表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/45

初日の朝 1

 今日はふたりの初仕事の日だ。


 亜衣が服装を何にするかで悩んでいたら、母から声をかけられた。


「職場体験なんだから、制服で行きなさい」


 母の言うことが全面的に正しい。亜衣は仕方なしに「はーい」と返事をした。


 亜衣は制服に着替えると、スキップしそうな勢いで家を出た。お菊とは市役所の前で8時半に待ち合わせをしている。よくよく考えたら服装の相談もしておけば良かった。


 亜衣が待ち合わせ場所に到着すると、そこには既にお菊の姿があった。


「ごめん、待った?」


「ううん。私も今来たとこ」


 お決まりのやりとりもシッカリとこなしておく。


「あ!制服」


 亜衣はお菊の姿を見て、「ホッ」と一安心して微笑んだ。


「多分そうだろうな、と思って」


 お菊は胸を反らして得意げに笑う。


 ふたりの制服。

 白い半袖ブラウスに襟元の赤いリボン

 水色チェックのベストに水色チェックのスカート


 亜衣は膝が見えるくらいのスカート丈

 お菊は膝が隠れるくらいのスカート丈


「じゃ、入ろ!」


「うん」


 亜衣とお菊はお互い顔を見合わせると、にっこり笑って頷いた。


 ~~~


 支援課の部屋に入ると、入り口近くで佐藤が待っていた。


「おはよう。9時からなのに、ふたりとも早いね」


「なんだか待ちきれなくて」


 亜衣は頭を掻きながら、照れ臭そうに笑う。


「今日は、まだ皆んないてるから紹介しよう」


 佐藤が声をかけると、男性2人と女性1人が集まってきた。


「水戸さんはもう知ってるね」


「ミトです。よろしくお願いします」


 水戸は一歩前に出ると、軽くお辞儀をした。


「次は坂下くん」


「坂下です。ふたりともよろしく!」


 坂下が「ニカッ」と笑って右手を挙げた。


 体操のお兄さん風の爽やかな青年だ。佐藤より少し年下に見える。短く切り揃えられた黒髪には、清潔感が漂っていた。


「最後に浅野さん」


「浅野です。よろしく」


 浅野が、まるでお手本のようなお辞儀をする。


 かなりの美人だ。物静かで落ち着いた雰囲気の女性である。年齢は20代後半あたりか。派手にならない程度の茶髪を肩口まで伸ばし、白いバレッタでひとつに束ねている。長いまつ毛の切れ長の目から、大人の色気が溢れんばかりに漂っていた。


「こちらは、亜衣くんとお菊さん」


 次に佐藤は、新人ふたりを紹介する。


上尾亜衣うえおあいです」


植岡菊うえおかきくです」


 ふたりは顔を見合わせて同時に一歩前に出ると、大きな声で揃えて言った。


「よろしくお願いします!」


 ~~~


 佐藤が皆を解散させると、坂下と浅野は部屋の奥にあるドアから外に出ていき、水戸は自分の席に戻っていった。佐藤の話によると、坂下と浅野はアチラの世界に向かったらしい。


「君たちにはもう少し、教えることがあるんだ」


 佐藤はふたりを来客用スペースに座らせる。


「まずはこの異世界支援事業に欠かせないのが、精霊AIのセーレーの存在だ」


「精霊AIのセーレー?」


 亜衣とお菊はポカンとした。


 精霊AIの「セーレー」

 精霊AIとは普通のAIとは違い、異世界の精霊族の協力のもと、精霊魔法の論理により構築されたAIである。ご都合主義のスーパーAIと認識していただいて結構である。


「向こうの世界に行くための時空間転位やアバターの管理、他にも様々なことを担ってもらっている」


 佐藤はふたりの顔を交互に見る。


「向こうの世界でも、異世界の存在は一般常識としては認知されていない。現地の協力員も雇ってはいるが、何か困った事があればセーレーに頼ることが多くなるだろう」


「分かりました!」


 佐藤の言葉を聞き、ふたりは力強く頷いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ