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第百五十九話『聖女と勇者の因縁』

一体何人もの人間を殺したのでしょう。数え切れない。とうに百は殺している。もしかしたらそれ以上に。ジョンに後で怒られるかも知れない。でも怒ってくれる人がいる。ただそれだけで私は嬉しかった。


_____世界は徐々に暗転していく。


光から闇へ。戦でこそ人は輝く。生を間近で感じられからだ。この世界はとても心地良いのかも知れない。


だけど、少しくらい_____________壊しても良いですよね?







「だ、誰か......たず」ブシュ

「あら、ごめんなさぁい♩」


瘴気の毒にやられ、もがく男性の頭を踏み潰し謝罪の言葉を述べる聖女。


「はぁッ!!」


勇者による横一閃が聖女を襲う。聖女は其れを避けずに受け入れる。


「あぁ♡」


しかし身体が半分と裂けようとも不死身が如く瘴気が身体を再生させていく。


「痛いですねぇ♪」


嬉しそうに修復されていく傷口を摩りユーノへと瘴気の波を解き放つ。


「ラディアンスッ!!」


聖剣から光が生じ、ディアーナの瘴気を完全に遮断する。そして波はマールスの後部に存在する民家らを包み混み破壊を見せた。


「ふふ、そこ♩」


ディアーナは隙を突き鎌をユーノの首部へと持っていく。


「させないよ!!」


ユーノは冷や汗を流しつつも即座に聖剣を用いて鎌を握る右腕を切断した。


「ぐっ、」


ディアーナは苦悶の表情を浮かべ一度、後退することにする。


「再生しているとは言え、流石聖剣。」

(ですが、此れは............)


内側にある瘴気が悲鳴を上げ、今にも溢れでんとディアーナの身体から少量だが、瘴気が流れ出ていた。以前、ルキフェルにより与えられた槍の攻撃と同じ症状だ。


「疑問を感じるようだね。」


失笑をしながらディアーナの元へと歩き出すユーノ。


「ラディアンスがただの光の剣だと思ったかい?」


ユーノは剣を横へと振りディアーナへと向ける。


「否、これは闇を断つ剣。どんな闇だって断ち切れる聖剣。」

「..........」

「分からない?お前の様な深淵の化物だけを断ち切る為の剣だと言っている。そのふざけた不死性は深淵から生じた遺産だ。この剣ならばその核である『瘴気』を直に斬りつけられる。」


ディアーナは乾いた様に笑うといつも以上に闘志のある笑みを見せた。


「知っていますよ、忌々しい神の遺産ですからねぇ。」


自分の鎌を呼び寄せ、ディアーナは憎悪とした目でその鎌を睨みつける。


「_______その台詞は以前にもお前から聞いたよ。」


ユーノは剣を強く握りしめる。そして聖女へと向け歩き出した。互いの距離がほぼゼロ距離になる程近くとディアーナはユーノを鋭く見上げる。そして、二人の武器が再びぶつかる。










「あいつらはどこなんだ、クソ!」


青年は急ぎディアーナ達の元へと向かっているのだが辿り着けない。ディアーナが放出した瘴気により視界が完全に暗転と化しているのだ。オドの力を開放しているおかげでいくらかは周囲の視界は保たれてはいるが、この状態を長時間続ける訳にはいかない。


”前方30mを進み右に曲がりなさい。”


すると脳内へと声が掛かかった。


「ルキフェルか?」


ルキフェルによる通信。青年は足を止めず、言われた方角へと走る。


”右折しましたね。それでは次の角を左折しそのまま真っすぐと進みなさい。”


指示をされた道を走る。その際に置いて死体や破損した住宅地などが数々と目に入った。余りにも悲惨な状況に拳を握りしめる。


(やりすぎだぞ、ディアーナ!)


何千と言う人間がディアーナの瘴気により死んだ。勿論、マールスによる被害もあるだろうが、ディアーナのものと比べれば矮小なものだ。最早、ルキフェルのカバーも間に合わないだろう。


「ジョンっ、短剣を出せ!!」


広場へと足を踏み入れると怒声にも似た叫び声が耳を突く。


「は......い?」シュン


無意識の内に身体が動いていた。そして足元を見ると地面は砕け、跡形もなくなっていた。


(短剣を出してなかったら足が完全になくなっていた...........)


余波だけでこの威力。これ以上、戦闘を市街地で行わせる訳にはいかない。


「無事か。これより吾輩が攻撃の全てを受け流す。」


ブランチェが目の前へと現れ、人間態へと姿を変える。四方から鉄がぶつかる音が聞こえることから戦闘地から近いのだ。


「俺は大丈夫だ。」

「ジョンよ........先に言う。ユーノと言う男は強い。正に人間の極致よ。ディアーナと拮抗するほどの猛者だ。」

「分かってる。アンタもゲームをやっただろ。ユーノは戦う程強くなっていく。だから早く、ディアーナのサポートに回らないと行けないんだ。」


自分が行けば足手まといである事は重々承知だ。しかし、このままディアーナを見殺しにする事は出来ない。


「そうですか。ならば、覚悟をすることです。」


ルキフェルが上空より翼を羽ばたかせ降りてくる。そして大地へと足を付けると同時に周囲一帯に広がる瘴気がルキフェルを起点に霧散した。


「覚悟はもう出来てる。」

「そう、ですか。」


二人はクスリと笑い、ディアーナ達がいるであろう方角へ顔を向ける。

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