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ロングレンジフェス 3

「それではおふたりの、お名前、ご職業、装備武器を教えてください」


 エリサがアイとおキクに声をかけた。


「私は…」


 アイが名乗り出ようとした瞬間に、フランが右手で制止をかける。


(アイたちの装備はこの世界では異質すぎるの。ここは任せてください。それと武器の確認もあると思うから、そこの物陰でコッソリ用意しておいて)


 フランが小声で素早く説明した。アイとおキクは黙って頷く。


「お待たせして、すみません」


 フランはエリサにペコリと頭を下げた。


「大丈夫ですよ」


 エリサはにっこり笑って微笑み返す。


「それでは、まずはアイから」


 アイの準備が整ったのを確認してから、フランがアイを呼び寄せた。


「彼女はアイ。職業は射手。武器は洋弓銃クロスボウです」


「分かりました。それでは確認のため、武器の提示をお願いします」


「はい!」


 アイが勢いよく、エリサに短銃を差し向けた。


「…え?小さいですね。こんな小さなクロスボウは初めてみました」


 アイの手にしている短銃を目にし、エリサが驚いた声を上げた。


「弦は付いていないのですか?」


 さすがにスルドイ。エリサの疑問にフランは内心舌打ちする。


「今はメンテナンス中なんです」


「なるほど、武器のお手入れは重要ですからね」


 フランの説明にエリサが笑顔で頷いた。フランはホッと胸を撫で下ろす。


「次はおキク。職業は剣士。武器は両手剣グレートソードです」


 おキクはフランに呼ばれると同時に、両手剣をグワッと肩に担ぎ上げた。


「わあ!今度は大きいですね」


 エリサは楽しそうに笑った。それから何となく疑問に思う。


(……これ程大きな剣、今までどこに持ってたのかしら?)


 しかし特に重要視もしていなかったので、それ以上は深く追求しなかった。それから直ぐに次のステップへと話を進める。


「それでは次に、おふたりの今までの魔物の討伐状況を教えてください。おおよそで構いません」


 その質問を受けて、フランはおキクの顔を真っ直ぐに見た。これは正直に…ということなのだろう。おキクは黙って頷いた。


「灰色狼5体と風切鳥1体です」


「…風切鳥?」


 エリサは不意に、先日のフランとの会話を思い出した。しかし直ぐさま思いなおす。


 ふたりの武器は両手剣に洋弓銃である。幾ら何でもそれはない。


「この討伐数ですと、階級はC級からのスタートになります」


「C級って?」


 アイが興味深そうに、瞳をキラキラと輝かせる。


「冒険者には活躍度に応じて階級が設けられておりまして、階級が上がる程に魔物1体に対する報奨金が高額になっていきます。階級はC~Sまであり、残念ながらC級は一番下の級になります」


 エリサの説明にアイは小首を傾げ、隣に立つおキクの顔を見た。


「つまり?」


「つまり…同じ魔物1体でも、階級が高い人の方がたくさんお金が貰えるの」


「えー?それじゃ階級高くないと損じゃん!」


「そうやって競争心を煽っているんでしょうね」


 おキクの答えにエリサは苦笑いする。彼女の答えはほぼ正しい。


「それでは最後に登録証を作成します。おふたりとも、こちらにどうぞ」


 呼ばれてアイとおキクはエリサの前に立った。


 エリサは順番に、アイとおキクの顔にカメラのような物を向けながら何かの操作をした。


 しばらく待つと、運転免許証のような、顔写真付きの身分証明書が発行された。


「こちらが登録証になります。記憶魔法により、討伐数と報奨金が記憶されていきます。報奨金は各地の換金窓口で現金に換えることができます。失くしたら大変ですので注意してください」


 エリサから登録証を受け取り、アイとおキクは「はい!」と元気よく応えた。


「3人で、パーティ登録を行いますか?」


 エリサが三人の顔を順番に見回す。


「パーティ登録を行うと、討伐数と報奨金が全員で均等に自動配分されます。どうされますか?」


「もちろん、やるよ!」


 アイがいの一番で即答した。


 おキクも当然とばかりに大きく頷く。


「本当に…いいの?」


 フランが恐る恐る質問した。自分はおそらく討伐数を稼げない。足を引っ張るのは確実である。


 実は実力のある冒険者は、あまりパーティを組んではいない。稼ぎの悪い者と組むと、討伐数と報奨金が減ってしまうからだ。


 戦地でともに戦うことは多くあるが、その内容は…個々の冒険者の集まりなのである。


 補助系の冒険者は、いかに自分が有用かをアピールすることが重要で…且つ難しいのだ。


「…え?もしかして、フランは嫌だった?」


 アイが驚いたような声を出した。


「い…嫌じゃない。全然嫌じゃない!」


 フランは慌てて、何度も首を横に振った。


「じゃ、決まり」


「分かりました。ではパーティ登録を行いますね」


 その結論に満足したように、エリサが優しい笑顔で頷いた。

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