第三十四話『北へ』
「帝国への伝令役として私は帝国に戻る。恐らく陛下はこの西側の大陸を保守する為に拠点を敷くだろう。」
アエネーイス大陸の西側を奪還したのだから当然、防衛拠点を敷く事になる。皇帝は瘴気により滅んだ法国の代わりに西側の大陸である法国領も統治することになるだろう。
「レムス、出来るのならばポーション類の支給要請も頼めるか。」
「任せ給え。陛下も勝利のご報告を受ければ寛大に財物庫の開帳をお許し下さる筈だ。其れでは皆のご武運を願う。」
レムスは帝国へと向け歩きだす。其れを見届けた黒騎士とマールスは騎士団達へと目を向け告げる。
「_________さて、俺達もそろそろと向かうとするか。」
騎士団達は各自頷くと旅支度を開始した。
「ジョン副団長!新米ではありますが騎士アイネイア、お供致します!!」
確かユーノに面倒を見させていた新米騎士だったか。随分と顔つきも変わった事から一皮向けたのだろう。
「あぁ、頼りにしているぞ。」
肩に手を置くとアイネイアはパァと明るくなり一礼をする。
「副団長の期待に添えるよう誠心誠意頑張らせて頂きます!!」
やる気に満ち溢れている騎士で宜しい事だと感心しているとヴェヌスが突然目の前に姿を現した。
「お前が頑張らなくとも当方が副団長殿の背を守る。だから己の命を大切にしろ。死ぬな、其れが上官である当方からの忠告である。」
本当ならばヴェヌスが一パーティーを統べるリーダーの位置に就くはずだったのだが、かなりごネタのでマールスはしょうがなく自分の居るパーティーに入れた事は言うまでもないだろう。
「はい!!」
アイネイアの他にもう一人の騎士もこのパーティーに配属されたのだが、フードを被っているせいで顔が見えない。体格からして性別は女で有ることは確かだ。
「私の事はほっといて。其れと戦闘では役に立つはずだからご心配なく。」
「貴様、副団長になんて態度をとってやがる!」
アイネイアがキレた様子でフードを取ろうとするが。
「私に触れるな!」バチン
手を叩き少し離れた岩の上に腰を下ろすフードの女。
「あの女っ!」わなわな
「アイネイア、構わない。彼女にも彼女なりの知られたくない何かがあるのだらう。」
「ですがっ、副団長にあの様な態度......」
(.......こいつの自分に対する敬愛度は何なのだろうか。)
帝国から今までの間、ユーノによりアイネイアは如何に副団長と言う男が凄いのかを言い聞かせされていたのだ。故にアイネイアは黒騎士に対しかなりの尊敬と憧れを抱いていた。
「_______名前はなんて言うんだ?」
フードの騎士の元へと近づき尋ねる。
「名前か....ユースティ...おほん、レア、うん、レアでいい。」
どう見ても今考えた偽名だと分かる。て言うか今言おうとした名前、何処かで聞いたことがあるような.....
「そうか。レア、改めて此れからの旅の同行宜しく頼むぞ。」
彼女へと手を伸ばすと此方へと顔を向けずに握手だけは仕返してくれた。
「さて、準備は出来ただろう____________北へと向かおう。」
「うぅ、今度こそジョンさんと同じパーティーになりたかったのにぃ。」
ユーノは項垂れながらマールス、ディアーナ、シアリーズの後を追う。
「私達では不満ですか?」
ユーノの独り言を耳にしたディアーナは悪戯っぽく聞くとユーノは首をブンブンと横に振り否定した。
「め、滅相もありません!聖女様と団長のパーティーに入れて下さり感謝はすれど不満などあるはずがありません!」
マールスはユーノの背を叩き告げる。
「そう畏まらなくてもいい。共に旅にでるんだ、もう少し肩の力を抜け............それとジョンにはお前には秘めたる才能があると聞かされている。その才能とやら次の戦場で開花させてもらうぞ。」
「ジョンさんが........僕に期待をしているっ!」
ユーノは心底嬉しそうに剣の柄へと触れた。
「魅せますよ、団長。僕が此処に居るのはジョン副団長のお陰なんです。」
黒騎士と言う男にかなり心酔しているユーノ。
(この方、かなりジョン副団長に入れ込んでいますわね。)
其れを眼を細め観察する様に伺うシアリーズ。
「あの人が俺に期待している限り、僕は何処までも強くなれる。」
マールスはその発言を聞き何かを思いついた様にユーノへと問う。
「____________お前、男色なのか?」




