表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/45

初接続〜お菊の場合〜

接続コネクト!」


 ジェットコースターが急降下する寸前のような浮遊感を感じると、お菊は真っ暗な空間にひとりで漂っていた。


竜宮パラレルゲート(RPG)にようこそ」


 突然、明るい女性の声が響く。


「私は精霊AIのセーレー。これよりあなたをナビゲートします」


 お菊の目の前に、ソフトボール程度の大きさの光る立方体キューブが現れた。


「まずはお名前を登録してください。そのままアバターネームとなります」


「お菊」


「おキク……登録しました。次は職業を選択してください」


 おキクの目の前にパッと文字が浮かび上がる。


 剣士(片手剣セイバー

 付与スキル「ファントム」

 敵視を集める幻影を設置


 剣士(両手剣グレートソード

 付与スキル「カタパルト」

 対象を任意の方向に射出する力場を設置


 神官(斧槍ハルバード

 付与スキル「ヒール」

 アバターの治癒力を高めるナノマシンを展開


 銃士(短銃ハンドガン

 付与スキル「バーストバレット」

 触れたものの力を利用した銃弾を作成


「アバターは職業に見合った成長を行いますので途中で変更出来ません」


 おキクは悩んだ。変更出来ないのなら、ここでキチンと考えて選ばなければならない。どれをとっても必要そうな能力である。


 片手剣は前線での敵の撹乱が主な役割になるのだろう。両手剣は一撃離脱を絵に描いたような能力をしている。神官のヒールも重要だ。唯一の遠距離攻撃が可能な銃士も外せない。


 佐藤さんも人が悪い。ちゃんと前以って教えてくれてたら、亜衣と二人で考えてきたのに…おキクは心の中でひとり愚痴る。


「亜衣の性格なら、神官は選ばないかな?」


 おキクはボソッと呟いた。だったら自分は神官を選ぶべきだろうか。そうすれば、恐らくバランスは良くなるはずだ。


 そこでふと、おキクの思考が立ち止まる。


「違う。そうじゃない!」


 おキクは自分を叱咤した。


 そもそも考え方が間違ってる。私は自分で決めてここに来た。亜衣の付き添いではない。亜衣の後ろに一歩下がって援護がしたい訳ではない。亜衣の横に並んで立って一緒に戦いたいんだ!


 その方が亜衣もきっと喜んでくれる。そして佐藤にも、そのことが分かっていたんだ。


 おキクは最初見たときに一番「ビビビッ」と心惹かれた職業を指差す。


「両手剣!」


「支給武器を確認しますか?」


「します」


「了解しました」


 両手剣グレートソード

 超音波切断の原理を利用した両手持ちの大剣。

 全長150cm。持ち手部分が50cm。


 超音波切断、聞いたことがある。おキクは脳の引出しをあれこれ開ける。ザックリ言うと、なんでも簡単によく切れる、てコトだったハズ。


「それで大丈夫です」


「了解しました。それでは登録を行います。『グレートソード』と音声入力により、瞬時に利き手に装着されます。重量がありますのでご注意ください」


「分かりました」


「次はアバターの設定を行います」


「はい」


「何か変更しますか?」


「佐藤さんがああ言うので、特に変更しなくてもいいです。でもあの…」


 おキクは少し照れながら質問した。


「少し追加で付属品を付けることは出来ますか?」


「可能です」


「あの」


 おキクは躊躇いながら、しかし意を決して言った。


「黒猫の耳とシッポを付けてください!」


「了解しました」


「服装はどうしますか?」


「服装?」


 なんとなく…亜衣はそろそろ面倒臭くなってる気がする。


「制服のままでいいです」


「了解しました。これでよろしいでしょうか?」


 目の前に、おキクの全身図が表示される。


「問題ないです」


「職業や外見を鑑みて、こちらで微調整を行ってもよろしいでしょうか?」


「お願いします」


 おキクはペコッと頭を下げた。


「了解しました。最後に私の携帯端末の外見を変更しますか?初期設定は目前にある立方体です」


「そうですね…」


 おキクはちょっとだけ思案顔になる。


「白猫の姿でお願いします。首に赤いリボンのチョーカーを着けてください」


「了解しました」


 目前の立方体が変形していき、マンチカン風の白い仔猫の姿に変わる。そしておキクの足元にちょこんと座ると、クリッとした目でおキクを見上げた。


 おキクはキュン死寸前で、なんとか堪えた。


「これで設定は完了です。お気をつけて、いってらっしゃいませ」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ