第百三話『ストレンジ/幻影の魔術師』
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原作『Strange~幻影の魔術師~』
有名同人サークルより生み出されたダークファンタジー。独特な世界観と深い魔術世界の風景を見せる超人気作。アニメ化は二期までしており原作は既に完結している模様。
「ヨハンネス・トリテミウス..........降霊術師.......っと。」
青年はベッドへと横たわり携帯へと目を通す。
(予想した通り、彼奴も創作から生み出されたキャラクターか。一応実在した人物もいるけれど、この世界に召喚されたのはこの原作からだろう。)
検索から出された原作の内容へと目を通していく。
(彼奴自身は作品の主人公でもラスボスって訳でもない............ただ、ヨハンネス・トリテミウスは主人公の覚醒を促す要因を作った人物だった。)
「何故私が非人道的な行いをするか、分かるかね?」
ヨハンネスは主人公【ベルガラス】の首を掴み上げ問う。既にベルガラスは満身創痍であり腕を上げる力すらも残っていなかった。
「分からない.......だけど.........其れが間違っていることは確か、なんだ。」
ベルガラスの目はまだ死んでいなかった。
(此処で俺が倒れるわけには.........行かないんだ!!)
ベルガラスは残る力を一点に集中させ魔力を注ぎ込む。
「うおおおおおおおおおおおお!!!!」
額の一点を目の前の魔術師へと振り落とす。
「ぐっ!?」
鋭い頭突きを喰らい仮面の一部が砕ける。露わになったヨハンネスの瞳は怒りに満ちていた。
(仲間を二人は殺し、貴様自身も無力化したなのに何故諦めないッ!!)
ヨハンネスは即座にベルガラスの背後へと移動し杖で胸を突き刺そうとする。だがベルガラスは其れを見切ったかの様に腕を掴み呪詛を掛けていく。
「くッ!」
(離れなければっ!!)
一度距離を取ろうと降霊術を行使しようとするが_______発動しない。
「貴様、離せ!!」
(身体が、動かん!)
動けない身体をギチギチと揺らし抵抗をする。
「此処で死ぬわけには行かないんだ............」
ベルガラスがヨハンネスの方へと顔を上げる。
俺はイルズィオーンになるッ!!」
ベルガラスの片目が白銀に輝く。
「特定領域内での魔術阻害をさせる魔眼..........貴様、『遺産』計画の生き残りか!!」
ヨハンネスは冷や汗を流し、ベルガラスを睨みつける。ベルガラスは満身創痍の身体をひきづりステンドガラスを割り、その破片を握るとゆっくりとヨハンネスへと近づいて行く。
「あんたは殺さなきゃ行けない.........仲間達の仇は俺が討ッ!!」
ヨハンネスは動けぬ身体を恨めしく思う。だが此れもまた運命かと天を仰ぎベルガラスが自身の首を搔き切るのを受け入れるのだった。
(私は..........娘を)
息が途切れる寸前、ヨハンネスは娘の幻影を見た。彼女は笑い、頑張ったねと言ってくれた。ベルガラスが最期に見たヨハンネスの表情はどこか晴れたものだったと言う。
「序盤の敵キャラなのか。主人公の能力覚醒で倒されたけども........」
青年は動画を見ながらヨハンネスの結末を見る。何処にでもいる普通の敵キャラ、そんな印象だった。暗い過去があるとはいえ、主人公の仲間を殺しているのだからやられて当然な結末を送っている。だが、設定紹介を読む事でその印象を変えることになる。
『能力』降霊術ー霊的な存在を呼び寄せる術。ネクロマンサー。
『技』1.自己召喚ー降霊術を応用とした転移術式。視認できる場所にのみ自らを召喚出来る。インターバルは最低でも3秒必要。
2.霊威憑依ー己の身に強力な霊、悪魔を憑依させる降霊術。此れの行使により傷は自己再生され、更なる力を有する。だがデメリットとして常に憑依する者が身体の支配を奪い取ろうと蝕む。
3.悪魔召喚ー26の軍団を指揮する偉大な伯爵フルフルと契約を結んでいる。伝承ではその姿は炎の尾を持つ雄鹿と伝えられているが、フルフルの真なる姿は天使である。戦闘のおり見せた異形の手はこの悪魔の物だろう。
{フルフル/能力}ーフルフルの有する最大の能力としては天候操作があげられる。フルフルは雷と暴雨などの悪天候を容易く呼び出せ、召喚者もまたこの能力の恩恵を受けられるという。また、フルフルは男女の間をどのようにでも進展させる能力も有している。
『設定/物語』
何処の組織にも属していないフリーランスの降霊魔術師。過去に王立魔術学院の講師をしていた過去を持つ。妻子持ちで魔術の腕も一流であった。常に笑顔を絶やさず生徒達とも仲が良かったと言う。だが、妻子の死とともに研究に打ち込む様になっていく。妻子の死因は『幻影』と言う称号を目指す魔術師達による大規模な戦争の被害だった。ヨハンネスは降霊術を用いて妻子を蘇らせると言う野望があった。だが研究は行き詰まり、悪魔召喚へと手を出してしまう。禁忌の降霊術、失敗をすれば即死へとも繋がる大禁呪。だがヨハンネスは自らの寿命の半分を犠牲に悪魔との契約を成功させる。そして、悪魔へ死者の蘇生を要求すると悪魔は答えた。______百の血が必要だと。ヨハンネスはその言葉に従い行動を開始する。主人公と対峙した折には既に九十と言う魔術師達を葬っており、妻子を蘇らせるまで後一歩だった。だが主人公ベルガラスの仲間を二人葬った事で報復を受け死亡。恐らくラスボスよりも強い能力を有している唯一の敵キャラ。主人公以外では上記の能力の通り、殺しきる事は難しいだろう。
「..........」
(此奴、こんなにチートスペックだったのか。)
ヨハンネスの能力に驚愕しつつも紙に要点をまとめ書き上げていく。
「_____何をしているのですか、ジョン。安静にしていなさいと先ほど言ったでしょう。」
ルキフェルが大人しく寝ていない自分に気づき、此方へと注意に来た。
「ああ、今日あった奴の情報を見つけたからノートにメモしていたんだ。明日の朝、ルキフェル達に見せようと思ってな。」
既に時刻は深夜二時へと針が差している。
「その様な物、用意せずとも私の力があれば敵を容易く打ち破れるでしょう。ですが、貴方が労力を費やし書き写した物。私が”初めて”を読む事にしましょう。」
初めてを強調して言うルキフェルに思わず笑みが出る。するとディアーナが唐突と姿を現しノートを青年の手から取る。
「ジョン副団長、何も『私』の為に敵の情報を集めなくても私の力で簡単に殲滅できますよ。ですが、せっかく調べて頂いたので、私が管理し『最初に』情報を整理しましょう♪」
「ディアーナぁ!!」プルプル
ルキフェルが激昂した様子でディアーナの手からノートを奪い取ろうとする。そんな二人の様子を眺めていたらカミーユが戻って来た。
「はぁー疲れたわぁ!賢者様、ありがとう!この剣、有り難く頂くわね!」
”上げるとは言ってなのだが。はぁ、その剣、壊すでないぞ。世界に二つと無い宝剣だ。”
ブランチェもカミーユに続き部屋へと戻って来た。
「もう完全に感を取り戻したわよ、ジョン!今度は確実に仕留めて見せるわ!」
親指を突き出し自信満々に言うカミーユ。青年も釣られ親指を上げる。ちなみにだが、ブランチェは苦笑していた。
「カミーユ達も俺が書いたメモに目を通しておいてくれよ。彼奴の能力をまとめて置いといたから。」
二人は首を縦に振りディアーナ達の元へと向かう。
「と、その前にブランチェは俺に少し付き合ってくれ。」
青年はブランチェを抱き上げ自身の膝の上に乗せた。そしてわしゃわしゃとその毛並みを撫でる。
”辞めぬか少年、くすぐったいではないか!吾輩は愛玩動物では無いぞ!”
口では止めろと言うが満更では無いと言った表情を見せるブランチェ。愛い奴め。
「此処が気持ちいいんだろぉ?」
首元をさする様に撫でるとブランチェは目を細め気持ちよさそうにした。
”うぅ........快楽に負けよう。だが、やられてばかりでは気に喰わぬな。”
するとブランチェが突如として女性体に変化をしたのだ。
「なっ!?」
青年の手はブランチェの豊満な胸へと当たっており、すぐ様手を離そうとする。だが、ブランチェはその手を抑え自分の胸へと持っていく。
「触りたかったのだろう?ならばとくと吾輩の身体を愉しむが良い!」
ニヤニヤとした表情で青年の身体へと自分を押し付けるブランチェ。謀ったな!柔らかいけどもッ!!
「「「何をしているんですかぁ!!」」」
ルキフェル達三人が自分達の行動に気付きすぐ様引き剥がされる。其れから暫くルキフェルの説教を受け、最終的には自分以外とはあの様な事はするなと注意された。
「うふふ_____其れはぁ不公平と言うものですよぉ?」
「そうよそうよ!なんで私の夫に触るのにアンタの許可がいるっていうのよ!」
「カミーユ、貴方の夫でもありませぇんけどねぇ?『私』のジョン副団長でぇす。」
「いい加減にしなさい。ジョンは私の契約者であり共存者です。控えなさい。」
三者三様に意見が食い違い、論争は次の朝まで続いたと言う。