表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
27/45

初日終了 1

 とうとう4日目を迎えた。


 いつもの自主練にフランも参加し、今や3人で訓練に励んでいる。


 そんな中、アイとおキクにセーレーから連絡が入った。


「まもなく4時間になります。帰還の準備を始めてください」


「……え?」


 一瞬、何のことだか分からなかったが、アイとおキクは思い出したように「あ!」と声を出した。


「そうか…帰るのか」


 アイが戸惑いながら呟く。それからとても重大なことに気が付いた。


「あーしまった、メッチャやばいっ!」


「フランのことね…確かにどうしよう」


 おキクも同時に事の重大さに気付く。


「どうかしましたか?」


 そんなふたりの様子に、フランが困惑したように小首を傾げた。


「フラン…よく聞いてほしいのだけど」


 何となく、おキクが説明をすることになった。


「私たち、一度自分の世界に帰るの」


「……そうですか」


 別に信じてなかった訳ではないのだが、いざとなると理解が追いつかない。


「私たちの世界で、明日になったらまた戻って来るのだけど…」


「あ、それくらいなら、全然大丈夫ですよ」


 フランは何でもないように笑った。


「違うの、よく聞いて」


 おキクは真剣な眼差しでフランを見る。


「コッチの世界では、たぶん20日後くらいになると思う」


「……え?20日?」


 フランはキョトンとした顔で、意味も分からずただ呆然と繰り返した。


 その20日は結局は無かったことになるのだが、フランが1人で20日を過ごす必要があるのは確かな訳で……


 おキクはゆっくりと丁寧にフランに説明した。


「…分かりました。20日間我慢すれば、今この直後におふたりは戻ってきてくれるのでしょう?だったら全然大丈夫ですよ」


 フランが少し寂しそうな笑顔で頷く。彼女のそんな姿を見て、アイは堪らずセーレーに懇願した。


「セーレー、何とかならないの?」


「フランには時空間転位の資質がありますので、彼女の了承が得られれば、日本に連れて帰ることが可能です」


「……は?」


 アイとおキクの両目が点になる。


「そ…それを早く言ってよー!」


 アイはおつゆを撒き散らしながら大声で叫んだ。


「フラン!」


 それからアイは両手でフランの両手を握りしめる。


「私たちの世界に、一緒に来ない?」


「……え?」


 フランは一瞬、ポカンと間の抜けた顔をした。


「そ…そんなことが可能なんですか!?」


「うん!誰でも出来る訳じゃないけど、フランにはその才能があるんだって」


「い、行きたいです!アイとおキクの世界を、私もこの目で見てみたい!」


「じゃ、決まり!」


 アイがニカッと、満面の笑みを見せた。


「それではこの場所を地点登録して、カタン出張所に転移します」


「待って!」


 アイが焦ったようにセーレーを止める。


「フランも一緒に行けるの?」


「アイかおキクに接触していれば、付属品として範囲指定が出来ます」


 言い方…おキクは思わず苦笑いした。


「フラン」


「はい」


 アイの伸ばした手を、フランがしっかりと握り締める。


「セーレー、お願い」


「了解しました。転移を開始します」


 ~~~


 気が付くと、そこはカタン出張所内の宿泊部屋であった。


「よお、お前ら、元気にしてたか……って、ちょっと待てぇーーっ!」


 先に部屋に着いていたアサノが、現れたアイとおキクの姿を見て驚嘆の声をあげた。


「うえぇぇえー?」


 サカシタの方も、飛び出んばかりに両目を剥いて驚いている。


 アイとおキクは、先輩たちの反応に一瞬困惑の表情を見せた。しかし直ぐに、連れてきたフランの事だと思い当たる。


「友達が出来たんだ…名前はフラン」


「フランです」


 アイの紹介で、フランがペコリとお辞儀をした。


「……で、どうする気だい?」


 アサノが興味深そうに尋ねた。


「フランにも転位の資質があるようですので、一緒に連れて帰ります」


 おキクが然も当然とばかりに答えた。


「ええぇえーっ?」


 再びサカシタの絶叫が響く。


「面白い。サトーの驚く顔が目に浮かぶ」


 アサノが愉快そうにニヤリと笑う。本当に心底愉しんでいるように見える。


「……いいのかなー?」


 サカシタが物怖じしたように呟いた。


「良いも悪いも、もう全部知ってんだから今さら同じだろ?」


 未だに煮え切らないサカシタの背中を、アサノがバシッと叩いて気合を注入する。


「お前も腹を決めろ、サカシタ!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ