捨てる神ありゃ、拾う神あり⁈
織田哲哉
身長/169cm
体重/54kg
血液型/A型
趣味/ゲーム
特技/家事
家族/父親、母親、小学生の妹
あんな史上最悪な振られ方をしたのは、ほんの数時間前のこと。
腐った気分を祓うつもりで、いつもやってるゲームをしても気分がノラず、何かいいのがないか?とググールプレイを漁ると、新着の欄に、『Re:ゼロから始める女神転生』なるものがあった。新着とあったのに、既に評価も☆5が多く、無課金(これは助かる‼)で遊べるならってことで、早速ダウンロードし、設定していった。
「おっ! すっげ! 登録プレゼントでガチャ10回だ」
そのガチャを引くと、ドレス、装飾品、アイテム等が出てきた。
「残り1回か。せめて、女が出てほしいもんだな」
いくらゲームでも、男にドレスなんぞ着せるのは、些かおかしい。本人も嫌がるだろう(知らんけど)。
「マジ?」
最後の1回で、女神が出てきた。名前は、クロアと言うらしい。銀髪ロング、そこそこのスタイルで、早速ドレスやら装飾品を付けてみると、意外にもあっていた。
で、俺は眠くなるまでそのゲームを進めていった。
のが、数時間前‼
え?同じ事を2度も言うなって?そりゃ、言いたくもなるさ。
こうして目の前に、ゲームのキャラと似た格好の女性がいたら……。
「……夢か」
「……違います」
ベッドに寝転がってる俺氏と、そんな俺に乗っかってる銀髪の女性。
決して、ナニをしてる訳ではねーからなっ!
頬を抓ろうにも、上に乗っかってるから全く動く事が出来ない。
「すみませんが、ほっぺた抓ってくれません?」と何故かお願いする始末で……。
「ひはひ。ひはひはらはらひへ(痛い。痛いから離して)」
通常、かたっぽのほっぺたを抓ればいいのに、何故に両頬⁈
「痛かったですか?」の問いに、俺は両頬を押さえながら、カクカクと腰を……いや、首を動かしたのだった。
「夢じゃないのは、わかった。けど、誰? 泥棒? お金ならないよ」
そりゃそうだ。いくらアパートで一人暮らししていると言っても、俺はまだ高校生で週末のバイトしかしていない。ここは、祖父が経営しているアパートだから。
「そんな風に見えます?」
そんな泣きそうな目で訴えられても、いきなりドスンと……そうだよ、ドスンと上から……
「あれ? 天井壊れてない。じゃ、おばけ?」
それがショックだったのか、シクシクと本等に泣いてしまい、俺氏固まる。
女の子の涙は、苦手。
実家に住んでる妹の小毬を思い出す。涙を流してるが、大抵は嘘なきだから……。
「すみません。泣かすつもりで言った訳ではないんで……」
泣き止むまでひたすら謝った。小毬よりは、少し楽だった。
「あの……初めまして。私、女神のクロアです」
そうクロアね。って、クロア⁈
俺がさっきしてたゲームのキャラもクロアだった。
「はい。で?」
名前を聞かされても、で?としか返しようがなく……。
「ここは、どこですか?」
いま頃⁈そりゃずっとキョロキョロしてたけどさー。
「どこって、俺の部屋だけど?」
「部屋? こんな狭いところが?」
お前は、俺にケンカ売ってんのか?と男なら言いたくもなるが……。
「ここは、どこ?」
記憶喪失⁈
「ここは日本で、いま俺がいるのは東京都〇〇区鐘蔵3丁目」
そう言うと更に首を傾げて、
「日本? 知らないです。パパは? ママは?」
「さぁ? あー、またっ‼」
泣きたいのは、俺の方だってのに‼
「どっから来たの? 何区? 覚えてる?」
両手で顔を覆い、泣く姿を見るのもやるせない。
「……参ったな、こりゃ」
年も明け、2020年が始まってそうそうこれか……。
泣き止むのを待っていたら、いつの間にか俺も眠ってしまい、気付いたら……。
「……。」
だ、大丈夫だよな?俺、何もしてないよな?
何故か彼女が、俺の隣で‼すやすやと眠っていた。
「ケイサツ? なんですか?」
「……。」
自分がどこから来たのかわからないことから、警察に行って事情を話そうと言ったら、こうです。警察は、困ってる人を助けたり、悪い事をした人を捕まえたりする人がいるところと言ったら、
「あー、衛兵かしら?」
少し顔色が青白い彼女をそのままベッドに寝かす。
「衛兵? まぁ、そんなとこかな? 行けばなんかわかるかも知れないし」
わかるかも知れないが。わからない可能性の方が強いだろう。
「どうする?」
そう聞くと、
「ここにいたら迷惑ですか? もし迷惑なら、あなたの意見に従います」
迷惑では……ない。
……が。
ここにいたらいたで、バレたら……。
結局……。
「ありがとうございます。哲哉さま」
記憶が戻るまで、いることを許可した。
男の見栄ってか、振られたばっかだし‼
男の欲望が、勝ったな。うん。
「ここが風呂で、その隣がトイレ」
「……はい」
「一応、ここ狭いけど隣にも部屋があるから」
「使ってもいいですか? トイレ…」
軽く朝ごはんを済ませたあと、部屋を案内?したら、そう言ってクロアはトイレの中へ……。
おせちはないが、お餅は送られて来てたから、それで雑煮を作ったら、なかなかの好評!
雑煮をフォークで食う姿に驚いたが……。
「ひぃーんっ。哲哉さまー。助けて」
泣きそうな声で俺を呼ぶクロア。
思わず、トイレのドアを開ければ、クロアは便座の上がったトイレにすっぽりと挟まっていた。
クロアは、そのまま隣の風呂場へ。シャワーなら使い方がわかるらしく、扉越しに湯が流れる音がしているのを聞きながら。
「さて、服どうするか?」
いま部屋にあん女の子の服は、小毬のしかない(当たり前か)。
「俺の服でもいっか。女の子だから、Mサイズくらいだろ!」と思っていたが、確かにMにはMだが……。
上着は、Mと言うより、一部だけLLに近かった。
あんなに、ぽよんぽよんのぷるんぷるんなんだ……。
「これなら……」
上にコートを羽織れば、胸のポッチも目立つまい。(俺氏、約得ーっ)