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業務内容

「当然そういう話になるよね」


 佐藤は嬉しそうに頷く。


 その様子にお菊は小さな違和感を覚えた。


(もしかして…試された?)


 お菊はジロリと佐藤を睨む。しかし佐藤はお菊の視線など意に介さず話を続けた。


「まず大前提に、生命の危険はない!」


 佐藤はキッパリと断言した。


「魔力のない我々では、水戸さんのように肉体ごとあちらの世界に渡ることが出来ないんだ」


「え!?…ではどうやって?」


 お菊は口元に手を当て、不思議そうに首を傾げる。


「様々な試行錯誤の結果なんだけどね」


 佐藤は少し勿体ぶった。


「アバターと呼ばれる生体分身を現地で作成し、そこに自分の意識体を送り込むという訳だ!!」


「アバター!」


 亜衣がキラキラと瞳を輝かせた。


「もしかして、自由に作れるの?」


「容姿に関してはそうだが、体格や性別は変えない方がいい」


「なんで?」


「実験の結果で、最大限のパフォーマンスが発揮出来ないと結論が出ているからだ」


「でも、見た目は変えていいんだよね?」


「ああ。だが、変えた容姿が特別な機能を発揮することはないよ。あくまで見た目だけ」


「充分だよー!」


 亜衣は陥落した。例えこの後どんなハードな内容が出てきたとしても、亜衣はきっとこの仕事を受けるだろう。


(亜衣が受けるなら私も受けてもいい。だけど仕事の内容だけは、しっかりと見極めなければ)


 お菊の心に、何か使命感のようなモノが生まれた。


 視線に気付いたお菊が目線を上げると、いつのまにか佐藤が自分のことをジッと見ていた。それから佐藤が「ニコッ」と笑う。お菊は何だか心を見透かされたような気分になった。


「さて、本題だ」


 佐藤は亜衣とお菊を交互に見る。


「予想がついてるだろうけど、君たちに依頼する最終目標は魔王の撃破だ」


 二人は驚かない。ある意味それ以外なら驚いた。


「ところで…向こうでもし死んでしまったら、どうなるんですか?」


 お菊はついに最大の心配事を質問した。


「特に何もない。ただ単に意識体がこちらに戻ってくるだけ。人体への影響も特にない」


「ノーリスク?本当に?」


 予想外の返答に、お菊の目がまん丸になった。


「我々だけの視点で見ればね」


 佐藤が少し、含んだ言い方をする。


「だけどアバターはそうはいかない。あのアバターの凄いところは使えば使うほど強くなるところだ」


 佐藤の物言いは静かだが、少しずつ口調が強くなり始めた。


「しかし失ったアバターをそのまま複製することが出来ないんだ。やり直すときは初期のアバターから作り直すことになる」


「やり直したら…ダメなの?」


 お菊は佐藤の顔色を伺いながら、恐る恐る尋ねた。


「時間がかかれば犠牲者が増える。場合によっては世界が滅んでしまうかもしれない」


 そこまで言って佐藤は優しく微笑んだ。そして蒼い顔で俯く、ふたりの少女の頭を優しく撫でる。


「大丈夫、やり直しても良いんだ。ただ…死なないからといって、安易な気持ちでやってほしくないだけなんだ」

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