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ロングレンジフェス 8

 アイがメイン会場に戻ってくると、ソアラが待ち構えていた。そして、楽しそうに微笑む。


「どうやら生き残ったようね。魔法士でもないのに大したものだわ。どんな手品を使ったのかしら?」


「言われてみれば、ちょっとセコイ手を使ったかもね」


 セーレーを数えれば、コッチは二人組ということになるかもしれない。しかし、この不利な状況を覆すには、セーレーの援助は必要不可欠である。そこは目を瞑ることにした。


「余裕を見せていられるのも今のうちですわよ。それを次で証明して差し上げます」


 ソアラはフンと鼻を鳴らすと、踵を返して去っていった。


 入れ替わるように、おキクとフランがアイの元にやって来た。


「はい、差し入れ」


 おキクはフランクフルト(?)をアイに渡した。


「これ、どうしたの?」


「フランの奢り。結構いけるよ」


 どうやらフランとおキクは実食済のようである。


「助かるよ。山道走るの結構ハードでさ」


 アイはペロリと平らげた。


「フランのお陰で元気でたよ。あとは私に任せて」


「うん。任せる」


 3人は顔を見合わせると、笑顔で拳をコツンと突き合わせた。


 ~~~


 決勝が始まり、参加者は山の中に転送された。


 相手は予選を勝ち抜いた者たちである。アイは激戦を予想し、気合いを入れ直した。


「多数の冒険者が次々と退場していきます」


「…え?」


「もう半数近くが退場させられました」


「どうなってるの?」


 予想外の展開にアイは呆然とする。


「索敵魔法に長けた魔法士がいるようです。相手に気付かれることなく、一方的に倒しています」


 前半組の予選がすぐに終わった理由が、アイにもやっと理解出来た。


「アイ、左方向へ移動してください。退場者の分布から判断するに、相手は右方向から迫っています」


 アイは直ぐさま左方向へ走った。念のため後方の確認も忘れない。


「攻撃きます」


 セーレーの突然の警告に、アイは咄嗟にヘッドスライディングのように飛び込んだ。


 直後、さっきまでアイがいた場所の地面に魔法陣が浮かび上がり、そこから火柱が噴き上がる。


「アイ、謝罪します。どうやら相手の索敵能力を見誤りました」


「…え?」


 セーレーの謝罪なんて初めて聞いた。


「今の攻撃で、私たち以外は全滅です。そのうえ相手の…」


「発動した魔法を躱すなんて、信じられないことをするわね」


 聞き覚えのある声がセーレーの言葉を遮った。アイはうつ伏せの体勢のまま、声のした方向に顔だけ向ける。


「そのうえ相手の目前に誘き出されました」


 セーレーは遮られた言葉を、もう一度続けた。


 そこにはソアラが、仁王立ちで待ち構えていた。


 ~~~


 山の麓のメイン会場は、現在大騒ぎになっていた。


 ここヤータ市に、魔物の大規模襲撃の予報が入ってきたのだ。しかも…本日夕刻のことだと言う。ほとんど時間は残されていない。


「予測では、風切鳥と魔操鎧だ。トリモチは全ての在庫を用意しろ!」


 来賓席でノンビリとお祭りを楽しんでいたヤータ市長は、突然目が回るほど忙しくなった。


「状況は最悪だが、援軍が来るまで何とか耐えるしかない」


 市長はギリっと歯ぎしりをする。


「大会は中止だ!山に何人残ってる?」


「確認します!」


 スタッフが慌てて走っていった。


 たまたま近くに陣取っていたおキクとフランにも緊張が走る。


「ミーコ、魔操鎧って?」


「所謂、生きる鎧(リビングアーマー)のことです。魔力のコアにより生命を吹き込まれた存在です」


 ミーコはひょいとフランの頭に飛び乗ると、ちょこんと座りこんだ。おキクはミーコに視線を向ける。


「どうやって倒すの?」


「魔力核の破壊。ただし、魔力の塊であるため魔法での破壊は困難です。硬い鎧に覆われていますが、物理攻撃での破壊を推奨します」


 その時、先程のスタッフが戻ってきた。


「たった今、多数の帰還者が出たので、残りは2名です!」


「帰還者の中にアイはいません」


 ミーコがコソッと報告する。


「え?」


 おキクとフランが同時に山に目を向けた。


「すぐに呼び戻せ!」


 市長が急いでスタッフに命令する。


「万一既に魔物が山に侵入していた場合、一緒に呼びこんでしまいますが…?」


「なら、誰か急いで知らせに行くんだ!」


「私たちが行きます!」


 言うが早いか、おキクとフランは走り出していた。

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