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おさげ眼鏡のモブ少女。それが私のはずなんだが…  作者: 伊月
自称モブ少女!陰で生き抜くことを決意した!
4/7

これは、あれか?土下座か?土下座要求なのか?

「…どうして私は生きているのだろう。生まれ変わったら一週間で死んでしまう儚きセミになりたい」


私が部室の端っこでネカティブオーラを出すのは、もはや日常光景になったようだ。

部員の皆は、微笑ましそうに(というか楽しそうに)私を見ている。ああ、私にとっては一大事の出来事なのに。


「あらら、どうしたの?永久ちゃん?」

「佐和先輩、私はどうして人間に生まれてきてしまったのでしょうか?それならいっそ深海にひそむ貝殻になりたいですっ…!」

「そっかまた、何かあったのね。あと貝殻って生きてないじゃないそれ…」


それか、カーペットに潜むダニでもいいです。

あ、カビ生えた畳のキノコでもいいかも。捨てられて誰も自分を見てくれないから最高じゃないですか。


「先輩の声で心が立ち直ることができないなんて、これは相当重症だ…」


野乃葉がこいつはもうお手上げだぜと頭を抱えた。

ちなみに、野乃葉も演劇部所属。もともと私は、野乃葉に誘われて演劇部入った者なのだ。

自分のネカティブのすごさは知っている。だからこのまま放置しておくと自己解決して助かるのだが、私の自己解決は内容がぶっ飛んでいるそうなので、こうして周りが相談してくれる。


「もう!昨日立ち直ることできたんだからさ。今日は部活をがんばりましょうよ!」

「そうですね、発声練習から始めましょう。…アシタハ シネルカ アイウエオ」

「あめんぼ あかいな あいうえおでしょ!?」

「…アシタハ シニタイ アイウエオ」

「対して変わらないじゃない!」


先輩が、キレの良いツッコミを入れる。

ボケてやっていないけど、実際明日は死にたい。

告白されて振った男子と一緒に遊園地を回るなんて、事情を知っていたらかなりシュールな光景だ。


「よ、よりによって椎原くんと一緒に回るなんて…」

「あ、もしかして椎原くんと一緒に遊園地回るの?きゃーあの子肉食?やるー!告白した女の子に猛アタックするなんて!萌えるわー!」


先輩が興奮ぴょんぴょんしながら跳ねる。

うさぎみたいで可愛いけど、今はそんなこと考えている場合ではない。


「え!?永久、椎原くんに告白されたの!?」

「あ、えっとぉ」


そうだった。

野乃葉は、知らないままだった。

知っているのは、あの日部室にいた人たちだけだった。

野乃葉は、あの時家庭訪問で部室にいなかったのだ。


「あら、永久ちゃん?野乃葉ちゃんに言っていなかったの?」

「あ、はい。ごめん、野乃葉は知らなかったね」

「…うん」


あー。ショックって顔された。

隠す気はなかったけど、こんな形で知るのは嫌だよね。


「ごめん、野乃葉。隠す気はなかったの…」

「…」


反省しています。だから、無言止めてくださいっ…!野乃葉様!

気まずい雰囲気が流れていると、佐和先輩が前に出た。


「あらら…。野乃葉ちゃん、永久ちゃんを許してあげて?」

「…」


ナイスフォロー先輩!

さすが、部長です!けど、野乃葉さんはまだ無言なんですけど!

いやだめだ。先輩に任せっぱなしなんて!

ここは誠意をもって、自分からまた謝らないと。


「ご、ごめん!悪気はないの!」

「…」


…。もう、ギブです。

これは、あれか?土下座か?土下座要求なのか?


「の、野乃葉?怒っている?」

「うん。だって私に何も言ってくれなかったし」


やっと喋ってくれたと思ったら、この辛辣。

どどどどどど、どうしよう。遠足より私と親友の距離がピンチだよ!


「ごめん!なんなら土下座するから!」

「…土下座はいらない。けどさ、告白OKしたの?」

「へ?OK?…ししししし、しないよ!いくら椎原くんが告白しても私は男子と恋愛なんてできないよ!」


赤べこのように首を振ると、野乃葉は真顔のままだった。

こ、こわい…。初めて親友を怖いと思ったよ…!


「ほんと?」

「ほんとだって!仮に付き合いOKしたとしても遊園地誘われたとき拒否するわけないでしょ?それが証拠だよ!」

「…そっか」


野乃葉はほっとしたようなため息を吐き、頬を緩めた。

こ、これは怒っていないのかな?


「次からは、ちゃんと教えてね?」

「へ、あ、はい!肝に銘じておきます!」


なんか知らないけど、許しをもらえたみたいだ。

にしても、野乃葉嬉しそうだな。うーん?なんでだろ?


「…ふーん?もしかしてあれかな?だとするとドロドロねぇ」

「へ?どうしたんですか?佐和先輩?」

「ううん!なんでもないわよーん!それよりほら、練習するわよ!」


先輩の指示で、気まずい雰囲気もなくなったしこれで演技に集中できそうだ。

……ん?あれ、結局明日はどうなるんだろ?

自己紹介パート4

<主人公に好意を向ける人気ボーイ>

椎原 唯人。血液型A。16歳

性格、明るく皆の人気者。けど、たまに天然になる。主人公とは反対な性格でくっそポジティブ。

運動神経がよく、推薦で学校に入った。森重とは親友で、いつも彼のフォローをしている。

容姿、黒髪で猫目。童顔で少し幼く見える。

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