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おさげ眼鏡のモブ少女。それが私のはずなんだが…  作者: 伊月
自称モブ少女!陰で生き抜くことを決意した!
6/7

お、おい。もう帰ろうぜ…

私は今、絶体絶命のピンチを迎えています。


「ねぇ、包み隠さず言ってくんない?椎原くんとどういう関係なの?」

「今なら許してあげるからさ。…ね?」

「白状ーしてくんない?」


私の目の前に現れているのは、クラスで派手な女子のグループ達。

そのリーダー格である鎌倉さんが、私を問い詰めていている。…正直に言います、めちゃめちゃ怖いです。

OK、言うから落ち着いてください。その殺意の視線をやめてください。ビビりな私にこれ以上刺激しないでください、おねがいぃいいいい!


「ひ、ひぃいいい!」


高校生になって私、叫びまくっているような気がするが気のせいであってほしい。

まず、なぜこうなったかを話そう。

事の始まりは10分前ぐらい。

ビビりながらも椎原くんたちと一緒にアトラクションを回った時、お化け屋敷に行きたいという提案が出た。

私はお化けより男子の方が怖いと思う人なので、別に構わないと承諾した。

野乃葉は少し嫌がっていたけど、せっかくの遊園地だし行こうよ!と私が誘ったらOKしてくれた。

森重くんは興味なさげだったし、提案者である椎原くんは楽しみにしていた。


ここまでは、まだいい。


不気味な音楽が鳴り響いているお化け屋敷は、洋館だった。洋館ってホラーの定番だし「これは絶対子供が入ったらトラウマ確定だろうなー」とその時の私は呑気に考えていた。

四人一緒でお化け屋敷に入った時、思った以上に周りが暗くてあまり見えなかった。


「うわ、思った以上に暗いな…」

「…寒い」


男子二人のリアクションは、薄かった。

しかし、椎原くんは少しテンションが上がっていて「はやく、お化けでないかな?」と言い、私たちより先に進んでいた。

提案者の椎原くん。ここはジャングルじゃないんだから、お化け捕まえてー!というその目をやめなさい。


「とととっと、永久!こ、怖い!もう帰ろう!」

「野乃葉、それをいうなら『お、おい。もう帰ろうぜ』でしょ」

「何言ってるの!?こんな時に冗談やめてよ!」


いや、そんなマジにならなくても…。

とあるホラーゲームの名台詞を言って笑いを取ろうと思ったけど、ダメだった。

今の野乃葉は御乱心のようだ。下手な刺激はよそう。


「にしても、ほんと暗い…」


お化け来てもわかんないかもしれないこれ。

洋館だから、お化けはやっぱりヴァンパイアとかゾンビとかかな。ベダだけど。


「それとも、洋館だからジェイソンとか出るのかな?」

「それ、お化けじゃなくて殺人鬼でしょ!?こ、怖いこと言わないでよ!」

「え、ジェンソン出るの!マジで!?」

「出ねぇよ。あと出てきたらお前何する気だよ」


椎原くんのことだから、捕獲してホッケーマスクを取ると思う。でも、マスク取ったら多分後悔するぞ。マスク取った方があれ怖いし。


「さっさとここから出よう!ほらあそこに案内が書いてあるし!」

「せっかちだな…もう」


しかし、私が無理に誘ったこともあって少し罪悪感がある。壁際には血文字で書かれた案内があり、怖さを演出している。凝っているね。

えーと何々「この先右」。ふむ、次は右に曲がればいいのか。


「…へ?」


廊下の曲がり角を曲がった時だった。

後ろにいる誰かに、腕を掴まれた。


「…ちょ!?」


そのまま私はずるずると後ろに引っ張られ、前にいる三人の距離が離れていった。

これも怖さの演出!?にしては少し乱暴なんだけど。

三人は気づいていないくて前進んでいるし、てか気づけよ!薄情だな!あんた達!


「の、ののはぁ――むぐ!?」

「静かにして」


声を出して呼ぼうとしたら、口を塞がれた。

いやこれ絶対演出違う!何、誘拐!?私、海外に売り飛ばされるの?


「んー!むぐー!」

「私たちは、話に来ただけ。質問に答えれば返すから」


拒否権はないんですか!強制イベントなんですか?

抵抗したが私は力が弱いのでそのままずるずる後ろに引っ張られ、お化け屋敷にあった何も仕掛けのない部屋に連れていかれた。


「はい、もういいよ。喋って」

「ぷ、ぷは!だ、だ誰なんですか!?いきなりこんなことをするん何て!」


自由の身となった私は、後ろに振り向き姿を確認するとクラスメイトの女子が複数がいた。…名前?わからん!けど一人だけ、知っている人がいる。


「春ちゃん。立花さん連れてきたよ」

「そ。ありがと」


私を連れてきた人が、腕を組み堂々と立っている威厳ある女子に話しかけた。


「か、鎌倉(かまくら)さん?」

「急にこんなことをして、ごめんなさい立花さん。…すこしお話しない?」

「お、お化け屋敷で、ですか?」

「そ。ジメジメしているあなたとお話するに、最高の場所ではなくって?」


それは誉め言葉として受け取っておきますね。


「ジメジメっというか、陰湿?」

「ふふふ、それ、一緒じゃん」


彼女の嫌味の言葉に、複数の女子がくすくす笑った。

私の目の前に現れているクラスの女子、鎌倉 春。

長い睫毛に、ウェーブの掛かった髪。モデル体型に女子である私も惚れてしまうぐらいだ。

彼女はクラスの女王であり、クラス、否、学年の美女として有名だ。


そして、椎原くんを狙っていることでも有名だった。


「話というのは言うまでもなく…わかるよね?」

「…椎原くんのことですか?」

「そ。あなた一体どんなことをして彼を誑かしたの?」


これはまた、ひどい言われようだ。

何も答えることが出来ないままでいると、取り巻きの女子たちがしびれを切らして私に質問攻めして来た。

そして、現状に至ります。


「だから、どんな関係なの?」

「そ、それは、その。うーん」


告白された、告白した関係なんて口が裂けても言えん。

ましてや、私が椎原くんを振ったことが知られたら変な逆恨みされそうだ。


「もういいわ」

「は、(はる)ちゃん?」


鎌倉さんの冷たい声がお化け屋敷に響いた。


「は、春ちゃんが出る幕でもないよ!わ、私たちが――」

「下がりなさい。この役立たず」

「ひっ!」


鎌倉さんは取り巻きの人を睨みつけていて、肝が冷えるぐらい彼女の瞳は冷たかった。

取り巻きの人は怯えて何も言わず、小さく「ごめん…」と謝っていた。

てか、ここお化け屋敷だよね?君、お化けよりも怖いよ!?

鎌倉さんはもたれかかった背中を離し、冷たいオーラを纏いながらこちらに近づいてきた。

ビビりな私は、近づく彼女から一歩一歩下がって逃げたが、だんだん壁に追い詰められていきとうとう背中に壁が着いた。


バン!


彼女が私を追い詰めて壁が叩かれる音が聞こえた。

おおう…。これが世に言う壁ドンというやつですか。相手が氷の瞳で私を見つめる女の子なんですけど、一部の男子が喜びそうですね。


「…」

「…(ガタガタ)」


壁ドンされて、鎌倉さんの怖い顔が近くなって身体が震える。

お互い無言で見つめっている時だった。


「う゛っ!」

「え?」


鎌倉さん顔をしかめて、私から離れた。

半歩下がった彼女は、鼻を手を覆う。はて、体調でも悪くしたのだろうか?


「あ、あなた…ば、バナナ臭いわ」


あ、バナナですか。てか、そこまで顔をしかめないでください。バナナのせいでも傷つきます。

バナナの臭いに顔を青ざめる彼女を見て、取り巻きの人たちは騒ぎだした。


「ちょ、春ちゃんに何したのよ!」

「だ、大丈夫?」

「臭いでやっつけるとか卑怯よ!」


いや、あっちが勝手に私に近づいてきたんですけど…。

あと卑怯と言う言葉ブーメランです。


「…まぁ、さっきバナナ食べましたからね」


頬をぽりぽり掻きながら答えると、青ざめていた鎌倉さんが顔を真っ赤にして睨みつけた。


「あなた!どこまで私を侮辱すれば気が済むのよ!」


ここで、私は気づいた。

鎌倉さんの怒りのメーターがとうに超えていたこと。

鎌倉さんが本気に怒ったことによって、取り巻き達の雰囲気が変わったこと。

暗いお化け屋敷の中、女子の怒りの視線だけが赤く光ったような気がした。

自己紹介パート5

<学年の女王様>

鎌倉 春。血液型A。16歳

性格、プライドが高くわがままな女王様タイプ。椎原にわかりやすい好意を抱いており、椎原に気に入られている主人公を嫌う。

容姿、モデル体型にウェーブが掛かった髪が特徴。目は大きく長い睫毛。まさに美女。

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