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第百六話『拷問』

「_______どうするんだよ、其奴?」


戦闘終了後、住人達が警察を呼び一波乱あったのだがルキフェルによる暗示にて誤魔化す事は出来た。だが、流石に昼間と言うこともあり全ての被害を修復する事は出来なかった。幸い死人が出なかっただけでも幸運と言うべきだろう。


「うふふ♪少ぉしお話をするだけですよぉ♪」


アパートまでディアーナが降霊術師を引きずり連れて来たのだ。


「そのまま其奴を中に入れないでよね、汚いから!」


地面を引きずって来た事もあり埃にまみれている降霊術師の姿にカミーユは一言入れる。


「うふふ♡拷問♡拷問♡」

「私もついていくわよ!」


汚れている服を瘴気で消失させ、見た目だけは清潔にした。そしてディアーナは瘴気でアパート内部に異界を作り、魔術師ヨハンネスを連れて消え去ってしまった。其れについていく様にカミーユの姿も消える。


「なぁルキフェル......彼奴らを見ていてくれないか。降霊術師の命をギリギリの所で留めているのはアンタだろ。自分を殺そうとしたとは言え、苦しめて殺すってのはあんまり好きじゃない。」

「言われなくともそうします。」


ルキフェルも異界へと消えていく。それを見届けた青年は靴を脱ぎリビングへと向かった。すると今朝と同じ体勢で横になるブランチェの姿がそこにはあった。


「ただいま、ブランチェ。どうしたんだ、その姿?」

「お帰り、少年。この姿は.........吾輩にも気分と言うものはある。」

(.........何だ、今の間は)


ブランチェは外出をする際にのみ人間の姿をとる。人間体になる際は大学に行く時のみで基本は狼の姿で過ごしているのだ。


「_____少女は一緒では無いのか?」

「あぁ、彼奴ならディアーナ達と一緒に捉えた奴を拷問しに行ったよ。」

「そうか。」


どうも今日のブランチェは様子が可笑しい気がする。


「吾輩は眠りにつくよ、ジョン。」


何処か安心をした顔をすると狼体へと戻り寝室へと戻っていく。



(______少年に疑心を抱かせてはいかんな。)



寝室のベッドにて横になるブランチェ。


(吾輩と少女の灯火が繋がっている以上、あまり前線には出て欲しくはない_____)


だが、此れを口にすれば少女は今以上に弱くなる。


(_____それに言えば絶対に破る。)


彼女は猪突猛進。前だけにしか進めない。


今日戦った降霊術師はそう警戒する敵ではなかった。カミーユ一人とて苦戦はするだろうが、ギリギリと倒せるレベルだ。それにルキフェルとディアーナも付き添っている為、絶対に死ぬ事はないだろうと言う確信はあった。


(だが、仮に敵がルキフェルやディアーナの様な強大な輩であらば吾輩が前線に立ち守らねばならぬ。)


ブランチェはカミーユの意思を汲み今宵の戦に出陣させた。勿論、万が一のためにも気配を悟られない様に遠目から傍観はしていたがやはり表立っては戦って欲しくはないというのが本音ではある。


(吾輩はただ、少年らと共に在りたい。)


その想いだけが日々募っていく。


(吾輩はこう見えても貪欲なのだ。決して死なせはせぬ。吾輩の目の届く限り誰も死なせはせぬぞ。)


ルキフェルらとは違いブランチェは全員を守りたいと願う。









「はーい♡起きてくださぁい♡」


ヨハンネスの髪を掴み上げ水の入ったバケツに顔を突っ込ませるディアーナ。


「ぶはっ」

「あは♩起きましたぁ♪」


心底嬉しそうに拘束具を取り付けていく。ルキフェルはその姿を見て頭を痛くする。


「そうだ、カミーユさぁん♪一つ一つ爪を剥がすのはどうでしょうかぁ?」


聞いているの既に爪を剥ぎ始めているディアーナ。ヨハンネスは痛みの表情を見せるが決して声を上げない。


「あんた、本当に悪魔ね。」

「ふふ、照れますねぇ//」

「褒めてないわよ!」


_____そして全ての爪を剥がし終えた。


「其れでは本題に入りましょうか。どうせ爪を剥がしてもこの程度の痛みでは何も口にはしないのですから。貴方には沢山と聞きたい事が有ります。答えて頂ければ解放しますよぉ?」


ディアーナはヨハンネスの瞳を真っ直ぐとみる。


「...............殺せ」


だが降霊術師はそう言うだけで質問に答える意思を見せない。


「ディアーナ、やはり私が脳へと直接「ルキフェルさぁん、ダメですよぉ♪せっかくの楽しみをとってしまうのは無粋というもの。」


ディアーナはそう言いながらヨハンネスを電気椅子に模した椅子へと移動させる。


「あんた、流石に其れは.......」


電極を頭へと付けていくディアーナにカミーユはやめる様に言うがディアーナは止めない。


「カミーユさぁん、貴方は理解をするべきなのです。この者は貴方を殺そうとした。そして______」


ディアーナは頰を吊り上げ子供を諭すように告げる。


「_______ジョンを殺そうとしたのです。」


表情は笑って見えるが目が笑っていない。その言葉を聞いたルキフェルも途端に殺気立つ。


「お分りいただけましたかぁ?ただ殺すだけでは物足りないないのですよぉ。」


ディアーナは電流を少しずつと流していく。


「私は正直な話、情報なんて要らないんです。ただ、この愚か者に罪の意識を死ぬまで味わってもらいたいだけなのです。そもそも私達に勝てる存在っていますか?単体ならばともかく、ルキフェルさん、貴方、そしてブランチェさんもいるのですよ?私達に刃向かう者なぞ、正面から叩きつぶしてしまえばいい。私達にはそれが出来る力がある。」


ディアーナは降霊術師の耳へと短剣を当て叩き斬った。


「んんんんんんんんッ!!」


ヨハンネスは声を上げぬよう耐えようとするが電圧も上がり、痛みの叫び声を上げた。


「ジョン副団長との生活を侵害しようとたこの者に私は怒りを抑える事が出来ないのです。あぁ、救済だけでは足りない。痛みを持ってこの者を救いましょう。」


「ディアーナ、ジョンはそのような下劣な行いを嫌います。即座に記憶を読み取り、殺すべきです。確かに貴方の気持ちが理解出来ないと言う訳ではありません。ですが貴方とは違い私は今直ぐにでもこの下賎な者に死の裁きを与えたい。だから急いだ方がいい。余りに長引くようでしたら手が滑ってその者を貴方ごと消してしまいかねない。」

「あぁ♪それは怖い忠告ですねぇ♪」


カミーユはゴクリと唾を飲む。


(この二人の気持ちは確かに分かる.........分かるけど)


カミーユはディアーナ達の歪な執着心に寒気を感じた。青年に対する感情が常軌を逸し過ぎているのだ。


「うぅ......うう〜........うぅ......」


ヨハンネスは強い電流により揺れ始める。


「米国の実験では前頭前野に電流を流すと脳の機能が向上することが証明されたらしいですよ、ふふ。前頭前野は感覚器官の情報を統合し思考を生み出す器官。要約するに本能をコントロールして行動の予測や集中力を生み出すのです。」


ディアーナはボルテージを最大に上げる。


「そう、人間を人間たらしめる部分なのです。其れを過剰に摂取すれば貴方の腐った思考が改善されるのではないでしょうか、ふふ。」


カミーユは冷や汗を流しながらも狂気の現場を離れられずにいた。そもそも脳に過剰な電流を流せば人は簡単に死んでしまう。たとえ助かったとしても後遺症が思考、身体へと影響を与える事は誰だって分かる。


「さて_______実験の真嘘を確かめましょうか♩」


ディアーナさんはヤヴァイ思考をしております。

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