十一話 スキルと称号
まずは種族の始祖炎鳥を鑑定。
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始祖炎鳥
→自然発生した最初の炎鳥。炎の化身と呼ばれるほど炎に親和性があり、その体は炎で傷つくことはほとんどない。だが、元々数が少なく希少だったうえに世界で一番美しい鳥とも言われるほど美しい体をもっており、乱獲された過去があり、現在ではその姿を見ることはできない。
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...まじか~。突っ込みたいところがいくつかあるけど、最後の「現在ではその姿を見ることはできない」ってつまりもともと少ないのにそれをさらに乱獲しまくったせいで今は絶滅しちゃったってことだよね。さすが欲望と残虐の化身と言われた人間だ。俺もそんな人間だったわけだけど。...ん?でも今は俺がいるから絶滅はしていないということになるのかな。となると最後の一匹となるのかなんか中二病心に刺さる言葉だな。
ま、他にも「自然発生した」とか「炎で傷つくことがない」とか突っ込みどころしかないけど、どうしたらいいのだろう。両方とも意味わからんし。自然発生したってことはどこからともなくポンって生まれたってことか?それに炎で傷つくことがないって火が燃えている中に突っ込んでも平気で炎無効ということなのか?とかやばめで地球じゃあり得なさそうなことしか書いてないのだが。
はい、考えても無駄ってことで次に行きまーす。次はスキルの「再生の炎」。
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再生の炎
→触れた炎を吸収することで体中のどんな傷も癒すことができるようになる。
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説明が簡潔な分わかりやすくチートだね。これは状況を整えれば無敵になることすら可能とするのではないだろうか。炎無効化どころの話ではない。この文を読む限りでは回復に使う炎は自前である必要性すらないかもしれない。例えばライターの火でも回復が可能なのだとしたら、MPを使うことなく回復ができてしまうことになる。これがゲームだったら運営に抗議のメールがひっきりなしに届くことになりそうだ。まさしく異世界三大チートにも勝るとも劣らないチートだろう。
初っ端からやばいのが来てしまったし今度は全部一気に見てみよう。
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書庫
→自分の知っていることを忘れることはない。また、書庫にて知識をもとに新たな情報を作成可能。
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言語理解
→様々な言語を理解できる。
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アイテムボックス
→異空間を知る者が使うことができる。平行な世界に接続するためどれだけものを入れても限界に達することはほぼない。
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鑑定
→無機物、有機物にかかわらずそのものの情報を見ることができる。
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炎魔法
→火魔法の上位互換。火魔法を一定レベルまで極めると取得できる。威力が高くなり使用魔力が減少する効果がある。
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書庫ってスキルが本当によくわからないな。ほかは、思った以上に普通というかすごいテンプレだなって感じで特に驚きもない。やっぱりそうか、と思うところの方が多い。一つ言いたいことがあるなら炎魔法の前に火魔法を極めないといけないような文言なんだけど、俺なんで最初から炎魔法を取得してんだってことくらいだ。種族特性なのかもしれないが、それなら特殊スキルの方に種族スキルも含まれていたからそちらに入っていてもいい気がする。使えるならどちらでもいいのだが。
しかし何度読み返しても書庫がよくわからない。最初の文言は単純に完全記憶ということだろうが「新たな情報の作成」というのが意味わからん。まず書庫ってどこだ。書庫にてとか言われてもそれがどこなのかわからなければ説明の意味がないのだが、この文を考えた人は何を考えていたのだろう。書いてるのは絶対人じゃないと思うけど。
これこそマジで放っておくことしかできなさそうだな。ラノベで「書庫」というスキルは知る限りでは出てきたことなかったからなんかすごいチートなのかと実は結構期待していただけに結構落ち込んでしまった。「地球の知識」とかに似ているようなスキルかと思っていたんだけどなぁ。
はあ、落ち込んでいても仕方ないか。次は称号を見てみよう。といってもそのまんまだから説明することもなさそうだけど。
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魔物転生者
→ほかの生物だったものが自我を保ったまま魔物に転生してしまったことで得られる称号。本来ならあり得ないはずのことである。
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異世界人
→異世界の住人が何かしらの形でこちらの世界に移動してしてしまうことで得られる称号。
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ええ...、俺のことあり得ないとか言われてるんだけど...。なんであり得ちゃったのさ、俺も転生するならもっと普通の人間がよかったです。それか継承権はないけどいいところの貴族とか王族とかでも別にいいと思うよ。うん。
あ、でもそうなると継承権争いで殺されちゃったり、家族の仲が冷え切ったりするかもしれないのか。なら別に今の状況が一概に悪いとは言えないか。そっか。確かにここがテンプレな中世っぽいところだったら普通の平民でも日本とはかけ離れた生活になるし、生活するだけで精一杯ってなってしまう可能性の方が高いのか。なら別に魔物でもいいかな。今のところいい感じに生活できそう出しね。
よし。じゃあこれでステータスについてのことも全部終わったと思うし、これからはここで生活できるようにしていけるように家を作ったり周りの環境をもっと調べて行ったりとしていこうと思う。それにやることはそれだけじゃない。何かあっても生きていけるように力と知識をつけないといけないし、ずっとここで生涯を過ごすつもりはない。
最終目標となるのはこの世界を旅して美鈴を探しだして一緒に地球に帰ることだ。特に美鈴のことは急いで見つけ出したい。もしかしたらこの世界に来ていないかもしれないけどその可能性はほとんどない気がする。さすがにあれに巻き込まれていて何事もなく地球に居るというのはないと思う。だが、世界が一つではないということを知ってしまった今、美鈴を見つけるのは砂漠の中から一粒の砂金を見つけることよりもはるかに難しいだろう。この世界にいるとも限らないのだから。だが、幸いにして地球ではありえないような力を手に入れることができたうえに、これからはもっとすごい力を手に入れることができるかもしれないのだ。もしかしたら、いや、絶対見つける。それに美鈴の周りにはクラスメートたちがいるはずだ。ならばクラスメートを見つけることができれば美鈴も見つ確率が高い。クラスメートの人数は俺含めて38人だったはずだから単純計算で36倍も見つけられる確率が跳ね上がるわけである。
ならば絶対に見つけてみせよう。そして、地球へ帰ってみせるのだ。
いるのか知らんが、もし神様を見つけることがあったら絶対ぶん殴って瀕死にさせてやる。