らに中に入るよう促す。


「皇太子殿下、こちらが今回の話し合いの会場にございます。

 中へとお進み頂き、好きなお席へお座り下さい。

 直ぐに職員が人数分のお飲み物をお持ちする運びとなっておりますので。

 その際に、主要大臣達やその部下数名も臨席させていただきますので、予めご承知おき下さい」


「分かりました。

 それじゃ皆、座って待とうか」


 十蔵の言う通りに、桃花・詩織・僕・沙苗・遥さんの順番で席に着く僕ら。

 僕らが座ったのを見ていた十蔵は、僕の対面となる席へと座り、大臣達が来るのを待つ。



 席に着いてから数分後、飲み物を運んできた職員以外にも10数名が大会議室内に入室してきて、十蔵の左右の空いている席に座っていく。

 そして、各自の前に飲み物を配り終えた職員が退出したのを確認した十蔵が口を開く。


「飲み物が行き渡ったようですな。

 話し合いを始める前に、皇太子殿下と皇太子殿下付き護衛兼メイドの桃花様を除く皆様にとっては各大臣と初対面でしょうから、各大臣は自己紹介をお願い致します」


 その言葉を受け、各大臣は立ち上がって僕らに頭を下げてから自己紹介を始める。


「皆様、お初にお目にかかります。

 総務大臣の佐渡山 茂造(さどやま しげぞう)と申します。

 以後、お見知り置き下さい」


「お初にお目にかかります。

 環境大臣の山崎 英信(やまざき てるのぶ)と申します。

 以後、お見知り置き下さい」


「皆様、お初にお目にかかります。

 防衛大臣の山崎 彰男(やまざき あきお)と申します。

 隣にいる環境大臣の弟になります。

 以後、お見知り置きを」


「お初にお目にかかります。

 経済産業大臣の山平 光信(やまだいら みつのぶ)と申します。

 以後、お見知り置きを」


「お初にお目にかかります。

 法務大臣の愛川(あいかわ) 盛十郎(せいじゅうろう)と申します。

 皆様、以後お見知り置き下さい」


「皆様、お初にお目にかかります。

 内閣副総理大臣を拝命しております、安達 清美(あだち きよみ)と言います。

 以後、お見知り置き下さいませ」


「お初にお目にかかります。

 内閣官房長官を拝命しております、西条 茉莉(さいじょう まつり)と申します。

 以後、お見知り置き下さい!」


「皆さん、お初にお目にかかりま~す♪

 国家公安委員長を拝命している、安西 幸江(あんざい さちえ)です♪

 25歳だけど永遠の16歳で押し通させていただきます♪

 どうぞお見知り置き下さいね~♪」


 最後に自己紹介をした人物に僕は突っ込みをいれる。


「幸江さん! 今はそんなお巫山戯自己紹介は必要ないよねっ!?

 って、この人はこれが素だったのを忘れてたわ……」


 そう言った僕に、幸江さんが口を開く。


「お久しぶりですね、皇太子殿下。

 私に猫被りは無理だから勘弁して欲しいかな♪

 なんて言ってみちゃったり?」


「……さて十蔵殿、おバカを含む各大臣の自己紹介は終わったようですので、話し合いを始めましょう!」


「……そうですな。

 おバカは放っておいて始めることにしましょう」


 幸江さんを無視して話し合いを始めようとしていた僕と十蔵に対し、幸江さんが食ってかかる。


「殿下っ!? おバカって誰のことを言ってるんですか!?

 私のことじゃないよね!?

 総理も殿下と同じく思っていないよね!?」


「「……自覚無しのバカだったか」」


「……はっ、ハッキリとバカって言われた。

 こんな……か弱い乙女に向かって……」


 そう言ってわざとらしく泣き真似する幸江さんに、僕と十蔵は同じタイミングで口を開く。


「「……何処がか弱い乙女なの??」」


「むっきーーーーーー!!!

 私はバカじゃないのにーーーーーーっ!!!」


 この言葉に全員が笑いを堪えきれなくなり、大会議室内には爆笑する声が響き渡るのであった────








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