俺は大賢者だから、勝ち組だから、合コンなんかにビビってないから
魔王とは古くから人々に恐れられてきた100年に一度降りかかる災厄である。人々は魔王を恐れ、魔王に対抗する存在として勇者と呼ばれる存在を選定してきた。
魔王の討伐に成功した勇者は称賛の対象となるが、勇者になった者はそのほとんどが魔王に辿り着くことすら出来ず道半ばで死ぬ。
専門的な戦闘訓練を受ける訳でもない少年が魔王なんてものに駆り出されるのだから当然だろう。
しかし、勇者に選定された者の家にはそこそこの金銭が支給される為、金に困った人間にとって我が子が勇者に選定されることは不幸なことではなかったらしい。
時は移り現代では魔王は最早脅威では無くなっていた。
現代のライフスタイルの変化は早い、100年に一度の災厄についていちいち考えてられないのである。
重要なのは目先の利益だ。世界の端っこで起きている悲劇にかかずらわっている暇は現代人には無い。世界のどこかで起きている不幸よりも目の前の生活の方が余程重要なのである。
魔王等を恐れているのは情弱な連中か現実世界で浮かばれない連中のみだ。
現代で魔王討伐に抜擢されるのも失うものがない無敵の人ニート達である。
その仲間となる連中もれっきとしたバックグラウンドも無く、まともに雇用されて無い連中ばかりである。
魔王を討伐すれば一山当てられるという幻想に囚われ俺はいずれ魔王を討伐して名を挙げるんだと職業安定所に屯している。
毎晩のように酒場で愚痴ばかり言っているような救いようの無い連中である。
俺はそんな連中とは違う。俺は幼き頃から知識を詰め込み研鑽を積んできた。そして難関職種である大賢者にストレートで合格しているハイスペだ。
今日この合コンでもモテモテのはずだ。
合コンは初めてだけどイケるはずだ。俺はハイスペ、膝がプルプルしているがこれは武者震い、大賢者になる時の面接や学会での発表の際も同じようにプルプルしてたけどそれも武者震いだ。