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■劫波異相見聞録
■劫波異相見聞録
永遠のなか、止まることなく流れる今。
流れるものは変わりゆく。
今から今へ、途切れることなく。
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ある時、ひとりの天狗が劫波の性質を変えた。
ある時、心を失った青年が呪いの身体で生かされた。
ある時、永遠を求めた女が新たな命を――。
彼らの行動を、言葉を。
消えたものを、生まれたものを。
過去から続き、未来へ繋がる出来事を。
天狗はひとつひとつ丁寧に帳に記し、筆を置いた。
ゆっくりと伸びをして肩を鳴らせば、父から譲りうけた白髪が揺れ、金の瞳にかかり頬をくすぐる。
天狗が記す帳の題目は、”劫波異相見聞録”。
移りゆく劫波の様相の全てを、観測・記録したものである。