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第16話 瀬戸崎家の秘密を明かす時

 渋谷での買い物デート?を終えて瀬戸崎家に戻ってきた僕らなのだが……疲れ果てていた。

 原因は言うまでもなく桃花のせいであり、その桃花は全員からの説教を受けた。

 説教を受けた桃花の現在はというと、リビングのソファーに座る僕の膝に頭を乗せた状態で溶けきっていた。

 桃花……その口から出そうになってる(よだれ)をどうにかしてくれ。


「俊吾様の膝枕~♪ 最高過ぎて寝てしまいそうですぅ~♪」


「完全にお兄様の膝枕で溶けきってますね、桃花さんは。

 瀬戸崎家全員からの説教を受けていた時のシュンっとした様子が皆無ですね」


「でも、可愛らしい表情をしていますよ?」


「沙苗さん、桃花は普段からこんな感じだから。

 こんなだらけきった表情をしながら当主に膝枕させているメイドが、瀬戸崎家メイド護衛隊副総長の役職持ちだと紹介されても、誰も信じないと思う」


「詩織、それは僕も思ってることだから」


 そう言って僕は桃花の頭を撫でながらも言葉を続ける。


「でもね、これでも桃花は厳正な審査と試験を突破した上で日々の研鑽を積んできたからこそ、瀬戸崎家メイド護衛隊副総長という役職にまで昇格したんだよ。

 ……まぁ、桃花はたったの1ヶ月足らずで実力で副総長にまで上り詰めたんだけどね」


 そう桃花のことを話す僕に、沙苗が聞いてくる。


「俊吾、やはり瀬戸崎家の護衛になるのは厳しいのですか?」


「うん、そうだよ。

 履歴書による審査、筆記試験、武術試験、家事試験の4項目からなる審査を突破しないと、メイド護衛隊になることは出来ないよ。

 はっきり言うけれど、履歴書での審査の時点で応募してきた人数の内の99%は不合格となるね。

 履歴書審査で合格しても、筆記試験の採点時に満点でないと落ちる。

 2項目を突破した後に行われる武術試験にて、当主である僕を追い込むことが出来なければ不合格になる。

 3項目を突破した後に行われる最後の試験である家事試験で、当主である僕が指定した金額以内で食材を調達した上で、調達した食材を余すことなく使い、僕が美味しいと思える料理を作ることが出来れば合格、出来なければ不合格になる。

 尚、履歴書審査は瀬戸崎家ではなく政府が行っているから」


 そう答えた僕に対し、沙苗が感想を述べる。


「……とても厳しい審査なのですね。

 俊吾自らが武術試験の試験官を務めるということは、俊吾がそれだけ強いのでしょうね。

 それらを突破した上で、今の地位にいる桃花さんは優秀なのですね」


「うん、桃花はとても優秀だよ。

 だって僕が初めて武術試験で負けたんだから、ね」


「俊吾がどれだけ強いのかは分かりませんが、桃花さんが相当お強い方である……というのは理解出来ました。

 だけど疑問があるのですが、聞いても良いでしょうか?」


 沙苗が何に関して僕に答えて欲しいか……について分かったので、僕は先回りする形で答える。


「沙苗が僕に聞きたいこと、というのは……履歴書審査を何で瀬戸崎家ではなく政府が行っているのか、についてだよね?」


「は、はい……どうしても気になってしまいまして」


 僕は少し思案した後、沙苗に言う。


「既に沙苗は瀬戸崎家の身内だと思っていたから、(いず)れは話さなければならないと思っていた……僕の本当の正体を。

 だけどそれを話す前に……桃花、屋敷内にいる全員を直ぐに招集して」


 そう言って僕は桃花に指示を出す。

 すると、桃花は素早い動きで立ち上がってから僕に聞いてくる。


「……()()()()を沙苗さんに明かすのですね?

 それと、場所は大ホールで宜しいでしょうか?」


「うん、そのつもりだよ。

 場所もそこで問題ないよ」


「畏まりました。

 直ぐに集めて参りますので、先に移動をお願い致します。

 それでは失礼致します」


 僕とのやり取りを終えた後、桃花はリビングから出ていく。

 僕の雰囲気が変化したことを察した朱璃と詩織は、ソファーから立ち上がり、リビングから出ていく。

 朱璃と詩織までもがリビングから出ていったことに驚く沙苗に、僕もソファーから立ち上がりながら声を掛ける。


「さて沙苗、僕らも移動しようか……大ホールにね。

 そこで全てを話すよ」


「わ、分かりましたっ!」


 そう言ってから慌てて立ち上がった沙苗と共に、僕らはリビングを出て大ホールに移動する。



 僕と沙苗が大ホールに着いた時、大ホール内には相良を始めとした使用人達が既に大ホール内に集結していた。

 帰宅時間と被ったのか、大ホール内にはお爺様と兄貴の姿もあった。

 全員が集まっていることを確認した僕は、沙苗を伴って大ホール内の中央に位置する壇上へと向かい、登壇する。

 そして僕は、壇上に設置されたワイヤレスマイクのスイッチを入れて話し出す。


『皆、仕事の途中にも関わらず僕の招集に応じて集まってくれてありがとう!

 さて、今回集まってもらったのは……僕の隣にいる沙苗を我が瀬戸崎家の一員である事を、当主である僕が認めたからだ。

 皆も沙苗のことは既に知っていると思うので、今更の紹介は省かせてもらう。

 って、これを話す為に集まってもらったんじゃないのに僕は何を言っているんだろう……』


 僕の最後のくだりに対し、大ホール内は笑いに包まれる。

 そして笑い声が収まった所で、僕は再び話し始める。


『さて、今回集まってもらった本題に入ろうと思う。

 僕の本当の正体を沙苗に明かそうと思うのだが……反対の者は挙手を!』


 しかし誰も手を挙げなかったので話を続ける。


『反対の者が誰もいないので、僕の本当の正体を沙苗に明かします』


 そう言ってから僕は沙苗の方に向き直ってから口を開く。


『沙苗、僕が今から言うことは決して世間には公表出来ない……いや、時が来るまでは伏せ続けなければならない国家機密に当たることだと肝に銘じて聞いて欲しい。


 僕は瀬戸崎財閥グループの2代目会長であり瀬戸崎家当主、という2つの肩書きの他にもう1つある。

 それが皇族──さらに言えば僕は"皇太子"なんだ』


「……………………」


 僕が皇族で皇太子である事を聞いた沙苗の時が止まる。

 暫くの時間だが石像になっていた沙苗だが、僕が言った意味を理解したようで、見ていて面白いくらいに慌てて片膝をついて(こうべ)()れる沙苗。


「こ、皇太子様とは露知らず、大変失礼致しましたぁぁぁっ!!」


 そんな沙苗に僕は言う。


『あ~………沙苗、頭を上げて立ち上がってくれないかな』


「む、無理無理無理無理です!!

 皇太子様であると知ってしまったので、同じ目線でいることなど、わ、私には到底出来ませんっ!!」


 まぁ、沙苗がこうなってしまうことは予想出来ていたので、僕は沙苗に近寄って無理矢理立たせ、目線を合わせて言う。


「沙苗、どうかこれまで通りに僕に接して欲しい。

 皇太子としての僕のお願い……聞いてくれるよね?」


「ひゃ、ひゃい!!分かりましゅたからっ!!

 私を見続けるのはやめて欲しいです……は、恥ずかしいのでっ!!」


 あ~らら、見事にお顔が真っ赤に……って、僕のせいか。

 頭から湯気まで出ちゃってまぁまぁ……って、それも僕のせいか。

 流石にこれ以上、沙苗を晒し続けるのは良心が痛むから解散しよう。


『あ~……なんだ、その、とりあえずは僕の正体を沙苗に明かす目的は達成出来たってことで。

 集まってくれてありがとう!以上!解散っ!!』


 僕の解散宣言を聞いた使用人達は一斉に大ホールから出ていく……笑いたいのを堪えた表情をしながら。

 後に残ったのは執事長の相良、メイド長の遥さん、お爺様、兄貴、朱璃、詩織、桃花、僕、お顔真っ赤状態の沙苗だけとなったので、僕らは大ホールを後にしてリビングへと移動する。



 大ホールからリビングへと戻ってきた僕らは、それぞれがソファーに座る。

 遥さんだけは人数分の飲み物を用意し、それをソファー前に設置していたテーブルの上に置いた後、兄貴の隣に座る。

 そして紅茶を一口飲んでから僕は口を開く。

 因みに沙苗は強制的に僕の左隣に座らされているよ……これも皇太子である僕に慣れさせる為には必要なこと!という皆の配慮?によるものである。


「さて沙苗、少しは落ち着いたかな?」


「は、はい……」


 返事がまだぎこちないが、こればかりは慣れてもらう他ないかな。

 そう僕が思っていると、相良が沙苗に声を掛ける。


「沙苗様……俊吾様が皇太子様であることは決して他言しないようお願い致します。

 それとですが、これまで通りに俊吾様に接して頂ければと思います。

 ……直ぐには無理でしょうが、少しずつ慣れて頂ければとも思っております」


「は、はい……1日でも早く慣れるよう、善処致します」


 そう言う沙苗に今度は兄貴が声を掛ける。


「沙苗嬢の気持ちも分からなくもない。

 普通に接していた俊吾が実は皇族の一員だった……それも皇太子だからな。

 でもまぁ世間一般に公表してない以上、俊吾は私立城西学園高校に通う1年で瀬戸崎財閥グループ2代目会長としての肩書きしかないんだわ。

 だから気軽に接してやってくれ。

 俊吾もそれを望んでるからな。


 それとだが、俺は俊吾の兄貴ではあるけれど、母親が違うから異母兄弟ってことになる。

 その為、俺は皇族の一員じゃないから安心してくれ。

 勿論、朱璃もな」


「……ということは……っまさか!?」


 兄貴の話を聞いている中で、何かを察した沙苗が言う前に僕が言った。


「そう、沙苗が察した通りに僕の母さん……瀬戸崎 美菜(みな)は皇家の直系だよ。

 そして父さんである健吾(けんご)と結婚して生まれたのが僕になるね」


 僕の言葉を引き継ぐような形でお爺様が話し出す。


「だから俊吾も皇家の直系となる。

 そしてこの瀬戸崎家は……皇家の直系を守る為だけに興された家だ。

 という目的の為だけの家だった筈なのだが、俊吾の母親である美菜が財閥を興したい!という我儘を言い始めおってのぅ……。

 当時の日本政府に美菜の我儘を止める術は持っていなかったのだよ。

 だからつまり……結果から言えば美菜は健吾と結託した上で、日本政府の静止を振り切る形で強引に財閥を興してしまったのだ。

 更にそこに皇族の皆を巻き込んだ形で、だ。

 それらの経緯を経て、今の瀬戸崎財閥と瀬戸崎家に繋がるわけだ。


 そしてもう1つある。

 俊介が敢えて隠したことを儂は言おうと思う。

 俊介が皇族の一員でないのは事実だが、朱璃も俊吾と同じく皇家の直系となる。

 沙苗嬢には更に混乱させてしまい申し訳ない、とは思っておるのだが、当主である俊吾が沙苗嬢も瀬戸崎家の身内だと宣言してしまった以上は……明かすべきだと思った。

 だから明かさせてもらった次第だ。


 儂からは以上だ」


 お爺様の話を聞いていたであろ沙苗の様子が気になった僕は、沙苗の方を見た瞬間に慌て出す。

 だって沙苗は……頭から白い煙を出しながら気絶していたのだから────








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