第11話 城西学園への登校途中にて
城西学園への登校時間が迫っていた為、僕らは急いで朝食を平らげてた後に玄関で靴を履き、自宅を出る。
自宅を出て、最寄り駅である白蘭駅まで続く道を歩いていると、詩織が僕に声を掛けてくる。
「……俊吾君、疲れたから背中に乗っていい?」
それに対し僕は溜息を吐きながら詩織に言った。
「はぁ……詩織、歩き始めてからまだ5分も経ってないんだけど?」
「うん、でも疲れた。 だから背中に乗せて?」
そう言いながら詩織は、僕の返事を聞く前に背中によじ登ってくる。
だから僕は再び溜息を吐きつつ、よじ登ってきた詩織が落ちないように両手を背中に回して支える。
それを、僕の左隣を歩いていた沙苗が僕の右隣を並走する形で歩いていた朱璃に聞く。
「………詩織さんは毎回、こんな感じなのですか?」
沙苗のこの問に朱璃が答える。
「はい……詩織さんは毎回、疲れたと言ってはお兄様の背中によじ登っていますね。
私はこの光景をいつも見ているので、もう見慣れてしまいましたけどね。
更に言ってしまえば、城西学園の名物と化していますね」
朱璃のこの答えに対し、顔を引き攣らせながら沙苗が言った。
「この光景が毎回…………。
私、今初めて知りました……城西学園の名物と化していた事実に、です」
「へっ? 知らなかったんですか!?」
「はい……西園寺家のことで頭がいっぱいでしたから」
「……それなら知らないのも、無理はないですね」
と、沙苗と朱璃のやり取りを他所に、詩織が僕の耳元で言う。
「ねぇ、俊吾君……あの2人、結構打ち解けてない?」
詩織がそう言ってきたので、僕は沙苗と朱璃の方をチラ見してから言う。
「ああ、もうすっかり打ち解け合ってるな」
「俊吾君もやっぱり、そう思ったんだね」
「ああ」
短いやり取りを詩織とした後、僕は再び沙苗と朱璃の様子を見る。
そんな時、何かに気付いた様子の朱璃が僕の前に移動し、白蘭駅に続く道の先を睨み始める。
朱璃の突然の行動に驚いた僕が言った。
「し、朱璃!? 突然に前に出たりなんかして、どうしたんだ?」
その僕の言葉に対し、前を睨み続けながら朱璃が答える。
「……俊吾お兄様、この道の先に……奴がいます。
詩織さんにしつこく言い寄ってくるあの男が……ね」
「っ!?」「えっ………」
朱璃が発したその言葉を聞いた僕は一気に警戒レベルを上げ、朱璃が睨みつける方向を見る。
その際、朱璃が発した言葉を僕の背中に乗った状態で聞いていた詩織は……僕の背中から降りてから僕の背中に隠れるようにしながら、両手を僕の腰に回して抱きついてくる。
僕と朱璃の雰囲気が変化したのと、詩織が震えながら僕の背中に抱きつく様子を見ていた沙苗が声を掛けてくる。
「し、俊吾?それに朱璃さんまでもが白蘭駅の方向を睨みつけてますが、一体どうしたというのですか!?
そして詩織さんの……この尋常じゃない震えについても教えてください!!」
その沙苗からの問に、僕は答える。
「沙苗、これは例えばの話なんだが……詩織に告白した男子生徒がいたとする。
その男子生徒からの告白を、詩織は容赦なく断った。
断った理由は、その男子生徒からは邪な感情を詩織が感じ取ったから。
だからこそ詩織は告白してきた男子生徒を振ったんだが……その男子生徒は諦めるどころか更に詩織に言い寄り始めた。
そしてある時、詩織が1人での下校途中に……その男子生徒に襲われ、危うく犯されそうになったんだ。
だが幸いにもその時は、詩織が襲われた現場の近くに偶然いた僕のお爺様が助けたことにより、詩織は難を逃れる事が出来た。
だけど詩織はその出来事が原因で、男性恐怖症になってしまった。
僕や兄貴、相良やお爺様といった一部の男性を除いてね。
その出来事以降、詩織は常に僕の傍に居るようになったんだ。
元々僕にベッタリ気味だった詩織だけど、その出来事以降……尚更、僕の傍に居続けるようになった。
詩織にトラウマを植え付けた男が近くにいる……沙苗なら耐えられるか?」
「…………無理……です………」
詩織の置かれている状況を僕から聞いた沙苗は、それだけ言うのが精一杯だったようだ。
沙苗が発した言葉の直後、朱璃が叫ぶように言った。
「お兄様、奴が来ますっ!!!」
朱璃が発したその言葉の直後、詩織にトラウマを植え付けた張本人である男子生徒……城西学園高校2年の阿久比 昇が僕らの前に現れるのだった───
この作品をお読みいただき、ありがとうございます!
作者のモチベに繋がりますので
・ 面白かった!
・ 続きを早く読みたい!
・ 応援したい!
という方は『ブックマーク・評価・いいね!』をよろしくお願いします!




